カリフラワーのグラタンで温まりながら、森健さんと“足の裏”をじっくり考える。|麻生要一郎のテーブル・トーク

料理家・麻生要一郎さんは、人を招いてテーブルを囲むのが大好き。気心知れた友人から、会ってみたかったあの人まで。「テーブル・トーク」ではさまざまなゲストを招いて手料理を楽しむ時間を音声と写真でドキュメントします。第7回は、〈FOOTWORKS〉のオーナーでインソール職人の森健さんをお招きしました。

取材・文/平岩壮悟 撮影/表萌々花 ポッドキャスト録音・編集/浜本壮大 

ここは料理家・麻生要一郎さんの自宅。悩める若者から酸いも甘いも知るアーティストの先輩、旧知の仲から初めましての人まで、夜な夜な一癖も二癖もある人たちが円卓を囲み、麻生さんの手料理をほおばりながら日々のあれこれを語り合います。

この日、麻生さんが自宅に招いたのは、オーダーメイドのインソールを提案する〈FOOTWORKS〉のオーナー、森健さん。麻生さんが親しみを込めて「弟」と呼ぶ10年来の友人でありながら、日常的に愛用している中敷を誂えてもらっているインソール職人です。

テーブルゲスト

森健(もり・たけし)/1982年神奈川生まれ。大学卒業後ドイツへ留学、インソール製作第一人者の父親に師事したのち、2011年にオーダーメイドインソール専門のFOOTWORKSを設立。身体の土台である足元を根本から改善するインソールを一人ひとりの足に合わせてオーダーメイドで作製している。

森さんから麻生さんへ。料理のリクエスト

麻生さん

こんにちは。

知り合ってからもうかなりの年月が経ちました。みんなの誕生日や日々のご飯、お弁当などなど何度楽しい食卓を囲んだことでしょう。

今夜からの弾丸秋田旅も楽しみにしてます。

リクエストは唐揚げ(醤油)、こんにゃく、ピーマン、ひじき、豚汁、そしてグラタンです。出会った頃はどんなメニューにもグラタンがありました。そんな思い出話も当日できたらと思います。

弟 森健

森さんが中学生でインソールを仕事にすると決めたキッカケから、おすすめのスニーカーの産地、全身に負担をかけない歩き方のヒントまで。カリフラワーとアンチョビのグラタンを頬張りながら交わさせたふたりの「テーブル・トーク」の模様はこちらから。

醤油で味付けした唐揚げと豚汁。

今日のリクエストは、長年の付き合いのなかでたどり着いた定番メニューだそう。

「弟」こと森さんの到着を待つ麻生さん。あとはグラタンが焼き上がるのを待つばかり。

森さんの定番メニュー。「いつもはここに煮魚も加わる」と麻生さん。「今日は取材もあるから勘弁してくれたのかな」

足に関する疑問を投げるとなんでも即答してくれる森さん。靴下は足袋タイプがおすすめだそう。

ピーマンの炒めもの。森さんにとって「麻生さんの作るピーマン」といえばこの一品。

こんにゃくの煮物。

森さんのお父さんもお弁当で食べたことがあるひじき煮。

数週間前にも、ふたりで中華料理を食べに秋田へドライブに行ったという森さんと麻生さん。仲睦まじい“兄弟”のテーブル・トークは、取材後も続いていた。

弟 森健さまへ

テーブルトークへのご出演、ありがとうございました。

もう長年の付き合いになりますが、旅行に出かけるのは初めてのこと。僕にとって初の秋田県、森健のルーツを探る旅。人生最良の温泉だった後生掛温泉(地面からポコポコ湧き出ているワイルドさも含めて)、森林の気持ちが良いジョギングコース、最後の客となった中華料理店、美味しいホルモン、森君のチョイスは、車中のBGMも含めてどれもこれも完璧でした。

そこで兄として改めてここに、朝ラー食べようと言ったことを謹んでお詫び申し上げます。

研ぎ澄まされた精神力で、一人でいつも信じられないような仕事量をこなしているので、時々心配になりますが、疲れた時にはいつでも我が家の食卓へ。いつでも「ただいま」で、大丈夫。

“弟”と偉そうに言っていますが、生まれてきた年が僕の方が早かったというだけのことで、実際のところは僕が色々頼っています。秋田に出かけた際、合宿をした場所や雪のないスキー場を眺めながら、学生時代から過酷な雪山で競い合う姿を、話の断片から想像しました。

仕事ではインソールの師匠であるお父さんの背中を見ながら、葛藤し研鑽を重ねて自分の技術を確立、それを暮らしの中でどう機能させるのか、インソール、靴、サンダルの美しさを追求し、その妥協なき姿勢にいつも敬服しています。僕も、常に一人で何かを考え決断して来たので、一人で何かを背負うことの大変さだけは、理解出来ているつもりです。

これからも、末長くよろしくお願いします。また旅にも出かけよう!

麻生要一郎

本日の一品:カリフラワーのグラタンのつくりかた

―材料(4人前)―

・カリフラワー 2個
・玉ねぎ 1/2個
・アンチョビ 6本
・バター 60g
・小麦粉 大さじ4
・牛乳 250ml
・生クリーム 200ml
・チーズ 適量
・塩麹にんにくペースト 小さじ2(ニンニク2かけ摺り下ろしと、塩麹小さじ1で代用も可)
・塩 少々
・こしょう 少々

手順

1.カリフラワーは小房に切り分けて、固めに茹でておく。玉ねぎはみじん切りにして、アンチョビは刻む。

2.フライパンにバターの半量、玉ねぎを入れて透き通るまで中火で炒め、カリフラワーとアンチョビを加えて全体を炒め合わせる。バターの残りを加えたら弱火にして、小麦粉を入れ全体をよく馴染ませる。

3.牛乳を加えたら、だまにならないようによく炒める。最後に生クリームを加えてから、塩麹ニンニクペースト、塩、こしょうで味を整える(もったりしすぎた場合には牛乳を加えて調整する)。

4.耐熱皿に移し、全体に好みのチーズを乗せ、180度のオーブンで焼き色がつくまで焼く。

ポッドキャスト出演

麻生要一郎
森健
井手裕介(Tarzan Webプロデューサー)
平岩壮悟(Tarzan Webライター)

ポッドキャストスタッフ

ジングル・BGM:田中堅大
編集:浜本壮大