のびのびとやさしい雪山を、どこまでも。| 1月の山・霧ヶ峰・鷲ヶ峰
季節によって異なる表情を見せる日本の山。その時期だけに出会える風景や体験を求めて、写真家の根本絵梨子さんに毎月おすすめの山と、その歩き方を教えてもらいます。
取材・文/小林百合子 撮影/根本絵梨子
今月の山 霧ヶ峰・鷲ヶ峰
|長野県
標高/約1925m
おすすめコース
1日目
八島湿原駐車場(1時間)鷲ヶ峰(40分)八島ビジターセンター(45分)ヒュッテ御射山
歩行時間計:2時間25分
2日目
ヒュッテ御射山(1時間)車山肩(30分)車山乗越(25分)蝶々深山(20分)物見岩(1時間10分)八島湿原駐車場
歩行時間計:3時間25分
雪の山の美しさを教えてくれた、冬の霧ヶ峰。
1月は多くの山が雪で覆われる季節。雪山に登ったことがない人は、とうぶん登山はお休みかな……と思うかもしれませんが、経験者と一緒なら安心して歩ける雪山もあります。
前回は北八ヶ岳の雪の森歩きを紹介しましたが、今回は森ではなく稜線。「え、初心者で雪山の稜線を歩けるの? 」と驚かれるかもしれませんが、霧ヶ峰にある標高1925mの山鷲ヶ峰は、とてもおおらかで、やさしい山で、天気のいい日なら怖い思いをせずに気持ちのいい稜線歩きが楽しめます。
雪山を登り初めてしばらくした頃、友人家族が雪の山を体験してみたいということで、一緒に鷲ヶ峰に出かけました。鷲ヶ峰は広い霧ヶ峰の中でもひときわ高山植物が美しく、ハイカーにも人気のある八島ヶ原湿原のほとりから登山が始まります。
少しずつ標高を上げていくのですが、滑落するような危険な場所はほとんどなく、ゆっくり、のんびりと歩けます。しばらくすると視界が開け、気持ちのいい稜線歩きに。周囲の山々や、振り返ると雪の覆われた霧ヶ峰の湿原が見えて、夏とはまた違った、静かな風景に感激します。
雪のない時季には多くのハイカーで賑わう霧ヶ峰ですが、雪が積もると人の気配はほとんどなくなり、広い湿原を独り占めしているような気分になります。誰の足跡もついていない雪面を踏みしめながら、一歩一歩山頂に向かって歩くのは、なんともいえない心地よさがあります。
天気が良ければ日帰りでも楽しめますが、私たちは霧ヶ峰にある山小屋、ヒュッテ御射山に一泊して、のんびり。食事もおいしくて、なんとお風呂もあります。朝食がコーヒーとトーストというのも、高原感があってとても好きです。
翌日は霧ヶ峰を半周するような形で、最高峰の蝶々深山に登り、車を停めた駐車場に戻ります。湿原周辺はアップダウンが少なく、のびのびした雪原を、気が済むまで歩けるのがいい。途中、雪の上にウサギや小さい動物の足跡を見つけると嬉しくなって、ついそれを追いかけたくなったり。冬の湿原には、夏とはまた違った楽しみがあるものです。
冬の山や湿原には花や緑がなくて、少し味気ないかもしれないと思っていました。でも実際に歩いてみると、雪に覆われた大地が作る曲線美や、雪面に影が落ちてできる白と黒のコントラストも綺麗で、まるで絵画のよう。そうした静けさの中にある美しさに気づかせてくれたのが、冬の霧ヶ峰でした。
季節を変えて歩くことで、その土地の違った自然や美しさが見えてくる。山歩きとは奥深いな、面白いなと思った山行でした。
雪山初心者でも楽しめる、雪の稜線歩き。
なだらかな稜線が続く鷲ヶ峰は、アップダウンが少なく、歩きやすいのが特徴。雪山初心者でも無理なく楽しめるとあって、初めての雪の稜線歩きには、うってつけのコース。山頂からは雪で覆われた八島ヶ原湿原が見渡せ、爽快だ。
1月に入ると積雪が多くなるので、スノーシューが必要。雪の状態によっては軽アイゼンがあったほうがいい場合もあるので、できれば両方携帯するのがいい。日中でも気温が低く、風をさえぎるもののない稜線では体温が奪われやすいので、しっかりした防寒と防風対策が欠かせない。
下山後は八島ヶ原湿原などを散策するのもおすすめ。いきなり稜線歩きが怖いという人は、はじめに湿原でのスノーシューハイクを体験し、それから登山にチャレンジするのもいい。霧ヶ峰自然保護センターでは2月頃からスノーシューハイクの体験プログラムを実施しているので、不安な人はガイドツアーなどに参加することをおすすめする。雪山初心者だけでの入山は控え、必ず経験者と一緒に登ること。
おすすめスポット情報
ころぼっくるひゅって
ビーナスライン沿いの車山肩駐車場のすぐそばにある山小屋。冬季は土日祝日のみカフェ営業を行なっており、名物のサイフォンコーヒーとボルシチで、冷えた体がポカポカとあたたまる。素朴な雰囲気も素敵。
長野県諏訪市 霧ヶ峰車山肩
0266-58-0573
https://www.instagram.com/korobokkuru_hutte/
あゆみ食堂
料理家の大塩あゆみさんが営む食堂。ワンプレートの定食には地元・諏訪の地場野菜がたっぷり使われていて、ボリュームも満点。彩り豊かで、目にも楽しいランチが人気。手作りのスイーツもおいしい。ディナーは事前予約制。
長野県諏訪市元町5-12
0266-75-2720
https://www.instagram.com/ayumishokudo/
旦過の湯
下諏訪にある日帰り温泉で、やわらかい泉質の源泉かけ流しを楽しめる。鎌倉時代の修行僧のために建てられた旦過寮が始まりとされていて、趣ある佇まい。地元の人にも愛される公衆浴場で、銭湯らしいタイル絵も。
長野県諏訪郡下諏訪町3441
0266-26-7520
https://shimosuwaonsen.jp/spa/5044/











