忙しい時は“強力ゆすぎ”を!歯の健康を守るセルフケア新概念。

どれほど治療技術が発達しても、結局歯と歯肉の健康を守る基本は日々のケアに尽きる。この先も、末長く自分の歯と付き合っていけるよう、日常の習慣も含めて正しく&最新のケア法を学んでおこう。

編集・取材・文/板倉みきこ 撮影/中島慶子 取材協力/藤巻弘太郎(ぶばいオハナ歯科院長)

初出『Tarzan』No.913・2025年10月23日発売

口を濯ぐ男性のイラスト
教えてくれた人

藤巻弘太郎(ふじまき・こうたろう)/ぶばいオハナ歯科院長。歯科医。日本歯科大学大学院修了。日本睡眠歯科学会認定医、日本スポーツ歯科医学会専門医・指導医、ジャパンオーラルヘルス学会予防歯科認定医・指導医など。

セルフケアの2大潮流“アシッド&フォースコントロール”とは?

歯質、体質、性格、生活習慣、唾液の性状など、口腔状況は千差万別。だが、口腔セルフケアの2大潮流から見ると、万人共通の正解がある。歯磨き以外の日常習慣で、してはダメなこと、するべきことを覚えておこう。

アシッドコントロール

歯磨きによるプラーク(歯垢)コントロールも含む、セルフケアの新たな指針。口腔内トラブルを生む“酸性状況”に導いてしまう原因や、酸性に傾く時間をいかにコントロールするかが大事。

フォースコントロール

口腔内の健康を守る第2の柱が、歯と歯肉にかかる力のコントロール。歯周病や顎関節症などを招く、歯ぎしりや食いしばりのケアは急務だ。昨今マウスピースの活用法も注目されている。

アシットコントロールの口腔ケア5選。

1.口呼吸は厳禁!

口呼吸している男性のイラスト

仕事中やスマホを見ている時。何かに集中するとポカンと口が開くクセがあるなら改善待ったなし。口呼吸なんてもっての外だ。

「どちらも口腔内が乾燥してしまいます。乾燥すると、唾液が酸性から中性に戻す緩衝作用が低下し、口腔環境が悪化するのです」。(ぶばいオハナ歯科院長・藤巻弘太郎さん)

2.だらだら食べは要注意。

ダラダラ食べをしている男性のイラスト

食事のたびに口腔内は酸性に傾き、歯の表面からカルシウムやリンが溶け出す「脱灰」と、唾液によって修復される「再石灰化」が行われる。

「だらだら食べは脱灰の時間が長く、再石灰化が追いつきません。間食は時間と回数を決め、食べた後は歯磨きやうがいを」。

3.忙しい時は、強力ゆすぎで代用。

口を濯ぐ男性のイラスト

食べかすが口の中に残ると、むし歯や歯周病のリスクは上がる。食後の歯磨きは鉄則だが、

「どうしてもできない時は、少量の水を口に含み、力強くゆすいでおくこと」。

水の量はペットボトルのキャップに入る程度。口の中に、高速の水流を再現するイメージだ。

4.スポドリ飲んだらうがいをする。

細菌に関係なく、歯が酸に蝕まれ、溶けてすり減ってしまう症状・酸蝕歯。飲食物の酸を口の中に残さないのが最善の対策。

「pHが5.5以下で歯のエナメル質が溶け出します。スポーツドリンクや炭酸飲料を飲んだら口をゆすぎ、酸性状態を和らげておきましょう」。

エナメル質の溶け出すグラフ

5.喫煙者は舌磨きを習慣に。

舌磨きのイラスト

舌磨きで舌苔を取るのはいいが、健康な口腔なら唾液の力である程度除去されるので、週1程度で十分。味蕾を傷つけないよう、専用の舌ブラシで行う。

「ただ喫煙者は唾液の分泌が減り、舌苔が黄色や黒色になり、細菌が増殖しやすいので舌磨きを習慣にしましょう」。

フォースコントロールの口腔ケア2選。

1.胸鎖乳突筋や咬筋群をほぐす。

胸鎖乳突筋や咬筋群をほぐす

ブラキシズムの傾向がある人は、胸鎖乳突筋や咬筋群がこわばりがち。これらの筋肉がこわばると、首や肩の凝り、頭痛などが引き起こされやすい。

「首を倒して胸鎖乳突筋のストレッチをしたり(イラスト)、手の指の関節で咬筋群を揉みほぐすといいでしょう」。

手の指の関節で咬筋群を揉みほぐす

2.ガムを嚙む回数を減らす。

ガムを嚙む回数を減らす

むし歯予防や唾液の分泌促進のため、ガムを活用している人に警鐘。

「適度ならいいのですが、回数が多く、強い力で嚙みすぎると顎周囲の筋肉に影響し、顎関節症状が出ることや、歯がすり減って嚙み合わせの不具合、知覚過敏が生じることも。嚙みすぎに注意」。