会場は世界最高峰のレーシングコース!? 歩く&走るを拡張するアイディア集。

GPS機能で足跡を描く「GPSアート」や、うどん巡りやサーキット走など個性派ラン大会、仲間と走ってビールや銭湯を楽しむランクラブまで。走る楽しみは、もっと自由で面白い。

取材・文/石井 良、阿部太一

初出『Tarzan』No.912・2025年10月9日発売

1.軌跡を記録して絵を描くGPSアートに挑戦。

GPSアート

15人のランナーが走った総距離174kmのGPSデータを繫いで描いた「東洲斎写楽の大首絵」。

髙橋康さん/さまざまな普及活動を行うGPSアートのパイオニア。2024年に〈日本GPSアート協会〉を開設し、同会長を務める。

石川基さん/石川県金沢市を拠点に、GPSアートを通じて震災復興メッセージなどを発信。髙橋さんとともに協会運営に関わる。

GPS機能で自らの足跡を記録し、地図上に絵を描く「GPSアート」。スマートフォンやGPSウォッチの普及とともに、じわじわと世界中に広まっている。日本でも昨年〈日本GPSアート協会〉が発足。会長の髙橋康さんは、プロポーズのために日本列島を縦断して「MARRY ME♡」と描き、「世界最大のGPSアート」のギネス記録を打ち立てた人物だ。

「近所の地図を眺めてルートを考えるだけでも面白い。大規模な作品ではやりきった達成感が生まれるし、近所なら知らない道に新しい発見がある。自分ができる範囲から始められるのも魅力です」

一方、同協会理事の石川基さんは、コロナ禍を機にGPSアートにのめり込んだ。

「街の個性が絵に表れるのも面白い。京都など碁盤の目だとドット絵のようになるし、私が住む金沢は古くて複雑な道が多いので、細かい描写ができ繊細なアートになる。道は街の歴史にも大きく関わっているので、場所ごとの街並みや文化の違いを感じられるのも、GPSアートをやっていて面白い点ですね」

「GPSログを記録できるアプリで簡単に始められますが、ルート作りが醍醐味にして難しいところ。私が運営するサイト『GPSART.info』では1300以上のコースを紹介しているので、ぜひ覗いてみてください」(髙橋さん)

GPSアート

石川さん作。金沢の龍にまつわる26のスポットを巡って描いた龍。実際のスポットと絵が連動しているのが面白い。

GPSアート

髙橋さん作。日比谷公園に描いたト音記号。徒歩2kmで描いたお手軽作。

【GPSアートの4ステップ】

1.プリントアウトした地図でルートを考える。
まずは紙の地図を用意。描きたいモチーフを決めたら、実際に線を引いてみよう。

2.アプリにナビをしてもらうため、ルートを作成。
外部アプリで作って読み込むのもあり。

3.ナビ通りに歩く&走る。
道を間違えないように! スマホばかり見ないよう、音声案内がベスト。

4.完成
結果を記録して、アプリで確認。しっかり描けていれば成功だ。

2.変わり種の大会にエントリーしてみる。

記録更新だけが、ランのゴールか。たまには立ち止まり、視点を変えてみるのも大切なことだ。エイドがうどんばかりのグルメランや、普段は入れないサーキットを走れる大会……世の中にはそんなユニークな大会が、全国各地にある。

記録以外の楽しみを通じて、旅行をするように走ってみてはどうだろう。きっと新たな魅力に気づくはず。

ウルトラうどんマラニック
ウルトラうどんマラニック

走って食べるうどん旅。

全50kmの行程中、エイドステーションはすべてうどん店。5〜6店舗を巡るうどん旅が楽しめるのが魅力だ。ゆっくりでも走ることができれば完走を目指せる制限時間で、全店舗完食するともらえる完食賞を狙うのもアリ。

  • 種目:マラニック50km〜 
  • 制限時間:8時間30分
  • 次回開催:2026年4月初旬予定
鈴鹿シティマラソン
鈴鹿シティマラソン

サーキットを走る開放感は格別!

F1日本グランプリやSUPER GTなどが開催されてきた、世界最高峰のレーシングコースを自分の足で走ることができる貴重な一日。2kmのジョギング種目もあるので、初心者でも気軽に参加できるのが嬉しい。

  • 種目:10、5.6、2km、バリアフリー1.5km
  • 制限時間:4km地点を40分以内に通過(10km種目)
  • 次回開催:12月14日
東京エクストリームウォーク100
東京エクストリーム

都心を歩く、究極の冒険!

小田原〜東京間の100kmが舞台。日常的に10km歩ければ、完歩も夢じゃないとか。都市部で開催されるので、リタイアして電車帰宅もOKだ。

  • 種目:100km(チャレンジ/エキスパート)
  • 制限時間:26時間
  • 次回開催:未定

3.ランクラブに参加してみる。

ひとりだと気乗りしなくても仲間と一緒だったら走り出せるし、続けられる。それも、プラスαの楽しみがあればなおさら! そんな人たちにおすすめしたい、ランクラブはこちら。気軽に参加して、楽しいランニングライフを。

10周年を迎えたランクラブ
10周年を迎えたランクラブ

参加者はビールが1杯無料に!

デンマーク発祥のクラフトビールブランド〈Mikkeller〉。東京・渋谷の道玄坂にある〈Mikkeller Tokyo〉では、毎月第1土曜日にランイベントが行われる。ラン後、最高の一杯を楽しんで! 詳細はIG(@mikkllertokyo)を。

ひとっ風呂の前にひと汗を!
ひとっ風呂の前にひと汗を

銭湯が主催するランクラブへ!

東京・大井町にある銭湯〈すえひろ湯〉では、金曜日の20時からランイベントを開催。30分〜1時間程度を走り、ひと汗かいたら交代浴でしっかり癒やされる。クラフトビールの取り扱いがあるのも嬉しいポイント。詳細はInstagram(@suehiroyu_running_club)をチェック。