子供の頃から慣れ親しんできた一台《フォルクスワーゲン ゴルフ2 CLi》|クルマと好日

アウトドアフィールドに、あるいはちょっとした小旅行に。クルマがあれば、お気に入りのギアを積んで、思い立った時にどこへでも出かけられる。こだわりの愛車を所有する人たちに、クルマのある暮らしを見せてもらいました。

撮影/本城直季 文/豊田耕志

初出『Tarzan』No.822・2021年11月11日発売

幼き頃からの念願叶った《ゴルフ》は、 最高のバディ、そして最高の遊び道具に。

朝8時。通勤ラッシュの時間帯の甲州街道。都心とは逆方向へとまったり走るゴルフは、狭山湖に向かう途中。その運転席で気持ちよさそうにハンドルを握るのは、自転車店〈ブルーラグ代々木公園店〉のメカニック、冨田涼輔さんだ。

「これからお気に入りの自転車スポットまで、もうひとつの愛車・MTBを運んで、思う存分サイクリングする予定なんです。2018年にゴルフ2 CLiを手に入れてからというもの、休日は遠出することが多くなりましたね。僕にとって初めてのクルマであり、夢の一台だったので、運転席に座るたびにそりゃもうハッピーな気分に包まれますよ」

というのも、冨田さんの実家のマイカーは、ゴルフ3。子供の頃から慣れ親しんできたクルマだったので、“いつかは僕もゴルフに乗るんだ”と小さな決意を固めていたのだ。

「とはいえ、自転車にハマって以来、“クルマ”という乗り物への熱意が薄れてしまって、すっかりゴルフのことも忘れていたんです。でも、ちょうど3年前かな。ウチの店も参加したバイクロアのイベントに〈スピニングガレージ〉(相模原にあるゴルフ2マニアの聖地ともいえる中古車店)さんも来られていて。駐車場にズラーッと並んだゴルフ2の群れを見たときに、あの時の熱い想いが沸々と蘇ってきちゃいました(笑)」

いてもたってもいられず、次の休日には、新しい自転車をゲットするノリで相模原へ。所狭しと並んだゴルフ2の中で、ひときわ目を惹かれたのがこの赤い一台だった。

「キュートなルックスはもちろん、80年代のゴルフにしては珍しくマニュアル車だったのも決め手でした。やっぱり自転車もクルマも自分で操る感覚が楽しいですから。ちょうど誕生日も近かったので、自分へのプレゼントとして即決。誕生日に納車してもらいました。今ではもう一つ遊びが増えた感覚ですね。自転車用のルーフキャリアを付けたり、車高をグンと下げたり、ホイールを替えたり。好きなパーツを持ち寄ってオリジナルチャリを作るようで、カスタムするのが楽しいんですよ。ここ替えたいなと思ったら、宇都宮のワーゲン専門店〈82スパイス〉さんに相談しています。実はこれも自転車が繫げた縁でして(笑)」

車輪の数だけ(?)、輪が広がるゴルフコネクション。27歳の若きゴルフオーナーは同じ趣味を共有する先輩たちに支えられながら、ゴルフの魅力にどっぷり浸かっていく。

VOLKSWAGEN GOLF2 CLi

当時の新車価格は、約237万円だったが、現在もなんやかんや入れて200万円強。冨田さんの愛車は、90年式。ゴルフ2の中で大衆的なCLiというグレード。右ハンドルのMT車だ。

ウッド製のハンドルは、イタリアの名門ステアリングメーカー〈ナルディ〉のもの。「一般的なものよりだいぶ細い作りですが、その繊細な手触りが個人的に好み。ゴルフ2を手に入れる前に、いつかは! と思って購入していたもの」。

リアガラスは、お洒落にブラインド仕様。「といっても、スモークを貼れないガラスだったので、苦肉の策ですが(笑)」。

メンテナンスは、相模原の〈スピニングガレージ〉。カスタムは、宇都宮の専門店〈82スパイス〉に任せている。「どちらも、うちの大切なお客さんでもあります」。

  • 全長3,985×全幅1,665×全高1,415mm
  • エンジン=1,780cc、水冷直列4気筒OHC
  • 乗車定員=5名
  • 燃費=9.4km/ℓ(10・15モード)
Owner

冨田涼輔(〈ブルーラグ〉メカニック)
1994年、茨城県生まれ。高校生の頃にピストカルチャーにハマり、21歳のときに〈ブルーラグ〉に入社。現在は、〈ブルーラグ代々木公園店〉のメカニックとして忙しい日々を送る。