「走る映画」のプレイリスト|vol3. 心を揺さぶるスポーツ映画 。
映画の主人公気分で走りたい! 「走る」シーンが象徴的な数々の名画のサウンドトラックをつないで、ランニング気分を高め、鼓舞してくれるプレイリストを作る試み。第3回は、どストレートにスポーツ映画の中で印象的に流れた楽曲をミックス。まだまだ肌寒いけれど、これで心と身体に火をつけて!
選曲・文/渡辺克己(サントラ・ブラザーズ)
今年も開催された東京箱根間往復大学駅伝競争。ランナーたちの激走に、元旦から心を打たれ、思わず走り出したくなった人もいたのではないだろうか。
テレビの前で思わず気持ちが昂り、新春初走りに出かけたランナーを代表して、率直にマラソンをはじめとした、スポーツ映画の中から、心身を揺さぶってくれる音楽を選んだ。
メインに据えたのは、マラソン中継などでお馴染みの『炎のランナー』(1981年)のメインテーマ。ギリシャのシンセサイザー奏者、ヴァンゲリスが手掛けた説明不要の名曲だ。スロウテンポながら、エモーショナルなメロディは、走り出しにはうってつけだ。しかし、そんな名曲を押しのけて一曲目に採用したのが、映画『WAVES/ウェイブス』(2020年)のレスリングのトレーニングシーンで効果的に使用されたフランク・オーシャンの「Godspeed」。歌詞は、恋人を気遣った優しいラブソング。しかし、いざ走りながら聴いてみると、体調や気候などに逆らわず、今日も快適に走ることを促すよう、どこか啓示のように響く。そんな理由からM1とした。続いては、ボクシング映画の新しい金字塔的シリーズの第二弾『クリード 炎の宿敵』からM3。1973年、ビリー・ジーン・キングスVSボビー・リッグスによるテニス界で有名な「性別間の戦い」を描いた『バトル・オブ・セクシーズ』(2018年日本公開)からM4。
ここからは、名曲で走るテンポを少しづつあげていこう。デンゼル・ワシントンがアメリカンフットボールの名コーチ役を演じた『タイタンズを忘れない』(2001年日本公開)からM5。ジャマイカのボブスレーチームの奮闘を描いた『クールランニング』(1994年日本公開)から、ジャマイカの国民的歌手が名曲をカバーしたM6。アダム・サンドラー演じるバスケットボールのスカウトマンが奮闘する『Hustle/ハッスル』(2022年)で使用された、ザ・ルーツの名曲M7。あのお騒がせフィギュアスケーターをマーゴット・ロビーが演じ、その半生を描いた『I,TONYA 史上最大のスキャンダル』(2018年公開)の壮大なホーンが印象的なM8。サッカー映画の名作『ベッカムに恋して』(2003年日本公開)のCMソングとして起用され、その後『俺たちダンクシューター』でも効果的に使用されたM9。曲の後半、熱気を帯びたパーカッションのリズムに身を委ねてみよう。
身体が温まってきたところで、アップテンポな電子音楽〜ダンスミュージックを。2024年に日本でも公開された『ボストン1947』からM10。歴史や政治に翻弄されたマラソン選手の物語だが、その激走シーンは圧巻そのもの。マラソンをテーマにしたコメディ『ブリタニー・ランズ・ア・マラソン』(2019年公開)から少しチャーミングなリズムのM11。説明不要の『THE FIRST SLAM DUNK』(2022年公開)から、武部聡志が手掛けた熱いM12。テニス映画の傑作『チャレンジャーズ』(2024年公開)から、現在のハリウッドには欠かせない劇伴音楽家コンビ、トレント・レズナー&アッティカ・ロスが、かなり気合を入れて取り組んだダンストラックのM13。そして、ペコ&スマイルの奮闘を描いた映画『ピンポン』(2002年)から、スーパーカーによる主題歌M14。最後は、マーちゃん&シンジの青春を描いた『キッズリターン』(1996年公開)からM15。日本を代表するスポーツ映画の2大傑作の音楽でしめたい。