【棚橋弘至・連載】第41回:大リバウンド発生!? 逸材ボディ、復活の行方は……?

新日本プロレス「100年に一人の逸材」棚橋弘至が綴る、大胸筋のように厚く、起立筋の溝のように深い筋肉コラム。第41回のテーマは「大リバウンド」について。

大リバウンド、してしまいました

【リバウンド】。日本語に訳すと【反跳現象】。スポーツなどでも使われる言葉ですが、近年、巷でもっとも使われているリバウンドは「無理に減らした体重が戻ること」ではないでしょうか。

リバウンド」…お、恐ろしい響きと語感ですね。ええ、少なくとも僕にとっては。なぜ、こんなことを言い出したかというと、身に覚えがあるからですね。

ここまで、直接的な表現を無意識に回避していましたが、正直に言います。リバウンドしました。それも、大リバウンド。

2024年の4~6月に、会社を巻き込んでスタートした【棚橋弘至肉体改造計画】。トレーナーの先生による、アプリを使った徹底的な食事管理と、朝起きてすぐのウォーキング(30分)。

正直、きつかったですね。並行して、ウエイトトレーニングや試合もありますからね。ただ、周りのみんなの「なんとかコンディションを取り戻して欲しい」という思いを痛いほど感じていただけに、気持ちも途切れることなく、なんとか、-6kg。体脂肪率もいくらか下げることができたのでした。

そして、その企画終了から約2ヶ月が経った8月5日。現在の体重は、肉体改造計画のスタート時に戻り、気持ちは再起動したいと思いつつも「ダイエットは明日から」という免罪符を振りかざし、何かしら美味しくいただいている毎日です。

なぜ、こうも簡単に体重が戻ってしまうのか? 人体の不思議と言いますか(←違う)、なくて七癖と言いますか(←かなり違う)、食べた記憶がないと言いますか(←現実逃避)。とにかく、めきめきと体重が増えていくのです。

心を正せば、カラダも整う?

ふと「放牧」という言葉が僕の中に浮かびました。競馬の屈強な競走馬が、オフの期間に馬体重を調整したり、体調を戻すために行われるもの。

【棚橋放牧中】なんという甘美な響きでしょうか。なんの規制もなく棚橋を野放しにする危険さ、皆さん「知らない」とは言わせませんよ。

過去何度も「チートデイ(ボディメイクで代謝が下がったときに行うオーバーカロリーの食事)」と称して、駄食を繰り返しているじゃない。夜、アイス2個買って帰ってきたり(汗)。

自分でも「このままじゃダメだ」って分かっているんです。現在開催中の「G1 CLIMAX34」に出場できなかったのは、予選で敗退したからではあるけれども、平生から常にコンディションを維持できていたら、きっと予選に回る必要もなかったことでしょう。

悔しいなぁ。学生のとき校内で見た「服装の乱れは心の乱れ」的な標語の張り紙。今になって分かるというか「心の乱れはカラダの乱れ」であると。

心の在り方は、肉体にも大きな影響があるということなんですね。ということは、まず僕が取り組まないといけないのは、心を正すこと。

しかしながら、何をどうすれば、心が整うのでしょうか? サウナに行って「整え」ましょうか? 禅を習ってみましょうか? ん~、どうも付け焼刃で終わりそうですね。

やはり、一番は「大きな目標」を持つことですね。ゴールがないとスタートがきれませんからね。よーーーし!頑張るぞー!

あ、でも、師匠である武藤敬司さんが「プロレスはゴールのないマラソン」と、仰っていたのを、なぜか、このタイミングで思い出してしまいました。あーー!

こうして書いてきても、行間にあふれる「引き締まった肉体を取り戻したい!」という熱い気持ちと、現状、どうにも変化が出ていない、むしろ、太っている焦り。

逸材ボディ復活の目途は…

かぁ~困った。この現状を何とか変えたいと、先日、1年ぶりくらいに岐阜県大垣市の実家に帰ってみました。プロレスを好きになり、プロレスラーに憧れ、弟とプロレスごっこに明け暮れた思い出の場所。そんな決意で降り立った岐阜羽島駅。

土曜日だったので、弟が迎えに来てくれました。しかし、そこに現れたのは、100kgを超えるくらいぽっちゃりとした弟。「ユウジ、太ったね」と、そんな会話で始まり、100kgを超える兄弟を乗せた車は、キツそうなエンジン音を上げながら実家へ。

母は外出中だったので、父と弟と、男3人で弟おすすめのラーメンを食べることに。そして、腹一杯になって帰ってきたところに、母が合流して「ウナギが食べたい」というので、晩ごはんは、鰻重に。

なぜ、僕は実家に帰ってまで増量しているのだろうか? この連鎖を早く断ち切り、新たな目標をもって「リスタート」します。

そしたら、秋頃にはきっと…。

でもなぁ~秋と言えば「食欲の秋」だしなぁ~。

すみません。ということで、逸材ボディ復活の目途は、今のところ立っていません。

…というか、誰か!助けて!

棚橋弘至

たなはし・ひろし/1976年生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学法学部卒業後、1999年デビュー。低迷期にあった同団体をV字回復に導き、昨今のプロレスブームをリング内外の活動で支える。