【棚橋弘至・連載】第40回:見えた! 棚橋の未来図 再び駆け上がる頂点までの道

新日本プロレス「100年に一人の逸材」棚橋弘至が綴る、大胸筋のように厚く、起立筋の溝のように深い筋肉コラム。第40回のテーマは「棚橋弘至改造計画のその後」について。

由々しき事態、発生です

皆さん、事件です。まさかの「大リバウンド」です。「棚橋弘至改造計画(4月~6月)」の2か月で、6キロ減らした体重が、短期間で4キロ戻りました。

ん?「大」ってほどではないですかね。減らした以上には、戻ってないですからね。じゃ「中リバウンド」で。

プロレスラーなので「大きくていいじゃないか」と思うこともままあります。しかし、体の仕上がり具合(主に腹筋)を含めたコンディションは、試合に臨むうえで「自信」となり、パフォーマンスが変動するタイプのレスラーだということが、キャリアを通して分かっているので、今回の「リバウンド」は早めに対処しておきたい、由々しき事態なのです。

原因は、やはり食事ですね。少し腹筋の溝が見えてきて、周りのみんなにも「よく頑張りました」的な褒め言葉をいただいて、気を緩めてしまったんですね。その昔、あるエースレスラーが「お腹のゆるみは、気のゆるみ」と言っていましたが、自然の摂理を的確に捉えた、なかなかの名言です(迷言?)。

ここで踏ん張れるか。岐路に立たされています

さて、「人はなぜリバウンドしてしまうのでしょうか?」。今回は、この問題について考えていきます。

皆さんも経験があるのではないでしょうか?リバウンド。厄介ですよねぇ。長い期間をかけて、少しずつ、少しずつ、体重計とにらめっこしながら、減らしていった数字が一瞬で戻るんですからね。

〈新日本プロレス〉のYOSHI-HASHI選手がコメントなどで「変わるのは一瞬」という言葉をよく使いますが、僕から言わせてもらうと「太るのは一瞬」になりますね(真理)。

今朝も体重計に乗ってみましたが、「まぁこれくらいだろう」という僕の予想通りの数字でした(非公開)。

棚橋は、ここで踏ん張れるか? それとも、ずるずると太っていってしまうのか? とても大事な岐路に立っています。キロを気にしながら岐路に。

今後は、「1.4東京ドーム大会」に向けて、「棚橋弘至改造計画Ⅱ」があるとかないとか。

企画が始まるまでは少し時間がありそうとのことで、今、頭の中を「放牧」という2文字がよぎりました。「棚橋を放牧!」丸々と太り、栄養を蓄える期間になるイメージしか浮かばない。

ダメだ! それだと、ずっと今のままの状態が続いてしまうし、ドームにも間に合わない。そうならないためにも、早速、対策を練っていきましょう!

ま、対策と言っても、パッと浮かぶのは、有酸素運動、食事管理、燃焼系サプリメントなど、現在も継続中のことばかり…。

となると、まったく違う角度から見直すべきだろうか?

例えば…メンズエステ! 凝り固まった脂肪を絞り上げてもらって、なんだったら、男性ホルモンの分泌(個人差はあります)も、相まって、脂肪の燃焼が加速するかもしれない。

もしくは、違う競技を始めてみるのもありですね。競技が違うだけで、使う筋肉も大きく違ってくるので、筋肉に新たな刺激が入る可能性もある。休みの日に、ダーツやビリヤード、ボーリングとか、行ってみようかな(ほぼレジャー)。

本来の目的は何だ?

ああ。ダメだ。完全に迷子。そんなある日、こうして頭を抱えていた僕に、新日本プロレストレーナーの菅野さんがアドバイスをくれました。

「棚橋さん、痩せることが目的なのか、試合で活躍することが目的なのか?目的を見失ってはダメですよ」と…。

ハッとしました。僕は、体脂肪を落とすことに必死になっていたのです。違いますよね。しっかりとコンディションを作り、試合でファンの皆さんに喜んでいただくことが、僕の本来の目的。

菅野さん、ありがとうございます。しっかり、コンディションを作って、もう一度、頂点に駆け上がる。

想像してみてください。棚橋のコンディションが良くなる→試合での動きのキレが戻る→白星が続く→タイトル戦線に再浮上→メインイベントへの登場回数増加→「愛してま〜す!」で大会を締め続ける→エアギターで脂肪燃焼加速!→タイトルマッチ挑戦→再び、頂点へ!できました。

未来図が描けました。頑張りますね!なので、皆さん、もう少し、いや、あと半年くらいは、僕に時間をください(汗)。

棚橋弘至

たなはし・ひろし/1976年生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学法学部卒業後、1999年デビュー。低迷期にあった同団体をV字回復に導き、昨今のプロレスブームをリング内外の活動で支える。

本連載『モテ筋肉でいいじゃないか』は毎月・第2金曜日に公開予定。次回は、2024年8月9日(金)に公開予定です。