凜としてかっこよかった。イギリス紳士から学んだテーラー平野史也の姿勢哲学
世の中にはそこに立っているだけで周囲の視線を惹きつける人もいる。「美しく立つこと」が仕事に必要不可欠な人に、姿勢に対する哲学を聞いた。今回は、テーラーの平野史也さん。英国サヴィル・ロウの名門で修業を積んだ平野さんの凜々しい姿勢の手本になったのは、イギリス時代に見たテーラーたちの接客だった。
取材・文/河野友紀 撮影/内田紘倫 スタイリスト/中村抽里 ヘア&メイク/岩淵賀世
初出『Tarzan』No.879・2024年5月9日発売
立っていても、座るときも。姿勢でスーツを引き立てる
「自分が作る服を美しく見せたいですし、僕のスーツ姿を見たことがきっかけで、お店に来てくださる方もいらっしゃる。ですから自分自身、姿勢よく立ち、歩くことを心がけています」
そう語るのは、英国サヴィル・ロウの名門で修業を積んだ、ビスポークテーラーの平野史也さん。凜々しい姿勢の手本になったのは、イギリス時代に見たテーラーたちの接客だ。
「胸を張って顎を引く。踵に重心を乗せ、両足でしっかりと立ってお客様を迎える。スーツが美しく見えるのはもちろん、凜としていてかっこよかったんです。布を裁断したり縫っているときは前かがみになりますが、そういうときでも胸を張る。それはいつもしっかりと意識していますね」
多くの体型を見てきた平野さん曰く、日本人男性は巻き肩と反り腰の結果、尻が平たい人が非常に多い。
「スーツ姿には尻も大切。骨盤を立てることで尻が立体的になり、パンツのラインも綺麗に出ます。上半身だけでなく骨盤も意識してみてください」