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いい大人になると“その話題”についてはあまり触れないもの。だからこそ、あなたの当たり前は当たり前でないのかもしれない。より正しく、そしてより健康的なオナニーライフを始めよう。
ぶっちゃけ、皆さんオナニーしてますか? そう問われて引き気味になるあなたは、下にある20~50代の男女400人に聞いたオナニーの回数に関するアンケートを見てほしい。男性は実に8割が自慰に勤しみ、逆に女性は6割以上がしないと回答している。少なくとも男性にとって、自慰行為は身近なものだと言えるだろう。
性欲を持つ生物として自慰行為を行うのはごく自然なことだし、オーガズムに達すると免疫力がアップしたり、脳内麻薬エンドルフィンが出てストレスを発散するとの研究結果もあったりする。筋トレなどと同じく、ほどよくする方が健全だ。
ならば、そのオナニーを正しく、より健康的に行うことを『ターザン』は提案したい。まず男性向け指南役としてご登場いただくのが、男性の性に関して幅広く啓蒙活動を行う〈プライベートケアクリニック東京 東京院〉の小堀善友院長。曰く、やり方次第で男性のセックスに悪影響を及ぼすことがあるのだとか。
「勃起はするし、オナニーもできる。ただし、パートナーの膣の中では射精できない。そんな悩みを持つ男性が近年増えています。これは膣内射精障害と呼ばれ、治療法が定まっていないやっかいな症状です」
その主な原因はずばり、不適切なオナニーにあるという。
「患者さんの多くは、ペニスを強く握ったり速く動かして刺激する“強グリップ”、脚に力を入れて伸ばさないと射精できない“脚ピン”、手を使わず床などにペニスを押し付けて勃起せずに射精する“床オナ”など、膣内に挿入している状態とは異なる刺激のオナニーを続けた結果、いざ女性とセックスするときに膣内の刺激で何も感じられず、射精できなくなっていると考えられます」(小堀先生)
そうした男性が増えた理由としては、延々と動画を見続けながら行うケースが増えたこと、ネットを中心に快楽一辺倒なやり方が広まったことなどが考えられるが、いずれにせよセックスとかけ離れた刺激に慣れてしまうのはよくない。
「精子を溜めすぎると新しく作られる精子の勢いを下げるリスクもあるので、特に子作りを計画中の方は最低週1回はオナニーするべきなのです。ただ、やり方を間違えるとセックスでは満足できないカラダになる恐れがある。
オナニーとセックスは決して別物ではなく、いいオナニーの先にはいいセックスがあると考え、改善していきましょう」(小堀先生)
パートナーとのセックスのとき、膣内で射精できているなら問題ないが、「膣だと刺激が足りない」と感じているようなら普段のオナニーに問題がある可能性がある。オナニーとセックスを分けて考えず、よりよいセックスのためにオナニーすると心得よう。
まずペニスを握る際はなるべくソフトに握り、弱い刺激でも射精できるよう心掛けたい。また、ガチガチに脚に力を入れてイッたり、ペニスを床に擦り付けて半勃ちでイクようなことはセックスではあり得ないのでこれも厳禁。
できるだけ肩の力を抜き、脱力状態で射精すること。あとは手でしごき続けるのではなく、腰のピストンも加え挿入を想定して行うこと。日頃の訓練が大事だ。
オナニーなら射精可能だけど、セックスでは膣内で射精できない症状が膣内射精障害。潜在患者数は約270万人、成人男性の約20人に1人といわれ(TENGAへルスケア調べ)、決してレアケースではない。
「結婚し、子作りする段階になり初めて症状に気付く夫婦からの相談は多く、私の調査では男性不妊外来を受診した性機能障害患者の約半分が膣内射精障害でした。こじれると最悪、夫婦関係の破綻にも。早期治療、改善を勧めます」(小堀先生)
不適切なオナニーに加え、不妊治療によるプレッシャー、相手がいると射精できないといった心理的原因もあるため、男性は一人で抱え込まず、診療を通じてパートナーも障害であることを理解すること。そしてグッズ等を使い改善に努めたい。
5つのカップの刺激の強い方から徐々に慣らしていき、射精のタイミングをコントロール。弱い刺激のカップで射精できれば膣内射精できる可能性がUP。
一方、女性向けの指南役は婦人科医・形成外科医として多くの女性の性の悩みに応える〈なおえビューティークリニック〉院長の喜田直江さん。先のアンケート結果を見る限り、女性はオナニーをする割合が少ない。
「女性は加齢とともに女性ホルモンの分泌量が減ったり、膣粘膜からの分泌物や膣内壁のコラーゲン量も減少し、乾燥し硬く縮む膣萎縮の症状が起こりやすくなります。その予防策として自慰による刺激が有効です。
どうしても恥ずかしいものと思われがちですが、特に30代以上の女性にはカラダの老化防止、活性化のためにも行っていただきたいです」(喜田先生)
女性にとっては自慰行為が“性の活性化”につながる可能性もある。「セックスだと全然イケない」という人も、ひとりならば自分の感じやすい部分を時間をかけて探し当て、集中的に刺激できるのでオーガズムに達しやすい。
またそのことでセックスに対してより積極的になれるため、仮に最近セックスレス気味だとしても、再びパートナーとの関係が深まることも期待できる。加えて、性的な興奮状態を適度に作り出すことで毛細血管が拡張するため、全身の血流が改善したり、性交痛の予防につながるメリットもある。
「ただし、膣やクリトリスは粘膜に覆われたデリケートな部位なので、清潔に扱いましょう。直接触れるなら必ず手と指先を洗ってから。膣を傷つけないために潤滑ジェルを取り入れたり、道具に頼っても問題なし。恥ずかしいと思う必要は全くありません。カラダと心のためにもどんどん自慰をしてみてください」(喜田先生)
「まず自慰行為は恥ずかしいもの、という考えを捨てて肩の力を抜きましょう」と喜田先生。キレイに健康的になるために行うと割り切って、性生活を豊かにするものとして自然に取り入れたい。
手指で触れる膣の表面は粘膜に覆われているため、事前に必ず爪を切り、手指はしっかり洗うのが鉄則。指で触れるのに抵抗があれば道具を使って構わないし、むしろ気持ちいい部位を探し当てやすくなる。常に清潔な状態で使うことで性器を傷つけにくいメリットも。
最近は女性向けの潤滑ジェルが数多く出ているので、性交痛や性器が傷つくのを防ぐ意味でも積極的に取り入れたい。スティック型などタイプもさまざま。
性交痛とは読んで字の如く、セックスの際に感じる痛みのこと。
「性交痛のほとんどは挿入時の膣内の潤い不足が原因と考えられます。女性は性的興奮が高まると下半身に血液が流れ、膣の周りに張り巡らされた毛細血管が拡張して血管壁の隙間から膣潤滑液が垂れてくる。これが“濡れた”状態です。
しかしストレスや緊張、前戯が不十分といったさまざまな理由でこの液の分泌が不足すると、潤いが足りず性交痛につながるのです」(喜田先生)
対処法としては、積極的にオナニーをして“濡れやすい”状態を作り出すこと、どうしても濡れにくい場合は潤滑ゼリーを使い人工的に潤わせるのもひとつの手だ。もちろん、パートナーはセックスのとき女性のカラダを大事にいたわること。
膣に先端部分を約5〜8cm挿入し、ひと押しして使用。7つの天然成分で長時間潤いが持続する。パートナーとの時間はもちろん、一人で行う際にも役立つ一品。
男性はやり方を改善し、女性はもっと積極的に。正しいオナニーで、よりヘルシーな性生活を!
取材・文/黒田創 撮影/小川朋央 イラストレーション/高橋潤 取材協力/小堀善友(プライベートケアクリニック東京 東京院院長)、喜田直江(なおえビューティークリニック院長)
初出『Tarzan』No.816・2021年8月5日発売