シャモニーの“モンブラン”とは?
フランス東部、アルプス山脈の麓に位置するシャモニー。標高約4,806m、アルプス最高峰のモンブランを望むこの山岳リゾートは、18世紀後半から19世紀にかけて登山・アルピニズムの中心地として発展してきた。世界最古の山岳ガイド組織が設立された地としても知られている。
「プラン・ド・レギュイユ」は、ロープウェイの中間駅。標高2,310m地点で、シャモニーの町まで下りられるトレイルがある。先ほどの雪景色とは一転、緑が生い茂り、ヤナギランなど山野草も。トレイルランナーたちも颯爽と走っていく。
「プラン・ド・レギュイユ」には、そんなランナーやハイカーたちが空腹を満たすレストラン「Refuge du Plan de l’Aiguille」がある。シャモニーを象徴する食事は、フランス・サヴォワ地方の郷土料理。カロリーを大量に消費するランナーたちにも嬉しい、チーズをたっぷり使ったフォンデュやラクレットなどがメイン。
シャルキュトリーと呼ばれるハムやサラミ、ソーセージなどが味わえる。ローカルワインも豊富で、白ならアプルモン、赤ならモンドゥーズという品種を勧められることが多い。

ハイカーとランナーが集うレストラン「Refuge du Plan de l’Aiguille」

(上)看板メニュー「山のオムレツ」。じゃがいもなどの具材がチーズと卵に包まれている。 (中)山岳地域ならではの保存食は、食文化の一つ。(下)自家製「季節のフルーツのタルト」。ブルーベリータルトは、シャモニー周辺では定番のデザート。
HOKA UTMB®にあるレースの種類。
「HOKA UTMB® 」に話を戻そう。今年の開催期間は、8月24日(月)〜30日(日)の1週間。シャモニーを中心に、フランス、イタリア、スイスの国境をまたいで、レースは行われた。2026年は、UTMB、CCC、OCCをはじめ、TDS、MCC、ETC、YCC、PTLなど、さまざまなカテゴリーのレースが行われる。中でもOCC・CCC・UTMBの3レースがUTMB World Series Finalsとして位置づけられ、世界中の予選を勝ち抜いたアスリート、予選を完走して出走資格を得た一般のランナーが出場する。
これらのレースが行われる27日からの3日間は、町中が盛り上がり、世界各国から1万人を超えるランナーと、その家族や観客、関係者が集う。まさに、トレイルランニングの一大祭典というわけだ。
ゴール地点のすぐ脇にあるHOKAのショップや街中に設置された大画面、公式HPやアプリLive Trailなどで、レースは夜通し中継され、人々がレースの展開を見守りながら声援を送っている。フランス語の声援、「Allez, Allez !(行け、行け)」、「Bravo(ブラボー)」といった言葉がランナーに向けられ、シャモニー中に響き渡る。

町中の歩道を走るレース中のランナーを友人たちがゴールまで並走する。

レース中に言葉を交わし、一緒にゴールを目指すことも。

出走者はヨーロピアンが多いが、年齢も国籍も様々。

年々女性ランナーの存在感が増している。一般ランナーにも多い。

(上)パートナーとレース中の想いを分かち合う。 (下)ゴール付近で待ち構えていた家族と落ち合うランナーもいる。
OCCは、スイスのOrsières(オルシエール)をスタートし、Champex、Trientを経て、シャモニー(フランス)にゴールする約60km、累積標高約3,500m。CCCはCourmayeur (イタリア)から始まり、 Champex(スイス)からシャモニーに戻る約108km、累積標高6,200m。
CCCはシャモニーの街の中を通過してゴールするので、カフェのテラスや沿道から声援が上がり、とても盛り上がる。そして、最も大きなレースがUTMBで、シャモニーを出発し、イタリア、スイスを通って、シャモニーに戻る174km、累積標高9,000mにものぼる。

大会メインスポンサーとしてのHOKAの役割。
現在、大会の正式名称は「HOKA UTMB Mont-Blanc」。HOKAはUTMB World Seriesのプレミア・フットウェア&アパレル・パートナーであり、World Series FinalsとMajorsではタイトルパートナーを務めている。2024年には2028年までの5年間のパートナーシップ延長が発表され、大会名にもHOKAの名が冠されている。
UTMB World Seriesには世界各地で大会が開催され、そこからシャモニーのFinalsを目指す仕組みになっている。アスリートだけでなく、定められた条件を満たせば誰もがその舞台を目指すことができる一方、TDSを除く多くのレースでは抽選によって出走権が決まる。もともとは地元発祥の300人規模の小さなレースだったUTMBが、世界的なシリーズへと成長するなかで、HOKAはそのグローバルな展開を支えてきた。

HOKAのフランス人選手Sylvain Cachardと男子1位のFrédéric Tranchand選手の抱擁。地元フランス人選手への声援は一際大きい。
HOKAが担うのは、競技用シューズやアパレルの提供にとどまらず、世界各地のランナーがトレイルランニングに参加し、最終的にシャモニーのFinalsを目指すためのコミュニティづくりや競技人口の拡大を支えること。
大会期間中、シャモニーには世界各地からトップアスリートが集まる。HOKAも、自社アスリートたちとのコミュニケーションを大会の重要な活動のひとつとしている。アスリートはレースで戦うだけではなく、ランニングカルチャーをともにつくる存在なのだ。

日付が変わっても、ゴールにはランナーを待つオーディエンスが。
今年は大会期間中、HOKAはシャモニーのホテル「La Folie Douce」に、ブランド独自のコミュニティ・イベントスペース「HOKA Base Camp」を設置。HOKAとランナー、アスリート、来場者が接点を持つための“拠点”なのだという。
「HOKA Base Camp」では、初日に「HOKA UTMB Mont-Blanc Shakeout Run」を開催。レースを目前に控えたランナーたちが山を走り、互いに交流する場となった。また、「HOKA Base Camp」にはレースを中継する巨大スクリーンを設置し、ドリンクやフードを提供。レストスペースやシューズの試し履きコーナーを設置。
そこではランナーやコミュニティが交流する「ランナーズ・ギャザリング」、フランスが誇るレジェンド、トレイルランナーLudovic Pommeretを祝うパーティ「Let’s celebrate Ludo」、最終日の「フィニッシャーパーティ」など、多彩なプログラムが開催され、多くのランナーたちが駆けつけていた。

HOKAに所属するLudovic Pommeretと若いファン。レジェンドでありながら、気さくなキャラクターで応じる。
最高峰といわれる大会の現場の雰囲気は。
なぜ、HOKA UTMB®は世界最高峰と呼ばれるのか。それは、圧倒的なロケーションと走った人にしか知り得ない景観の素晴らしさ、スケールの大きさにあるのではないだろうか。そして、ランナーが本大会を目標としてきた出場にかける想い、人々の熱狂なども別格だ。
現地には、HOKAがサポートする10代のトレランチームから、多くのレースを経験してきた熟練のランナー、ボランティア、ランニングの文化を発信するインフルエンサー、世界中のメディアまで、幅広い年齢層の競技者とファン、関係者がいて、競技に対する成熟度、層の厚さも感じた。

朝日を浴びるモンブラン。シャモニーの町に静けさが戻る。
レースが終われば、ランナーと関わった人たちはそれぞれの国や地域へ帰っていく。それでも、シャモニーでトレイルを走りながら見た光景や、レースを通して経験したドラマは心に焼き付いているだろう。
山を走ることをきっかけに、年齢と国籍、競技歴も違う人々が集まり、町全体がひとつになる。ここでの出会いは、また別の場面での再会にも繋がっていく。モンブランを望むこの小さな谷間には、走ることとその先にある人間らしさが、確かに息づいている。




















