無重力の瞑想体験・フロートタンクで、情報疲れの日々に余白を。
日々、膨大な情報や刺激にさらされ続ける現代人。そんな張り詰めた頭とカラダを休ませる方法として注目したいのが、光と音を遮断して水に浮かぶフロートタンク。感覚刺激を減らし、心身をニュートラルに戻す時間を試してみよう。
text: Shintaro Kawabe photo: Hiroshi Nakamura
『Tarzan』No.931 on sale August 6, 2026.

体験した人
渡部翔太(わたなべ・しょうた)/1990年生まれ。ヘアサロン〈ブローチ表参道〉を経て、フリーランス美容師に。週3ペースでプールに通う。
光と音を閉ざして水に浮かび、思考とカラダをニュートラルに。
光も音もなく、重力さえ遠のく。そんな非日常を味わえるのが、東雲の〈フロートスパ COCORODO〉のフロートタンクだ。原型は、1950年代にアメリカの神経科学者ジョン・C・リリーが、感覚刺激を制限した状態で意識がどう変化するかを探るために開発したもの。現在は欧米で、リラクセーションや瞑想、アスリートのコンディショニングに活用されている。
実際、45分間のフロートを続けた人に、抑うつの軽減や睡眠の質の改善が見られたという研究もある。硫酸マグネシウムを主成分とするエプソムソルトを約550kgも溶かした34度ほどの水に横たわると、死海のように浮かぶ。蓋を閉じると光や音が遮られ、姿勢を保つ必要もない。
ポイントは、鼻から吸い、吐く息を長くしながら、呼吸へ意識を向けること。考え事が浮かんでも追いかけず、呼吸を軸にすると、思考の揺れは小さくなるという。眠っても、溺れる心配はない。
また、じっとしていることへの落ち着かなさも、今の心身を映すサインだ。タンクから出ると、カラダが急に重く感じられることも。それは、普段いかに重力や刺激にさらされ、神経を働かせているかに気づく瞬間でもある。刺激の少ない無重力空間に身を置くことが、張り詰めた頭とカラダをニュートラルへ戻すきっかけとなり、情報にさらされる日々に余白をもたらしてくれる。

施術中は蓋を閉じ、照明は色を変えて点灯することも、消すこともできる。光や音など外からの刺激が少ないぶん、呼吸や全身の感覚に意識を向けやすく、瞑想に不慣れな人も集中しやすい。通常は耳栓を着け、水着は着けずに入る。「眠っているようで起きている初めての感覚でした。上がった直後から頭がポワッとしました。」
35〜38度の不感温浴は副交感神経を優位にします。
自宅の浴槽で、フロートタンクに近い環境は作れる。鍵になるのは、35〜38度のぬる湯に最長30分浸かる不感温浴。東京都市大学の早坂信哉教授によると、体温に近い湯は熱くも冷たくも感じにくく、カラダへの負担が少ない。浮力で筋肉の緊張がゆるみ、副交感神経も優位になりやすい。
さらに照明を落として刺激を減らせば、フロートタンクの感覚に近づけられる。血流を促したいなら、炭酸系入浴剤を加えるのも一案。
夏の火照ったカラダのクールダウンや、寒暖差で乱れがちな自律神経を休ませる助けにもなるので、特に暑い季節におすすめだ。
〈COCORODO〉
フロートスパは60分9,000円、90分13,000円、120分16,000円。東京都江東区東雲1-9-11 東雲キャナルコートCODAN11 222。要予約、10:00〜22:00(火曜16:00まで)、月曜休。WEBサイト


