草野球歴は30年以上。今、ピエール瀧さんに必要なストレッチ。
月2回の草野球を30年以上続けるピエール瀧さん。だが、頭の中は若い頃のままでも、カラダは正直だ。怪我なく長くプレーするために必要なのは根性ではなく、正しいケア。大人の野球人が知るべき、カラダの整え方を探った。
text: Hana Funaoka photo: Masanori Ikeda edit: Taichi Abe exercise supervisor: Takahiro Kanbe
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Profile
ピエール瀧(ぴえーる・たき)/1967年静岡県生まれ。テクノユニット〈電気グルーヴ〉メンバーとして活動する傍ら、俳優としても多数の作品に出演。草野球チーム〈ピエール学園〉を主宰し、キャプテンとして30年以上グラウンドに立ち続ける。
神戸貴宏(かんべ・たかひろ)/パーソナルトレーナー。〈Body Design Studio ASK〉代表。トレーニングと食事両面から丁寧なダイエット指導を行う。さまざまなメディアで著名人のボディメイクやストレッチ、ポージング指導なども。
グラウンドに立ち続ける、草野球人のカラダ事情。

「電気グルーヴの次に長く続けていることかも」と語る、ピエール瀧さん主宰の草野球チーム〈ピエール学園〉。気がつけば30年以上続いているそうで、まさに人生を懸けた大人の本気の遊びだ。チームの平均年齢は50歳ほど。月2回、グラウンドに集まる。
「とにかく無理せず楽しく。みんなで楽しくプレーすることが一番大切だから、怪我するような無茶はしないんですよ。これからも長く続けたいじゃん」
そう笑う瀧さんだが、先日、チームを揺るがす事件が起きた。ある日の試合で、三塁に進塁し、パスボールでホームを狙ってスタートを切った瞬間、左ふくらはぎがバツッと肉離れを起こしたのだ。
「頭の中では若い時のまま、完璧に点を狙えると思ってスタートを切ったところ、カラダが全くついてこないの。子供の運動会でつまずいて、縦回転のえぐい転び方をしちゃうお父さんっているじゃない? まさにあれ(笑)」
現在は完治したものの、気になるのは怪我の再発だ。
「癖になるって聞くし、同じところをまたバツッとやるのが一番嫌。しばらく不自由になるし、大好きな野球ができない期間ができるのは本当に勘弁してほしいよね」

もともとは甲子園を目指していた高校球児。ポジションはファーストとピッチャー。おじさん野球チームだからこそ、全力プレーより楽しむがモットー。
ほかにも悩みはある。腰まわりの硬さ、そしてガチガチの肩甲骨。投げるにも打つにも、野球ではどちらも欠かせない。
「野球は全部腰を使うからね。そこがスムーズに回るように対策したい。それと同時に、肩甲骨あたりがガチガチなのも普段からすごく気になっていて、日常からケアできるといいんだけど」
これまでのストレッチといえば、試合や練習の前に最低限やる程度だったという。
「怪我しないようにする程度で、どこに効いているかなんて考えたことがなかったね」。
ピエール瀧さんの悩み事。
- 投打の要、腰をしっかり回したい。
- ホームに走って痛めたふくらはぎが心配。
- ガチガチの肩甲骨あたりをやわらかく!
そんな瀧さんに今回の講師であるトレーナーの神戸貴宏さんが提案したのは、怪我の再発防止のために外旋の癖をリセットするアプローチや、グラウンド外でも取り入れられるストレッチだ。実際にレクチャーを受けてカラダを動かしてみると、その印象は変わった。
「自分じゃ絶対に思いつかない動きとアプローチでびっくりだね。なぜそうなっているかを説明してもらえると、カラダは全部繫がっているんだなって納得がいく。やっとわかる感じ」
野球だけではない。ライブのステージも、舞台の上も、カラダはいつだって本番を抱えている。
「カラダが資本なのは、グラウンドだけじゃない。ライブも舞台も、動けなきゃ話にならない。ケアを日常に取り入れられるといいなって、思いましたね」
ストレッチ1. 脇腹を伸ばして、腰まわりの回旋力を高める。
脇腹や体側が硬くなると、腰まわりの回旋は小さくなりやすい。投げる、打つ、走る。草野球のほとんどの動きに必要なのが、この“ひねる力”だ。「腰まわりの回旋力は、脇腹の筋肉をほぐすことで可動域が広がります」とトレーナーの神戸さん。
バットを真上に掲げてゆっくりカラダを倒すことで、体側がじわっと伸び、腰まわりも動きやすくなる。ポイントは下半身の固定。足裏全体で地面を踏みしめるほど、上半身への効きが増す。
「てっきり腰に直接アプローチするのかと思ったら、脇腹なんですね。確かに、倍動いてる感じがする」と瀧さん。下半身を固定したままカラダを倒し、脇腹が伸びているのを感じながら深呼吸を3回。倒し切った位置でキープするのがポイント。左右を変えて同様に。
ストレッチ2. 外旋の癖をリセットし、ふくらはぎの怪我再発を防ぐ。
ふくらはぎの再発が気になるからといって、患部だけを見るのでは足りない。神戸さんが着目したのは、股関節の正しい使い方だ。
「ふくらはぎの怪我を繰り返しやすい人は、股関節が外に開く癖を持っていることがよくあります」。
その癖があると、走るたびにふくらはぎへの負担が偏りやすくなる。このストレッチでは、股関節を内側に意識しながら、体幹ごと連動させて動いていく。瀧さんにも外旋の癖がある様子。
「普段しない体勢をキープしながら動くから、結構キツいな……。それでも、怪我防止のために入念にしたい」と瀧さん。患部そのものではなく、動きの癖から整えるストレッチだ。
グラウンドの木を使ったストレッチ。バットを胸の前に抱え、バットの先が木すれすれの距離に立つ。爪先は正面へ。バットの先を木に当てないよう8の字を描きながら腰を落とし、股関節を内側に絞るように使う。木との距離が近いほど難度は上がる。慣れてきたら少しずつ距離を縮めよう。
ストレッチ3. 背骨の正しい動きを引き出し、しなやかに連動する肩甲骨に。
ガチガチに固まった肩甲骨をほぐすには、肩甲骨だけを単独で動かそうとしないこと。大事なのは、背骨から連動させて動かすことだ。背骨の動きが出ると、肩甲骨まわりも自然にしなやかさを取り戻しやすい。
ゲームやデスクワーク、日常の前傾姿勢で肩まわりが固まりやすい瀧さんにも、この動きは相性がいい。「肩まわりが硬いから、特に効く感じがする」。草野球のためだけでなく、日常の姿勢をリセットするためにも続けたい。
両手を背中側で組み、肩幅に足を開いて立つ。上半身を前傾させ、お尻が浮かないよう注意しながら下半身を固定。肩甲骨から動かすことを意識しながら、上半身をゆっくり左右にひねっていく。背骨から連動させて回すのがポイント。下半身が浮いてしまうと効きが弱くなるので注意。呼吸を整えながら繰り返す。










