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抗酸化作用の強いサザンカは、花びらのガリとフリット、そして重ね茶に。|2月のハーブ・山茶花

庭の植木や街路樹としてもよく目にする、冬の花・サザンカ。ツバキ同様に種の油が重宝されてきましたが、「葉や花にも大きな可能性を感じている」とハーブスタンドの平野優太さんは言います。抗酸化作用に優れた身近な植物は、実はスパイシーで、美味しいハーブでもあったのです。連載「ワンモア・ハーブ」第15回は、目に鮮やかな花を咲かす、サザンカについて。

取材・文/村岡俊也 撮影/ナタリー・カンタクーゾ 料理/阿部匠海

山茶花

サザンカは、チャノキと同じツバキ科ツバキ属の植物です。同じ科で同じ属性の仲間がいるのに、どうしてお茶はチャノキでしか作られないのだろう。その疑問が、ツバキやサザンカの可能性を探求するきっかけでした。

チャノキもサザンカも、葉の表面が艶々とした照葉樹で、自分たちの身を守るために葉がコーティングされている。外の攻撃から守られているために、中の成分を抽出しづらいんです。ツバキは、初め、乾燥させただけではまったく味が出なかった。そこで細胞を壊さなければ香りが出せないことに気づき、チャノキのお茶の製法を取り入れてみたんです。蒸したり、焙煎したり、揉んだり。さまざまな加工を試してみたところ、ツバキからも日本茶の味を出すことができました。しかも面白いのは、ツバキの葉では、カフェインの含有量がかなり少ないこと。もしかしたら、新たなノンカフェインのお茶を作ってしまったかもしれません。

一方でサザンカは、乾燥させただけでも香りが出たんです。山茶花とも書くサザンカはツバキと非常に似た種で、しかも掛け合わされて多様な品種があるので、まだ明確にどの品種が美味しいのか研究しきれていないのですが、スパイシーで、料理にも重宝する。チャノキやツバキ同様に、香り豊かなお茶にもなる。そして、ツバキ油で知られているように、サザンカも抗酸化作用にも優れた植物。ぜひ暮らしに取り入れてもらいたいハーブです。

こんなふうに使ってみるのはどう?

●「食べる」
サザンカの花フリット、サザンカと生姜のガリ

ー材料ー

フリット

サザンカ花 適量
小麦粉 60g
片栗粉 30g
炭酸水 100g
米油 揚油として
塩 砂糖 適量

ガリ

生姜(時期に応じて。今回はひね生姜を使用)300g
椿花 50g
米酢 200g
砂糖 100g
塩 10g

ー作り方ー

[ガリ]サザンカの花びらをサッと洗う。

薄く切った生姜とサザンカの花びらを10秒ほど湯がき、水気を取る。まだ熱いうちに、米酢、塩、砂糖を合わせた漬け汁へ。1日漬けたら完成。

[フリット]洗って水気を拭き取ったサザンカの花を、小麦粉と片栗粉を炭酸水で溶いた揚げ衣に潜らせる。

180度の油でサッと揚げて、完成。

サザンカの花を使ったお茶請けを二種類、考えました。タンニンが含まれているために雌しべは苦いので、花びらを使います。花びらに含まれるアントシアニンが、お酢の酸に反応すると赤くなるので、赤くて美しいガリができます。サザンカ本来の香りを活かしたいので、米酢を使っています。花びらには甘みがあって、その後に余韻をひくようにしてほのかな苦味が残ります。フリットにすると、その繊細さを丸ごと味わうことができるはず。甘みから渋みのような苦味へ。その変化を強調するために、塩と砂糖を振って食べることをオススメします。

●「飲む」
サザンカの重ね茶

―材料―

寒茶 3g
サザンカの蕾  1個
湯   300ml

急須に寒茶を入れ、湯を注いで通常どおり抽出する。

蓋碗にサザンカの蕾を入れ、急須で淹れた寒茶を、蕾の入った蓋碗に静かに注ぐ。

そのまま10秒ほど置き、蓋碗から茶杯へ注ぐ。

サザンカとツバキは非常に近い種でミックスもされているため、実は同定がすごく難しいんです。似た特徴を持っているので、サザンカの花は、ツバキの花でも応用できます。1〜2月に収穫されたお茶を使った寒茶は、カテキンやタンニンが少なく、甘い味わい。そこに冬の花であるサザンカの花を合わせました。お茶でお茶を出す手法を重ね茶と呼ぶのですが、今回は寒茶にサザンカの花の香りを移していきます。雌しべ雄しべの苦味が強いので、蕾を使って花びらだけにお湯が当たるようにしました。フローラルな香りの加わった穏やかなお茶は、柔らかく心身を温めてくれます。

2月のハーブスタンドの様子

富士北麓は厳しい寒さが続いています。植物たちは静かに春を待ち、雪の上には動物たちの足跡が残ります。この土地に息づく命の気配が、はっきりと感じられる季節です。