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〈Apple〉が生み出すクリエイティブの裏側へ。まったく新しいフィットネス習慣〈Apple Fitness+〉の制作スタジオをリポート。

この冬、新しいフィットネスサービス〈Apple Fitness+〉が日本に上陸。なかなか筋トレが続かないわたしは、その実態を確かめるため、ロサンゼルスの制作スタジオへ向かった。現地で体験したのは、〈Apple〉の圧倒的なクリエイティブが生み出す、新感覚のフィットネス習慣だった。

取材・文/山田さとみ

どうしても、筋トレが続かない。

身体を動かすのは好きだ。健康な体をキープしたいし、カッコいい体型にだってなりたい。自転車ならいくらでも乗れるのに、筋トレになると話は別だ。やらなくたってそこそこ健康だし、日常生活に支障はない。となると、「ちょっと面倒臭い」を乗り越えられるだけのモチベーションが湧かず、これまで何度も断念してきた。

そんなわたしに、〈Apple Fitness+〉を試す機会が訪れた。〈Apple〉が2020年に始めたこのフィットネスサービスは、今年に入って日本でも利用できるようになった。そんなタイミングに先駆けて、コンテンツを制作するアメリカ・ロサンゼルスにあるスタジオ〈Apple Fitness+ Studio〉で、実際のプログラムを体験させてもらえることになったのだ。

「iPhoneひとつで気軽に取り組める」という触れ込みのこのサービス。その“気軽さ”を確かめるため、ロサンゼルスへ向かった。

熱量あふれる、唯一無二のクリエイティブスタジオへ。

新しいウェルネスカルチャーが次々に生まれる街、サンタモニカ。にぎやかな街並みを抜けた静かな通り沿いに〈Apple Fitness+ Studio〉がある。洗練された閑静な建物の佇まいは、奥に広がる空間の存在感を予感させる。

大きな扉を開けた瞬間、スタッフ全員が割れんばかりの拍手と歓声で迎えてくれた。ここはオフィスでも、フィットネスジムでもない。一瞬で、エンターテインメントを生み出すクリエイティブスタジオなのだとわかった。

まずは〈Apple〉のフィットネステクノロジー担当バイスプレジデントであるジェイ・ブラニク氏に案内され、スタジオ内部を見学する。

建物に入ってすぐの応接室にも、エクササイズ用の設備がある。

一階にはソファやテーブルがあちこちに置かれ、トレーナーたちがデスクワークをしたり、談笑するようにミーティングをしている姿が目に入る。通路を進むと、次の収録に備えてヘアメイクを受けるトレーナーがいて、さらに奥には衣装部屋がある。さまざまなデザインやサイズのフィットネスウェアが所狭しと並び、カラフルな空間が広がっていた。

〈Apple Fitness+〉では、あらゆるユーザーが同じフィットネスを楽しめるよう設計されており、所属トレーナーは身長150cmの女性から180cmを超える男性まで、年齢層も20代から70代と幅広い。そのため、衣装も種類豊富に揃えられているのだ。

テレビ番組を撮影できるほどの設備を備えたスタジオ。光の色や強さを細かく制御できる照明により、プログラムやトレーナーに合わせた空間演出を瞬時に切り替える。1本の動画につき、カメラは最大7台使用する。

撮影が行われるスタジオは、想像を超える広さだった。自宅の一室や出張先のホテルなど、狭い空間でも実践できるプログラムになっているけれど、撮影スタジオはその何倍もの広さがある。

その理由は、このスタジオひとつで12種類のフィットネスが収録できるよう設計されているからだ。ヨガやピラティスに参加しても、背景にはダンス用のウォールや高強度インターバル用の設備が自然と目に入る。そのため映像は専門的すぎる印象にならず、誰もが気負わず参加できる、居心地のよい雰囲気に仕上がっている。

ヨガやメディテーションを担当するトレーナー、ジョネル・ルイスの撮影シーン。背景に映るプロップには造形物を使わず、レンガ、春材の床、植物などすべて本物にこだわっている。

もうひとつ特筆すべき点は、すべてワンテイクのライブ収録で行われ、事後の編集をほとんど加えていないこと。継ぎ接ぎされた映像では、動作や呼吸の間合いが失われ、映像に合わせてワークアウトする際に、どうしても違和感が生じてしまう。だから、実際の流れやその場の空気を、できるだけそのまま収録している。

これらの映像を撮影するため、天井には8台、床には5台ものロボットカメラが設置され、ハイクオリティなコンテンツが週に35〜40本も生み出されている。そのスケールには、ただただ圧倒された。

2階には、照明や音響を調整するコントロールルームがある。撮影はライブ収録のため、生放送さながらの作業が行われている。

音と動きで整える、多彩なワークアウト体験。

見学を終え、いよいよワークアウト体験へ。わたしはメディテーション、ピラティス、ヨガのプログラムに参加した。

一口に「メディテーション」と言っても、「Calm(穏やかさ)」「Sleep(睡眠)」「Focus(集中)」など、目的に応じて8種類のテーマが用意されている。この日、選んだのは「Sound(音浴)」。呼吸やナレーション中心のガイドではなく、音の響きやリズムに身を委ねるメディテーションだ。

チベタンシンギングボウル(歌うような倍音を出す楽器)、ゴングの低い響き、チャイムといった楽器の音色が重なり合い、身体全体がゆっくりと満たされていく。波のような音がそのまま心に入り込み、意識は自然と音へ向かう。気づけば思考は遠のき、身体だけがそこに残っていた。

「Sound(音浴)」は、音の質感を感じることで心と身体の輪郭が静かに整う、新しいメディテーションだった。

この日、メディテーションを教えてくれたのは、クリスティアン・ハワード。落ち着いた深みのある声で、心を鎮めてくれる。

ピラティスは、動作ひとつひとつはシンプルで簡単なのに、地味にきつい……。はじめは余裕に構えていたけれど、同じ動作が何度も繰り返されるうちに、自分の動きが少しずつ鈍くなっていくのを感じた。

そんなときは、動画の左後ろにいるトレーナーの動きに注目する。3人いるうちのその一人は、どんなレベルの人でも参加しやすいよう、より簡単な代替エクササイズを実演しているのだ。トレーニング初心者のわたしには、非常にありがたいオプションだった。

高強度インターバルを教えるアーニャ・ガルシアと、ヨガトレーナーのジョネル・ルイスと一緒にピラティス。みんなでやるとより楽しい。

ヨガの体験は、日本から来ているクリエイターのみんなと一緒に。

誰でも気軽に楽しめる、細部まで込められた工夫。

ほかにも、朝起きて着替えるのが面倒なときに「シューズ要らずのワークアウト」や、90年代の音楽に合わせて踊る「気分爽快!1990年代ダンス」など、ズボラなわたしでも気軽に楽しめそうなプログラムも用意されているという。

ラジオ好きとしては、「ウォーキングの時間」も見逃せない。歩きながら楽しむオーディオコンテンツで、ミュージシャンや俳優、アスリートなどが、自分の人生や日常の気づきを語ってくれる。写真や環境音も加わり、ウォーキングがちょっと特別になる。1エピソードは25〜40分なので、帰り道に一駅手前で降りて、いつもより少し長く歩きながら聴きたい。

日本オリジナルのコンテンツも随時更新中。第一弾として、芸人・渡辺直美による「ウォーキングの時間」がリリースされており、俳優・山下智久のコンテンツも近日公開予定。

音楽が充実しているのも〈Apple Fitness+〉の大きな魅力のひとつ。お気に入りのアーティストの楽曲に合わせてワークアウトでき、今後はJ-POPやK-POPアーティストも増えていく。

サブスクリプション登録時に、好きなアクティビティを登録すると、おすすめが「For You」に表示される。サービスを使うほど、好みのアクティビティやトレーナー、ワークアウトの長さ、音楽が反映される。

曜日・時間・期間を決め、好きなアクティビティや音楽ジャンルを選ぶだけで、ワークアウトのスケジュールを自動作成。いつ何をするか決まれば、始めるハードルも下がる。もちろん自由にカスタムもできる。

「狭いスペースでできるおすすめワークアウト」など、目的だけでなく自分の環境に合わせて選べるプログラムも用意されている。

ジェイ・ブラニク氏に、すでに展開されている国ではどんなコンテンツが人気なのかを尋ねた。

「多くの人が、短いワークアウトを気に入っています。初心者は習慣づくりに、上級者はジムで〈Apple Fitness+〉を使い、普段のワークアウトに組み合わせて自分だけのセッションを作っているんです。こうしたことからも、5分や10分のコンテンツをたくさん用意した考え方に、多くの人が共感してくれているのがわかります」

それにしても、どうやって毎週40本近くものクオリティの高いコンテンツを作り続けられるのだろう。トレーナーたちが答えてくれた。

「一番の特徴は、トレーナー全員が一丸となっていることです。お互いに協力し合うことで、ワークアウト作りにもその力が活かされています。進捗を確認し合いながら、『今週はこれをやったから、来週はこれをこうしよう』と調整できるので、プログラムは常に新鮮。チームワークこそが、前に進める原動力になっています」

映像には3人のトレーナーが登場するが、種目の専門は1人だけ。残りの2人はユーザーに近い立場からワークアウトをチェックし、意見を出し合ってブラッシュアップしているのだという。彼らは本当にエネルギッシュで、トレーナーというよりも、ショーに出演して人を喜ばせるパフォーマーみたいだ。

日本でのローンチイベントのため来日した4人のトレーナーたち。彼らのインスタグラムアカウントに感想やフィードバックを送ることができ、ユーザーの意見は次のワークアウト作りに活かしているという。

SNS感覚で、まずは5分。筋トレが日常になる瞬間。

どの側面から体験しても、抜かりなく作られていることが伝わり、〈Apple〉のクリエイティビティにはただただ感心するばかりだった。

iPhoneは、いまや手放すことすら想像できない存在だ。だからこそ、なんとなくSNSを開いてやり過ごしたり、くだらない動画を見て、あっという間に時間を溶かしてしまうことがある。それも、わたしが筋トレをサボる言い訳のひとつになっていたのかもしれない。

これからは、そんなときこそ〈Apple Fitness+〉を開いてみようと思う。SNSと同じだけ気軽に開けるはずだ。無意味にスクロールする時間の代わりに、まずは5分でも試してみる。

そうすれば、iPhoneのない生活が考えられないように、ワークアウトもいつのまにか日常に欠かせない習慣になっていく予感がした。

Apple Fitness+

iPhoneさえあればすぐに始められる、〈Apple〉が提供する受賞歴のあるフィットネスとウェルネスのためのサブスクリプションサービス。iPadやApple TVでも利用でき、高強度インターバルトレーニング(HIIT)、ヨガ、コア、ピラティス、筋力、ウォーキング、ランニング、サイクリング、ローイング、ダンス、キックボクシング、マインドフルクールダウンなど、12種類のワークアウトとメディテーションを日本語のデジタル翻訳音声と字幕で楽しめる。Apple WatchやAirPods Pro 3を組み合わせれば、心拍数や消費エネルギーをリアルタイムで確認でき、より充実したトレーニングが可能に。月額980円、または年間7,800円で、最大5人の家族と共有できる。