しなやかに操れるカラダへ!ピラティスで運動連鎖を再教育。
姿勢が整って見えても、動きの連動が乱れていれば本当の意味での“整ったカラダ”ではない。体幹から手足までをしなやかに連携させるピラティスで、キネティックチェーン(運動連鎖)を再構築し、思い通りに動くカラダを取り戻そう。
取材・文/井上健二 イラストレーション/仁太郎 取材協力・監修/桑原匠司(PHI PilatesJapan代表、ピラティス指導者)
初出『Tarzan』No.910・2025年9月11日発売

教えてくれた人
桑原匠司(くわばら・しょうじ)/PMA認定ピラティス指導者 。PHI ピラティス ジャパン代表、同アジア局長。南イリノイ大学卒業後、MLBシカゴ・ホワイトソックスでアスレチックトレーナーを務める。4500人を超えるピラティスインストラクターを育成。
しなやかさの足りないカラダ。各部位を連動させるには?
カラダがじっと静止している瞬間はほぼない。歪みを見つけるなら、動いてみて何か異常がないかどうかのチェックも欠かせない。
「具体的には、複数の筋肉、筋膜、関節が連動して動く“キネティックチェーン(運動連鎖)”がスムーズかどうか。静止した状態では歪みが見当たらなくても、思い通りしなやかにカラダを操れなかったら何にもならないのです」(PMA認定ピラティス指導者の桑原匠司さん)
たとえば、横隔膜や骨盤底筋群といった体幹のインナーマッスルが先に働いて姿勢を安定させてから、上半身と下半身のアウターマッスルが出力して手足を動かすのが、正しいキネティックチェーン。これが乱れるとスポーツやトレーニングのフォームが狂ったり、腰痛などのトラブルに見舞われたりする。さらに歩行などの効率も悪くなるため、余計な力を使う羽目になり、疲れやすい。
キネティックチェーンの正常化に大いに役立つのが、ピラティス。
「ピラティスの動きは、筋肉や関節を順序よく巧みに連携させないと正確にできない。トライして弱点を発見したら、筋肉とそれを動かす神経の再教育により、キネティックチェーンが整えられるのです」
ピラティスが深い呼吸を重視している点も、キネティックチェーンの混乱を正すことにつながる。
「緊張やストレスがあると自律神経のうちで交感神経が優位になり、インナーより先にアウターが働きやすくなります。深い呼吸で緊張やストレスを和らげ、交感神経を抑えて副交感神経が優位になると、インナーが先に働きやすくなり、体幹もより鍛えやすくなる。心身ともに、緊張もストレスもない快適な状態へ導けるのが、ピラティスの利点です」
ピラティスの本流、ここにあり!道具なしでもキネティックチェーンを改善。
ピラティスというとカラダ作りのメソッドというイメージも強いが、もともとはジョセフ・ピラティス氏が20世紀初頭に開発した負傷兵のための機能改善メソッド。
「“ピラティス”と呼ばれるようになったのは、彼の死後。本人は、カラダを望み通りにコントロールするための運動療法という意味で“コントロロジー”と称していました」。
そのコンセプトを正しく受け継ぐのが、日本では桑原さんが代表を務める〈PHIピラティス〉。本来ここでイラストに描いた「キャデラック」(左)「リフォーマー」(右)などの専用マシンを使うことも多いけれど、今回は自宅で道具なしでもそのエッセンスが味わえるキネティックチェーン改善エクササイズを紹介。

リバースプランクオンベッド(左右各5回×1〜2セット)|歩く時のコーディネーション力をアップ。

- ベッドの端に坐り、両手を後ろにつき、指先をお尻に向ける。両膝は腰幅で90度曲げる。天井から吊られるように背骨を伸ばす。
- 膝から肩まで一直線になるまでお尻を上げ、爪先を立てる。
- お尻を落とさず、片膝を股関節の真上まで引き上げる、左右を変えて同様に行う。
上級者向け

リバースプランクオンベッドができるようになったら、上級者バージョンにチャレンジ。片膝を股関節の真上まで引き上げる際、対角の腕を肩の高さで前方へ伸ばす。お尻が落ちないように注意。左右を変えて同様に行う。
クラムシェルwithミニバンド(左右各5回×1〜2セット)|下半身の力を上半身へ伝える機能アップ。

- 右側を下にして床で横向きに。両膝を90度曲げて揃え、太腿にミニバンド(なければチューブ)を巻く。
- 右腕を伸ばして頭を乗せ、胸と骨盤を真横に向ける。爪先を軽く開く。
- 貝が開くようにバンドを引いて左膝を天井に向かって上げ、戻る。左右を変えて同様に。


