
Profile
橋岡優輝(はしおか・ゆうき)/1999年、埼玉県生まれ。高校生の時に走り幅跳びに転向。日本選手権3連覇を果たし、国内歴代2位となる8m36を記録。2022年秋から練習拠点を米国に移し、メダリストを輩出するタンブルウィードTCでトレーニングに励む。
好跳躍の鍵は、緊張と弛緩のバランスにあり。
「速く走って、その勢いのまま跳び、理想の着地を決める」
この三拍子を揃えるのが、走り幅跳びで好記録を出すための条件。自己ベストである8m36cm超の大ジャンプを目指す橋岡優輝選手は、一日一日を無駄にしないため体調管理の指標の一つとしてストレッチを取り入れている。
「指輪型のデジタルデバイス《リンコン》でヘルスケアデータの多くは管理できます。ただ、カラダには数値に表れない感覚的なこともある。それを敏感にキャッチするのがストレッチの目的です。いつも同じ9種目を練習前に行うことでカラダと対話しながら筋肉の緊張を確かめ、本練習に繫がる準備を進めています」
ストレッチは計30分ほど。筋肉をほぐし過ぎないのが橋岡選手のベストなコンディショニングだ。
「股関節まわりに筋疲労が溜まると軸がブレてしまい、助走や接地の姿勢が乱れてしまうことがあるので、下半身に重点を置いてストレッチを行います。ただ、回数や秒数はあくまで目安。ほぐし過ぎても調子が出ないので、どれだけやるかはその日のカラダの状態に合わせて慎重に。幼い頃から筋肉は柔らかい方で、カラダがフニャフニャだと力が出ないうえに、怪我のリスクを高めてしまいます。これに関しては選手それぞれの考えがあるので何が正解かは難しいですが、僕の場合、適度な剛性も必要。“緊張と弛緩”のいい塩梅はカラダが覚えているので、それを探るのもストレッチの役割です」
練習後は、ランニングしながらクールダウン。基本的には、ストレッチは行わないそう。
「筋疲労が溜まっていると感じたら風呂に浸かり、カラダを温めてフォームローラーでゴリゴリと筋膜をリリース。これをやるかはその日の体調で決めています」
何事もルーティンにせず、コンディショニングにおいても自分の感覚を信じ、研ぎ澄ますことが競技者としての強さに繫がっている。
股関節をほぐしながら胸を開き、背中を伸ばす。(左右3回ずつ)
ガニ股で腰を下ろし、捻る。(各30秒ずつ)
- 肩幅の1.5倍ほど足を開き、両手を膝の内側について腰を下ろす。
- 右手で右膝を押しながら、肩をカラダの正面に運ぶようなイメージで上体を捻り、ハムストリングスとヒップの外側の伸びを感じる。同様に、逆に捻る。
- さらに両肘を膝につき、上体を起こして同じ動作を左右行う。
脚を左右にスイング。(左右10往復ずつ)
- 壁やハードルに両手を添えてバランスをとりながら、左足の踵を上げ、軸脚の前を通るように右脚を左右に大きく揺らし、弧を描くようにスイング。軸脚になる足先と膝は常に正面を向いた状態を保つことで、ヒップの側面と太腿の内側の筋肉をほぐし、刺激する。逆脚も同じ動作。