


シューズ《WAVE RIDER 28 SW》 16,500円、以上ミズノ、問い合わせ先:ミズノお客様相談センター 公式サイト、(リンク:https://jpn.mizuno.com)Tシャツ 14,300円、アイスブレーカー 問い合わせ先:株式会社ゴールドウイン カスタマーサービスセンター 公式サイト、(リンク:https://www.goldwin.co.jp/store/brand/icebreaker/)スポーツジレ 35,200円、ショートパンツ 25,300円、以上、ミズノ フォー マーガレット・ハウエル、問い合わせ先:マーガレット・ハウエル 公式サイト、(リンク:https://www.margarethowell.jp) ソックス 5,500円 アンダー、問い合わせ先:アンダー 公式サイト(リンク:https://andertheable.com/)


文・小澤匡行
ランニングシューズをブランドの好みで決めるのであれば、その中で自分のレベルに合ったものを選べばよい。直営店にいけば、スタッフが親身に相談に乗ってくれるだろうから、縦軸は決めやすい。しかし他メーカーの同等モデルが何か、またそれぞれの違いを比べたいのであれば、ランニングの専門店に行かないと横軸が比較しにくい。とくに初心者は、ランニング自体とのマッチング度をファーストシューズが決めてしまうので、よい出会いになれるかどうかは重要である。
シューズの評価は、「クッション性」、「反発性」、「安定性」、おもにこの3つで構成されている。このうち、クッション性と反発性は、選ぶ時の指針になりやすい。なぜなら人は、履くことで得られる驚きや感動を求めてしまうからだ。とくに厚底シューズの誕生以来、とくにアスリート気質の多くは、自分の走りを引き上げてくれるテクノロジーに飢えている。
その中で「安定性」とは実感しにくいもので、僕もなかなか理解できなかったジャンルである。ケガの予防、疲労の軽減に直結する「安定性」は、つまり自分の走りを整えてくれるテクノロジーだ。体重が多かったり、フォームが不安定だったり、目指している自分に現状が遠い人ほど、必要になってくる。着地のたびに足がブレると、膝や足首に負担がかかるから、そのうちどこかが痛くなる。そうなると休息が必要で、せっかく走り続けることで感じ始めた自分の変化が、(すぐに)元に戻ってしまい「ランニングは無理かも」と思ってしまう。ビギナーこそ、”真っ直ぐ走れる”感覚を、ゆっくり長く走りながら身につけるべきなのだ。高反発の厚底シューズは、それはそれでバランスがとりにくいのである。
〈ミズノ〉の最新モデル《ウエーブライダー28》を履いて1週間、40〜50キロほど走ってみた。感想としては、広告的な刺激はないものの、すごく自分のランに正直になれるシューズだ。1997年に初代が生まれたウエーブライダーは、独自の「ミズノウエーブ」という波形のプレートを搭載することで、クッション性と安定性を一体化させた画期的なシューズだった。プレートのたわみが衝撃を吸収し、復元力が反発を作り出す。そして波形の張力が、内側や外側への倒れ込みを抑制してくれる。つまり足を守りつつ、自然な走りをもたらしてくれるのだ。最新作は「MIZUNO ENERZY NXT」というミッドソールの新素材によってクッション性と反発性が高まっている。ウエーブライダーは、〈ミズノ〉の中核シューズ。約年1ペースで新作が発表され、2024年にこの28代目がリリースされているだけに、劇的な変化や進化で広告的な刺激を与えるよりも、着実なアップデートを繰り返す方が向いている。歴代シューズをすべて試しているわけではないが、ランナーに寄り添っている感覚は、〈ミズノ〉という会社の信頼度が多分に影響しているのだろう。
先日、デンマーク出張で何人かのランナーを取材したが、そのうちの何人かが「走り続けることは、サディスティックである」と話していたのが印象的だった。ダイエットや健康などの目的が自己加虐的な意味合いを薄めているものの、基本的には自分の肉体や精神を追い込む行為を達成感に転化させる行為は、なかなか「自分いじめ」の快楽ともいえる。でも、それを楽しむ前に、まずはケガをせずに、安定して走り続けることが一番だと思う。僕もいろいろなタイプのシューズを履き分けているが、自分の走りを見つめ直し、整えたいときはこの先《ウエーブライダー28》の出番が増えそうだ。
ちなみに〈マーガレット・ハウエル〉と〈ミズノ〉のコラボレーションの昔からのファンで、普段着でもきているし、プールで泳ぐ時はここのスイムウェアを着ている。ソリッドでテクニカルで、押し売りしない信頼感のバランスが気に入っているのだ。そして収納力の高い〈ミズノ〉のランニング用のマルチポケットパンツは、手放せない名品だ。よく考えると、僕のワークアウトはわりと〈ミズノ〉で整っているのことに気付かされる。