マウンテンランニングの新しい相棒、〈アークテリクス〉の《SYLAN》。

快適かつスピーディに山を走るために開発された、マウンテンランフットウェアの《シラン》。約3年をかけて開発された〈アークテリクス〉の自信作を、高尾のトレイルで試した。

取材・文/神津文人 撮影/山田 陽

試した人

神津文人(こうづ・ふみひと)
シューズ好きが高じて走るようになったライター。ランニング関係の書籍も手がける。ランの頻度は週2程度。普段はロードばかりを走っている。趣味は柔術。

雨に濡れたトレイルも問題なし。 山を思い切り楽しめるシューズ!

〈アークテリクス〉は、2021年6月、アメリカ・ポートランドにフットウェア デザインセンターを設立。「TRAVEL FAST & TRAVEL FAR(より速く、より遠くへ)」というコンセプトのもと、山岳アスリートが求める高機能シューズの開発をスタートした。

カナダ・バンクーバーの本社近くにある自社工場〈ARC’One(アークワン)〉とも綿密に連携。ノルウェーを代表するマウンテンランナーのヘンリエッテ・アルボン選手からの助言も得ながら、数千時間に及ぶテストを経て完成したのが、《シラン》なのだ。

〈ARC’TERYX〉《SYLAN》

Vibramメガグリップ アウトソールが濡れた路面でも高いグリップ力を発揮。ラグの深さは6mm。小石の侵入を防ぐため、履き口にはニットカラーを採用。シュータンのポケットに靴紐を収納できるので、シューレースがほどけたり、引っかかる心配が少ない。スタックハイトは踵部28.6mm、爪先部22.6mm。重量は292g(メンズ27cm)。34,100円。)

体験して気づいた3つのポイント

  • 下りで圧倒的な安心感の、高いグリップ力!
  • スムーズな重心移動を促すロッカー構造!
  • トレイルもロードもスピーディに進める!
他にもこんなラインナップが

《SYLAN PRO》
基本設計は《シラン》と同様。アッパーのデザイン、プロテクションのパターンが異なる。アッパーサイドに配置された大きなロゴが特徴。重量は292g(メンズ27cm)。34,100円。

《SYLAN GORE-TEX》
防水・防風性と高い透湿性を両立したゴアテックスを採用したバージョン。履き口のニットカラー部分には耐久撥水加工が施されている。重量は310g(メンズ27cm)。39,600円。

フットウェア専門のデザインセンターを作り、一つのシューズの開発に3年かける。本気すぎるほどの本気である。 そんな〈アークテリクス〉の本気を試しに向かった場所は高尾。とはいっても登山客で賑わう高尾山ではなく、その南にある草戸山方面へ。登山道がほどよく整備され、短いアップダウンが繰り返すコースを選択。

距離は約12kmだ。ちょこちょことした下りはあるが、高尾山口から草戸山の山頂までは上り基調。《シラン》は下りで本領を発揮するという事前情報であるが、上りも軽やかに足を進めることができた。

上りも足運びはスムーズ。

山頂で一休み。久々のトレイルはお尻に効く。

草戸山頂上から、城山湖まで下る。湖畔をぐるりと周回する道はロード区間。《シラン》はマウンテンランニング用のシューズだが、想像以上にロードも走りやすい。おそらくそれは、クッション性に優れたミッドソールとロッキングチェアの脚のようにカーブしたロッカー構造の効果。舗装路の硬さをさほど感じず、重心移動がスムーズ。ロード区間のあるトレイルランニングのレースでも活躍してくれるはずだ。 折り返して後半の下りへ。ある意味シューズのテストには最適なのだが、急に強い雨が降りだし、ぬかるんだトレイルを走ることに。雨で濡れた山道では滑って走るどころではなくなるのではと、少々心配だったのだが、結果的には《シラン》の凄さを存分に体感することになった。

湖を巡るロードコースに出ても、走りは変わらずノンストレス。

《シラン》なら下りはよりスピーディに。段差でのホールド感にも優れる。

ぬかるんだ場所も高いグリップ力のおかげで安心。

とにかくグリップが素晴らしく、マウンテンランニングビギナーである筆者の雑な足運びでも、滑らずに気持ちよく下りを走れた。不安な気持ちはどこかへ行き、ひたすらファン!《シラン》は、山を走ることの楽しさを教えてくれるシューズだった。

今回走ったコース

京王線・高尾山口駅近くからトレイルに入り、草戸峠に。城山湖を一周し、来た道を戻る約12㎞のコース。湖まではアップダウンの多いトレイルが続き、湖周辺はロードになる。

新宿に旗艦店がグランドオープン!

アークテリクス 新宿ブランドストア

地上4階の4フロア構成で、売り場面積は国内最大規模の約684m2。フットウェア、バックパックを含むフルラインを展開。洗濯・乾燥機が設置され、ケアやリペアに関する相談が可能な「ReCEA™」サービスを含むサステナビリティプログラム「ReBIRD™」も提供される。東京都新宿区新宿3-24-2(Google Map

Information

問い合わせ先/アークテリクス カスタマーサポートセンター
HP:https://arcteryx.jp/