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世界を走ったふたりの高校生 U20世界陸上選手権|View of PICSPORT

連載「View of PICSPORT -フォトグラファーが見たアスリートの肖像-」。長年、さまざまな競技で取材を続けるスポーツフォトグラファー、岸本勉さん、中村博之さんが写真を通じて、“アスリートの素顔”に迫る。最終回は岸本勉さんが捉えたU20世界陸上選手権。

日本人選手のメダルラッシュに沸いたパリオリンピックの興奮冷めやらぬ8月26日、僕は南米ペルー、リマに居た。高校生で男女800mの日本記録保持者をどうしても撮影したかったのだ。

U20世界陸上選手権でその高校生ふたりが世界を相手にどんな走りをするのか、どうしても撮ってみたかった。ふたりはオリンピックという舞台には立てなかったが、来年は東京で世界陸上が東京で開催される。そこのスタートラインに立ってほしい。

そのふたりとは久保凛(東大阪大敬愛校2年)と落合晃(滋賀学園高校3年)である。久保凛はサッカー日本代表の久保建英のいとこということでも知られている。また今年の日本選手権(新潟)で田中希美らを引き離し、1位でフィニッシュ。いま、最も勢いのあるランナーだ。同じく高校生の落合晃は日本選手権では一度も先頭を譲らずに優勝。坊主頭にハチマキの高校生ランナーがパリオリンピックを本気で狙っていたのが、レース後トラックを叩いて悔しさをあらわにした。

そのふたりが、世界の同世代ランナーを相手にレースに挑んだ。8月27日、大会初日は予選が行われた。最初に登場したのが落合晃、予選は2位位通過。日本選手権同様、まっすぐに前を見て力強い走くトラックをかける。ミックスゾーンに引き上げる際に良い走りだったねと声をかけるとはにかんだ様子で少しだけ頭を下げて引き上げていった。久保凛も同様、スラッとした手足がよく動き、1位でフィニッシュした。レース後には笑顔を見せて、またスタンドからは海外ファンと思しき観客と会話する姿も。

準決勝は2日後の8月29日に行われた。少し肌寒い。今度は女子のレースが先に行われ、スタートに向かう久保はリラックスしていた。ここでも時折笑顔が溢れていた。準決勝も1位でフィニッシュ。レース後は先日応援に来ていたファンと共に記念写真を撮っていた。落合晃も拮抗したレースだったが2位で決勝へと駒を進めた。

8月30日、予選、準決勝の結果だけを見るとやはり両者に期待が高まってしまう。男子800m決勝では最後の直線でなんとか3位に食い込んだ落合晃だったが、印象的だったのはレース後だった。日本陸上界にとってこの種目での3位は快挙だが、本人はとにかく悔しそうだった。喜ぶ姿をファインダーに収めようと思うも、とにかく本人は悔しい顔しか見せず、スタンド席にいるチームメートには手を合わせて「ごめん!」というジェスチャーをしていた。

最後は上位2名の選手らと健闘を称えながらも、ここで喜ばない姿は印象的であった。落合晃のレースの後、今度は女子800mの決勝が始まった。レースは最後のスパートについていけず、先頭集団から大きく離され6位に終わった。入賞は入賞だが、結果は惨敗といっても過言ではない。しかし、スピードもさることながら経験を積めばまだまだ今後の成長が楽しみな結果ともいえる。レース後の久保凛はしばらく俯き、そして人目も憚らずに泣いていた。

ふたりのレースから2時間後、3位に入った落合晃の表彰式が行われた。表彰台の彼は照れながらもメダルを噛む仕草をして、スタンドにはそれを見守る晴れ晴れとした表情の久保凛の姿があった。

両腕を伸ばし、スタート前のストレッチ

予選でスタートする、身長167センチの久保凛

予選では軽快な走りを見せた

後続を引き離し、予選組1位でフィニッシュ

満足のいく走りで、レース後に見せた笑顔

地元メディアが翻訳アプリを使いながらインタビュー

肌寒い中、入念にストレッチしながら体を温める落合晃

緊張をほぐすためか、準決勝のレース前に見せた仕草

跳ねるようにスタートで飛び出す落合晃

格闘技のようにぶつかり合いながらの準決勝フィニッシュ

決勝進出を決めて声をかけたところ、ちょっとハニカミながらも撮影に応じてくれた

女子800m準決勝、リラックスしながらスタートラインに向かう久保凛

観客席の久保凛ファンと記念写真

決勝では外に膨らみながらラストスパート、見事3位フィニッシュ

レース後は悔しさを滲ませながら、観客席のチームメートに「ごめん」

レース後に健闘を讃えあう落合晃

日の丸を纏ってトラックを去る

久保凛は悔しさを滲ませながらの決勝6位フィニッシュ

決勝で6位となり、悔し涙が止まらない久保凛

メダルには届かなかったものの手応えはあったレースだった

おどけながらメダルを噛む仕草の落合晃

フォトグラファー・岸本勉

岸本勉(きしもと・つとむ)/1969年生まれ、東京都出身。10年余りスタッフフォトグラファーとして国内外の様々なスポーツイベントを撮影。2003年に独立、「PICSPORT(ピクスポルト)」を設立。オリンピックは夏季冬季合わせて14大会、FIFAワールドカップは8大会、ほか国内外問わず様々なスポーツイベントを取材。2015年FINA世界水泳選手権カザン大会より、オフィシャルFINAフォトグラファーを担当。国際スポーツプレス協会会員(A.I.P.S.)/日本スポーツプレス協会会員(A.J.P.S.)

Instagram:@picsport_japan

X:@picsport_jpn

撮影・文/岸本勉

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