【レスリング・藤波朱里】堂々とした風格と圧倒的強さ。122連勝の瞬間
長年、さまざまな競技で取材を続けるスポーツフォトグラファー、岸本勉さん、中村博之さんが写真を通じて、“アスリートの素顔”に迫る。第三回は中村博之さんが捉えた【レスリング・藤波朱里選手】。
撮影・文/中村博之
少し気が早いが…パリオリンピックレスリング女子フリー53kg級は2024年8月7日に行われる。手帳に撮影予定を書いておこう
4月中旬、スポーツニュースを検索していると『藤波朱理が“霊長類最強女子”吉田沙保里に並ぶ119連勝』という記事が目に止まった。次戦に勝利すれば19歳の彼女はレジェンド吉田沙保里さん超えだ!!
その瞬間は絶対にシャッターを押さなければいけないと思い、早速レスリング競技会のスケジュールをチェック。
コロナ禍のスポーツ取材では人数制限のため、約2年間は撮影をしていない競技もあり、レスリングもその一つで情報不足だった。調べてみると次戦は6月15日から18日に開催される明治杯全日本選抜選手権大会が予定されており、会場は自宅から自転車で約10分の東京体育館。行く気満々で手帳に予定を入れた。
久しぶりにレスリングを撮影するので大会数日前から情報集取。各競技団体の中でもレスリング協会のHPやプログラムなどは大会の見どころや選手情報などが豊富。藤波選手が出場する女子フリー53kg級はもちろんのこと、男女全階級の選手情報も把握。
当日、機材の準備も完了し撮影を開始。準備運動をしている彼女にレンズを向けると、あどけなさが残るなか、堂々とした風格についついしつこくシャッターを押してしまう。初戦の相手は東京オリンピック金メダリストの志土地真優選手だったが終始自分のペースで相手を寄せ付けずに勝利し、準決勝、決勝も圧倒的な強さで優勝。連勝記録を122まで伸ばした。
9月に世界選手権で表彰台に上がればパリオリンピックが内定する。メディアの報道も金メダル最有力候補としてさらに過熱してくるはずだが、若さを武器にプレッシャーを跳ね除け、得意のタックルで突き進むのだろう。
少し気が早いが、、、パリオリンピックレスリング女子フリー53kg級は2024年8月7日(現地時間)に行われる。手帳に撮影予定を書いておこう。
フォトグラファー・中村博之
中村博之(なかむら・ひろゆき)/1977年生まれ、福岡県出身。1999年スポーツフォトエージェンシー『フォート・キシモト』に入社。2011年フリーランスとして活動を始める。オリンピックは夏季冬季合わせて10大会を取材。世界水泳選手権は2005年モントリオール大会から取材中。2015年FINA世界水泳選手権カザン大会より、世界水泳連盟のオフィシャルフォトグラファーを担当。国際スポーツプレス協会会員(A.I.P.S.)/日本スポーツプレス協会会員(A.J.P.S.)。
Instagram:@picsport_japan