【棚橋弘至・連載】第22回:今年は「肩年」。逸材流・2023肩トレ計画
新日本プロレス「100年に一人の逸材」棚橋弘至が綴る、大胸筋のように厚く、起立筋の溝のように深い筋肉コラム。第22回のテーマは「2023年の年間トレーニング目標」について。
2023年のターゲットは「肩」
毎年、年間を通してのトレーニング目標を考えます。大きくなりたいのか? ベンチのMAXを狙うのか? お腹のお肉を落とす!とかになるのかな? 一昨年は「胸はダンベルで大きくする」という感じで、ダンベル漬けの1年だったし、去年は「背中は懸垂で作る」とメニューにチンニングは必ずいれていました。
で、今年はですね…「肩」です! プロレスラーのカラダで1番改善の余地があるのが、肩と脚です。脚は…まぁ、ヒンズースクワットやっておきます。膝も痛いし…。
もちろん、全部位満遍なく鍛えていくわけですが、その中でも「肩」というように目標を決めておくとトレ前に自然と気合が入って、結果、良いトレーニングができたりするのです(経験上)。
しかし、肩といっても「コレをやったらOK?」というような正解があるわけではありません。それに加え、肩はカラダ全体から見たら小さい筋肉の部類に入るにもかかわらず、肩前部、肩中部、肩後部と個別の種目が必要となってきます。
もちろん、ショルダープレスで全体を大きくすることはできるのですが、怪我をしやすい部分でもあり、とにかく手がかかる部位なのです。
棚橋流カッコいい肩のつくり方
で、「どうやって鍛えていくか?」が、課題となってきますが、肩前部は腕の方向を前方に振り上げるやり方と、内側に絞り込むように上げる2種類。
肩中部は、ダンベルサイドレイズとダンベルラテラルレイズを2種類。ダンベルサイドレイズは、降ろしたときにしっかりストレッチ感を感じて。ラテラルレイズは上げ切ったときの収縮感を意識します。
肩後部は、うつ伏せの状態で真横に振り上げるのと、カラダに沿わせて後ろに振り上げるのを2種類。これも同じ肩後部狙いなのですが入る位置や感覚が違うのでやってみて下さい。
そして、やはり全体的にデカくスケール感を出すには、ショルダープレスですね。
しかし、ショルダープレスといってもフロントショルダープレスなのか? ビハインドネックなのか? シーティッドなのか、スタンディングなのか? フリーウエイトか? スミスマシンか? マシンか? で、刺激も扱う重量も変わってきます。
これは日によって変えても良いと思います。刺激は常に変化を!
肩は肩以外の部分を鍛えるときも、どうしても稼働してしまう部位でもあるので筋肉痛が起きにくい部位でもあります。なので、より刺激の変化が必要なのかもしれません。まぁ、とにかくプレス種目に関しては、より高重量を狙っていきますね。
あとは、アップライトローイングもやっておけば、種目数的には十分かと思います。
プロレス界では「肩が空き家」
見栄えの話をすると肩は逆三角形のカッコいいカラダを作る重要な部位です。特に、最近のフィジーカーの皆さんはとんでもない肩をしてますね。
ええ、そこなんです! プロレス界に大きな肩を持っている選手が少ないというのが、ポイントなのです。より分かりやすく言うと「肩が空き家」なのです。え? 逆に分かりにくいって(笑)?
いやいや、発達に時間がかかるし、難しい部位だからこそ、やりがいがあるし、肩が大きいと、尊敬の眼差しが向けられるというのは、そういうところなのです。
…という動機付けがあり、今年は肩を改善します。
20年以上前の話になるんですけどね。新日本プロレスでデビューして寮から自由に外出できるようになって、大塚にあるゴールドジムに通っていた若手のとき、たまたまトレーニングに来られていたマッスル北村さんから話しかけていただいて、まだ何者でもない僕に「君は肩の形がいいね」と言っていただいた思い出は今でも僕の中で宝物なのです。その肩を活かさない手はない、と。頑張ります!
今年、コロナ禍から立ち上がるプロレス界は僕の「双肩」にかかってますから!ん? いや、そうでもないか…(遠い目)。
棚橋弘至
たなはし・ひろし/1976年生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学法学部卒業後、1999年デビュー。低迷期にあった同団体をV字回復に導き、昨今のプロレスブームをリング内外の活動で支える。