【診察簡易シミュレート】長時間立っていると腰が痛くてたまらない。それ、「腰椎変性すべり症」かも
慢性的な腰痛症状は、放っておくと深刻な状況に陥る可能性が高い。とはいえ、整形外科に行くのは怖い…。二の足を踏んでいるあなたに、「あるある腰痛患者」の受診の様子をお伝えします。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/野村憲司(トキア企画)、ホセ・フランキー 取材協力/平尾雄二郎(東京都立広尾病院整形外科医長) 参考写真/東京都立広尾病院
初出『Tarzan』No.803・2021年1月28日発売
例えばこんな人…「長い時間立っていると腰が痛くてたまらない」
50代に突入してからというもの、長い時間立っていたり長く歩くと腰が痛くなるんです。お友達との立ち話もなんだか辛いし、大好きなバスツアーでの団体行動に最近はついていくのが精一杯。あーあ、若い頃は結構真剣にスポーツに取り組んでいたのに。まだ50代前半なのに、こんなありさまで情けないです。
まずはチェック! 背骨の基本構造。
その腰の痛みの原因はどこにあるのか? どう対処すればいいのか? 背骨のS字カーブの基本構造を頭に入れたうえで、整形外科の名医の診断を拝聴しよう。
先生(以下、先) お待たせしましたBさん。なるほど、台所で立ち仕事をしているとき腰が痛むようになったんですね。
Bさん(以下、B) はい、長い距離を歩くときも痛むんです。
先 とにかくレントゲン検査をしてみましょう。
手術の場合も2〜3週間で退院。
B あれ? 気のせいか背骨が…。
先 そうなんです。椎間板が潰れて腰椎の4番が5番に対してお腹側にズレて、背骨の中を通っている神経が圧迫されています。Bさん、あなたは腰椎変性すべり症です。
B えっ私、すべってるんですか!?
先 原因は分かっていませんが、女性は男性の約5倍発症しやすいといわれています。男性の場合は成長期にスポーツをやっていて背骨の一部が分離してしまい、加齢によって腰椎がすべる腰椎分離すべり症が多いんですが…。
B 先生! 私それです! 中学高校と、岡ひろみ並みのテニス漬けの青春でした!
先 越前リョーマ並みってことですか? 私は『テニスの王子様』世代でして。でも、Bさんの場合は分離もないし、50代の女性に多い腰椎変性すべり症ですね。
B グスン、老化現象なんですね。このままどんどんすべっていくんでしょうか、私?
先 大丈夫です。しびれなどの強い神経症状もないので鎮痛薬やビタミン剤投与で経過を見ましょう。
B 手術とかをしなくても?
先 進行して症状が悪化した場合は、矯正固定術といって背骨の後ろにボルトを入れてロットで繫いで矯正し、椎間板を切除して自分の骨を移植して固定する手術をします。
B よく分かんないけど、怖い!
先 背骨の動きは制限されますが日常生活に支障はないし、手術後は2〜3週間で退院できます。
B でも〜、私の場合はそこまで悪化してないんですよね?
先 そうですね。行きつけの整形外科クリニックなどで、温熱療法や電気療法を試してみてください。
B はい。すべりがちな背骨とうまく付き合っていきます〜。