カラダが硬い人向け。本当に効果的なプッシュアップのやり方

日本語でウデタテ、種目名でいうプッシュアップのメインターゲットは「大胸筋」。ところが、肩と手首のROM(関節可動域)が不十分だと、大胸筋に負荷をかけることができない。ベーシック種目、10回×3セットきちんとできますか?

取材・文/石飛カノ イラストレーション/阿部伸二 監修/澤木一貴(SAWAKI GYM)

初出『Tarzan』No.790・2020年6月25日発売

ベーシック種目|王道中の王道、正しいウデタテを実践!

まずベーシックなウデタテに取り組んでみる。ROMが十分でない場合、誤ったフォームに陥りやすいことに改めて気づくはずだ。

ノーマルプッシュアップ

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正しいウデタテ
両手を肩幅よりやや広くとって床につける。軸は後頭部から肩甲骨、仙骨、踵まで。これらを繫ぐラインが一直線になるようキープ。肘を曲げてカラダを沈め、胸が床に軽く触れたら手で床を押して元の姿勢に。
プッシュアップのポジション
プッシュアップのノーマルポジション。肩幅よりやや広めの位置で両手を床につき、指先を開く。指先はまっすぐ前に向ける。

硬いカラダのあるあるNG

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肘が開く
肘が開く/肘を曲げてカラダを沈めるとき、肘は若干開くが、これでは開きすぎ。原因は肩と手首の関節の硬さを肘を開くことでカバーしようとするから。胸ではなく腕に効いてしまう。
肩がすくむ
肩がすくむ/肩関節のうちでも肩甲骨と上腕骨のジョイント、肩甲上腕関節が硬い場合のNG例。肩の外転動作ができないので無意識に肩が上がり十分にカラダを沈められない。
柔らかいタイプも注意!
背中が反る
背中が反る/ROMが十分であっても、体幹の筋肉が弱いと腰が落ちてカラダが反ってしまうことがある。腰に余計な負担がかかるので腰痛の原因に。プランクなどで体幹強化を図りたい。
お尻が出る
お尻が出る/こちらも関節は柔らかいのに体幹の弱さが原因となって陥りやすいNGフォーム。カラダを押し上げるときお尻が優先されてしまう。やはりプランクなどで体幹強化を。

プレ種目|肩と手関節が硬い人はまずここから!

弱点に気づいたら、次に紹介するプレ種目からスタートすべし。可動域の低さをカバーしつつ、ターゲットの筋肉に効かせていくのだ。

インクラインプッシュアップ

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インクラインプッシュアップ①
テーブルなどに両手をつき、爪先立ちになってのプッシュアップ。
インクラインプッシュアップ②
肘を曲げて胸が軽くテーブルに触れたら肘を伸ばして元の姿勢に。負荷が小さくなる分、体幹支持に回す意識が少なくなり、肩や手関節の可動性に集中できる。

ワイドプッシュアップ

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ワイドプッシュアップ①
こちらは手首が硬い人におすすめの種目。肩幅の2倍程度に手を開いてのプッシュアップ。このとき指先は外側に向ける。
ワイドプッシュアップ②
手首は小指側に曲げる可動域の方が親指側に曲げるそれより広い。よって、手首への負担が低くなる。
ワイドプッシュアップのフォーム
正面から見たときのポジション。両手の幅は肩幅のおよそ2倍。指を開いて指先は外側に向ける。ノーマルポジションより手首が楽。

ストレッチもお忘れなく。

カラダが硬いなら硬いなりに効果が見込めるフォームを工夫すればいい。今のままの可動域でベーシック種目を無理に行うとケガに繫がることもある。急がば回れだ。

むろん、関節のストレッチは行っていくこと。柔軟性の伸びしろはとてつもなく大きい。いずれ適正なROMは獲得できる。そうなればベーシック種目に再び戻り、10回×3セットを楽に行えるようにしよう。