「1日1万歩」は無理じゃない。これで、忙しくてもちゃんとウォーキングできる
取材・文/黒田創 イラストレーション/沼田光太郎 取材協力/森悟(東海学園大学スポーツ健康科学部教授)
(初出『Tarzan』No.691・2016年3月10日発売)
上記の記事では、なぜ1日1万歩歩くことが必要なのかを解説した。本記事では、実際にどう歩けばいいのか、メソッドを紹介する。
忙しくても、1日1万歩は可能。
1日1万歩と聞いて「仕事は忙しいし帰りも遅い。本当にできるのかな?」と不安に思う人もいるかもしれない。しかし 、東海学園大学スポーツ健康科学部教授・森悟 さんは誰でも1日1万歩は可能だと話す。
「まずは自分のライフスタイルを把握しましょう。1つ目は出勤と退勤時間がある程度きっちり決まっていて、朝晩に歩く時間が取れるケース。2つ目は基本的に忙しくて就業時間も長いものの、合間に少しは時間が作れるケース。そして3つ目は、平日は忙しすぎてまったく時間が取れないケース。それぞれのパターンごとに、1日1万歩を稼ぐ方法を考えればいいのです」
1日1万歩が無理だとしても。
もちろん、歩き方は生活環境によって変わってくる。駅まで徒歩15分の人なら、1分当たり100歩換算とすると通勤通学だけで3,000歩稼げるが、これがクルマ通勤になるとほぼゼロ。その分、別に歩く機会を作る必要がある。
基本的には10分以上連続して歩きたいが、難しい場合は不連続でも構わない。その代わり2分、3分とちょこちょこ歩く機会をたくさん作ろう。また、どうしても1日1万歩が無理という場合は、1週間トータルで7万歩歩くのを目標にすること。
「ウォーキングは運動強度が低く誰でもすぐに始めることができ、しかも有酸素運動なので20~30分と続けると脂肪燃焼効果もある。連続して歩けなくても、分割して歩くのを積み重ねれば次第に脂肪が使われやすいカラダになっていくはずです」
A. 朝晩、時間に余裕のあるなら、10分以上連続して歩こう。
「時間的余裕のある人は、仕事中はそれほど歩くことを意識しなくてもいいので、プライベートな時間にウォーキングや犬の散歩など連続して30分以上歩く時間を朝晩に必ず組み込みましょう。10分間で1,000歩歩くペースなら、それだけで6,000歩確保できます。あとは通勤時間やオフィスでのチョコチョコ歩きで4,000歩。これで1日1万歩を達成できるはずです」(森さん)
特に犬を飼うと、朝晩両方、またはいずれかに散歩に連れていってあげないとストレスが溜まってしまう。犬種にもよるが、1回20~30分程度は必要である。
近年は猫ブームで猫を飼う人が増えているというが、自分が歩くことを考えたら断然、猫よりは犬なのだ。ペットで迷っている人はこれを機会に決断してみては。犬の散歩は歩数を稼ぐチャンス。ただし犬の性格によっては、時間をロスするばかり、ということもあるので注意。
B. 通勤・昼休みなら歩く時間がある、というのなら。
「一日中どっぷり仕事漬けというほどではなくても、始業時間が早かったり夜は飲みの付き合いがあるなどして朝晩に歩く時間が確保できないという人は、通勤や昼休みを利用しましょう」と言う森さん。
「たとえば駅まで普通に歩いて10分なら、少し大回りして15分に増やしたり、少し家を早く出てひと駅分歩く。また昼休みはランチを早めに済ませ、残りの時間で少し離れたデパートや家電量販店、本屋などに行って買い物をする。そうやって歩く時間を増やすのです」
昼休みのランチが楽しみという人は、いつものオフィスのそばの飲食店ではなく、あえて少し離れた場所のお店に行ってみるのもひとつの手。これなら、新しいランチ場所が開拓できてついでに歩数も稼げる。まさに一石二鳥だ。
C. 忙しい人も、チョコチョコ歩く努力をしよう。
「現実的にはこの生活パターンが多いと思いますが、とにかく仕事が忙しくてランチもサッと済まさないといけない人は、短時間ちょこちょこ歩く機会を意識的に増やしましょう」と森さん。
「たとえばオフィスでトイレに行く場合、階段を使って別の階のトイレを使ったり、飲み物を買うときに社内の自動販売機ではなく近くのコンビニに行くなど、ちょっとした工夫で歩数はいくらでも稼げます」
他にもやり方はある。駅のホームで乗る車両を選ぶとき、普通は降車駅の出口に近い場所を選ぶと思うが、あえて降車駅の出口から遠い場所の車両をチョイスするのだ。つまり、ホームを歩いて歩数を増やすというわけ。10両編成の列車なら端から端まで約200m。ホームは意外なウォーキングスポットである。
コピー取り、違う階のトイレに行くなど、オフィスでもこまめに歩こう。でも昼休みにお弁当食べてるぶちょーに怒られないように。
D. 平日は無理でも、週末しっかり歩く!
平日は仕事が忙しすぎるし、仕事以外のことに意識を向けたくない!という人は、いっそのこと割り切って週末の一点集中型を目指そう。
「ランニングと同じく、最近は各地でウォーキングイベントが開催されています。とにかく長い距離を歩くことが目的のイベントから、街歩きや歴史的スポット巡りがテーマのものまでカテゴリーはさまざま」(森さん)
「たとえば日曜日に4時間歩くイベントにエントリーしていれば、土曜日に練習を兼ねて2時間歩く。それだけで週末に6時間歩けることになり、ざっと3万6,000歩稼ぐことができます」
イベント型で歩数を稼ぐ方法は、ひとりだとモチベーションが上がらないタイプにもオススメ。なかには婚活を目的としたイベントまであるので、出会いを求める人はぜひ。