消化をサポートする「いちじくの葉」で、チョコテリーヌと釜炒り茶を。| 10月のハーブ・いちじくの葉

ハーブとは「人にとって有益な効能効果を持つ植物」。その定義に従って、さまざまな植物の可能性を探り続けている〈ハーブスタンド〉の平野優太さん。季節の巡りとともに暮らしに新たな植物を提案してきた連載「ワンモア・ハーブ」もちょうど2年を迎えました。最終回は、人間と深い関わりを持つ「いちじくの葉」について。

text: Toshiya Muraoka photo: Nathalie Cantacuzino supervisor: Yuta Hirano, Shiori Kitayama(HERBSTAND) recipe: Takumi Abe

いちじくの葉

日本ではいちじくの葉を食用することにあまり馴染みがありませんが、原産地に近い地中海方面ではハーブとして非常に長い歴史があります。何せ禁断の実を食べたアダムとイブが、身体を隠す植物として選んだ葉ですから。

果実ももちろん美味しいのですが、葉っぱにも上質な香りがあります。 果実を使うよりもむしろ「いちじく感」を出すには適している場合があるんです。

これはいちじくに限りませんが、葉や枝も使い方によってはその果実を超える瞬間がある。あるいは果物と掛け合わせて使うことで、より一体感が生まれたりもします。

いちじくを使うときに気をつけなければいけないのは、軸を切ると出てくる白い液。フィシンというタンパク質分解酵素が含まれていて、消化をサポートしてくれますが、皮膚に付いて直射日光が当たるとかぶれてしまいます。乾燥させるとかぶれにくくなるので、お茶などに使う時には乾燥させることを推奨します。

冬を越せずに枯れてしまった葉や枝を燃やすと非常にいい香りがするので、燻製にも使えないかと実験しているところ。長い歴史を持ちながらも、まだまだポテンシャルを探求できる、身近で、面白い植物だと思います。

こんなふうに使ってみるのはどう?

●「食べる」
いちじく葉のチョコテリーヌ

ー材料ー(600g 角容器1台分)

卵黄 2個分
グラニュー糖 30g
生クリーム 100cc
ホワイトチョコレート 120g
クリームチーズ 200g
抹茶 10g
いちじくの葉パウダー 10g

ー作り方ー

ボールに卵黄、グラニュー糖を入れ、白っぽくもったりとしてくるまでしっかりと混ぜ、生クリームを加えてさらに混ぜる。

ホワイトチョコレートを入れて、ラップをして600Wのレンジで1分加熱。混ぜて溶かす。

別の容器でクリームチーズをなめらかになるまで混ぜ、ホワイトチョコを溶かした液を合わせて、混ぜる。

抹茶、いちじくパウダーをふるい入れ、混ぜる。

容器に入れて、一晩、冷蔵庫へ。

切り分け、最後にいちじくと抹茶のパウダーを振りかけて完成。

火を使わない、シンプルなチョコテリーヌです。ドライにしたいちじくの葉っぱをミキサーにかけて、パウダー状にして使います。多少粗くても、食感が残って美味しいです。香りも粒々の繊維のような食感も、まるでココナッツのよう。いちじくの香りを楽しむという意味で、今回は抹茶と合わせてホワイトチョコを使いましたが、ほうじ茶と合わせるなら、普通のチョコレートの方が相性がいいと思います。

●「飲む」
いちじく香る、釜炒り茶

―材料― ティーポット1回分(約3杯分)

釜炒り茶 4g 
乾燥いちじく葉 1g

温めた茶器に茶葉とイチジクの葉を入れる。

90℃のお湯200mlを注ぎ、1分間抽出。三煎目まで楽しむことができる。

今回は、釜炒り茶という、鉄の釜で焼いて火入れをした緑茶を使います。クルッと丸まった葉が特徴で、渋みや苦味が少なく、甘味が感じられるお茶ですが、そこにココナッツやバニラのようなニュアンスを持ったいちじくを合わせました。一般的な煎茶では、苦みが勝ち、いちじくのココナッツのような香りは消えてしまうのですが、釜炒り茶なら調和してくれます。少なめのお湯で時間を短くして抽出することで、雑味も出にくくなります。出汁のような旨味も感じられる、秋らしいお茶です。

10月のハーブスタンドの様子

10月に入り、朝晩はぐっと冷え込み、秋らしい季節になってきました。山椒やグミの実も赤く熟し、山では少しずつ紅葉が始まっています。この時期の赤実山椒は、青い時期とはまた違う、果実のように華やかでフルーティな香りに。桂の葉も紅葉とともに、キャラメルのような甘い香りをまといます。

作り方のムービーはInstagramにて。