教えてくれた人
菅原順二(すがわら・じゅんじ)/1978年、東京都生まれ。「〈トレーニング・スタジオ・アランチャ〉」代表。NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト、Body Element Pilatesマスタートレーナー、MasterStretchマスタートレーナー、BodyKeyマスタートレーナー。プロアスリート、ダンサーなどのパーソナルトレーニングも行っている。
ピラティスは、質で効かせる!
決意しても、なかなか凹まないのがお腹。理由は、腹筋運動に頼りすぎるから。腹筋運動は効果的だが単調な動きの繰り返しで飽きやすく、多くの回数を何セットもこなす必要もあり、長続きしにくいのだ。
そこで趣向を変えて取り組んでみたいのは、ピラティス。ピラティスの動きは極めて多彩。やや難しいアクションもあるけれど、逆に少しずつ上達して正しくできるようになると、ハマッて楽しくなる。さらに反復回数が5〜10回程度と最小限。1セットでサッと終わるから飽きにくい。
ピラティスが重視するのは背骨の細やかな動き。とくに背骨を曲げる屈曲を大切にするのだが、そもそも腹筋は背骨を曲げる筋肉だから相性抜群。ゆえにピラティスが作るお腹は、腹筋運動でできるお腹とはひと味もふた味も違う。
「背骨がしなやかに長く伸びるようになるので、姿勢が正しくなります。また呼吸も深くなり、アウターの腹直筋だけでなく、インナーの腹横筋や内腹斜筋もバランス良く使えるため、体幹内側からお腹がキレイに整います」(パーソナルトレーナーの菅原順二さん)
早速3か月でピラティスを完全マスターし、お腹を美しく凹ますプログラムを紹介しよう!
3ヶ月プログラム。
| 第1週 |
基礎を学ぶ。 |
| 第2〜3週 |
背骨の動きを意識。 |
| 第4〜5週 |
背骨を自在に操る。 |
| 第6〜8週 |
すべてを統合する。 |
| 第9〜12週 |
機能的に仕上げる。 |
プログラム期間中は、基本的に毎日行う。「基本を学ぶ」は、第2週以降も本番前のウォーミングアップとしてやってもよい。9〜12週目は、2〜8週目の全15種目を行う。12週目以降も、週2〜3回は15種目を通して行い、再びお腹が緩まないようにキープ。
1週目|基本を学ぶ。
呼吸法+インプリンティング|ヘッドロールアップ(10回)

動く前に鼻から軽く息を吸い、口から息を深く吐きながら動く。
- 床で仰向けになり、両膝を揃えて曲げて立てる。両手のひらを太腿に置く。骨盤を前後左右に傾けないニュートラルなポジションに。腰椎の自然な前彎カーブを出す。

腰に隙間ができないように、スタンプを押すイメージで背骨を床につける。
2.息を吐きながら上体を起こし、背骨(脊柱)を床に押し付ける「インプリンティング」をしながら、両手を膝頭まで滑らせる。空気を吐き出したら息を吸い、ゆっくり元に戻る。
NG

インプリンティングができず、腰が曲がっている。これでは腰のストレスとなる。
背骨のエロンゲーション+回旋|スパインツイスト(5往復)

テントのペグを打つように坐骨を床に押し付け、頭を天井から吊られて背骨を伸ばす。
- 床に坐り、両脚を45度ほど開いてまっすぐ伸ばし、爪先を天井に向ける(フレックス)。両腕を肩の高さで左右に伸ばし、手のひらを床に向ける。坐骨を床に突き刺し、骨盤をまっすぐ立て、背骨を上下に伸ばす「エロンゲーション」を行う。

背骨を雑に動かさず、1個ずつ狙い通りに自在に動かす。
2.みぞおちから下を固定したまま、息を吐きながら胸(胸郭)だけ捻って(「回旋」させて)横に向け、息を吸いながら戻る。左右交互にテンポよく行う。
NG

エロンゲーションができず、背骨が曲がり、骨盤が後傾している。
背骨の屈曲|スモールロッキング(10往復)

爪先を伸ばす「ポイント」、爪先を曲げる「フレックス」を使い分ける。
- 床で仰向けになり、両膝を揃えて90度曲げ、股関節の真上に上げ、爪先を伸ばす(ポイント)。両手で太腿の後ろを持つ。背骨を床に押し付けてインプリンティング。上体を起こして背骨を「屈曲」させる。

背骨の屈曲を維持したまま、カラダの細やかな動きを出していく。
2. その状態を保ったまま、下腹に力を入れて、自然に呼吸をしながらロッキングチェアのように全身を揺らす。
NG

インプリンティングができず、床と腰の間に隙間ができてしまう。
2〜3週|背骨の動きを意識する。
屈曲|ロールアップ(5回)

- 床で仰向けになり、両脚を腰幅、両手を肩幅でまっすぐ伸ばす。爪先と手のひらを天井に向ける。踵と頭・指先を遠くへ引き離すようにエロンゲーション。
- 息を吐きながら、背骨を上から1個ずつ床から引き剝がすように上体を丸めて起こし、前屈して両手を両足の先まで伸ばす。息を吸い、吐きながら骨盤から背骨を下から1個ずつ床に押し付けるようにゆっくり元に戻る。
屈曲|シザース(5セット)

- 床で仰向けになり、肩甲骨が浮くまでゆっくり上体を起こしてインプリンティング。両脚を揃えてまっすぐ伸ばす。

2.下腹の力で片脚を股関節まで引き寄せ、両手で足首(できない人はふくらはぎ)を持つ。脚の重みを感じながら床すれすれまで下ろし、反対の脚を同じように引き寄せてキャッチ。息を吸って吐きながら脚をチェンジ。左右で1セットを5セット。
屈曲|ダブルレッグストレッチ(5回)

- 床で仰向けになり、肩甲骨が浮くまで上体を起こしてインプリンティング。両膝を揃えて90度曲げ、股関節の真上まで上げる。両手でふくらはぎを持つ。

2.頭の位置を変えずに、息を吸いながら両手両脚を伸ばし、爪先と両手を引き離すようにエロンゲーション。両脚は30度ほどの高さに伸ばし、両腕も30度の高さをキープして耳の後ろまでしっかり引く。息を吐きながらゆっくり戻る。
回旋|クリスクロス(5セット)

- 仰向けになり、両手を頭の後ろに添える。肘を開いて胸郭をオープン。肩甲骨が浮くまで上体を起こしてインプリンティング。両脚を揃えて伸ばし、爪先も伸ばす。息を吸って吐きながら、左肘と右膝を引き寄せる。カラダの中心を崩さない。

2.息を吸って吐きながら上体を左へ捻ると同時に、左膝を引き寄せる。左右で1セットを5セット。
側屈|バナナ(左右各5回)

- 右側を床につけて横向きになり、両脚を揃えてまっすぐ伸ばす。右腕をまっすぐ伸ばし、手のひらを床につける。左手はお腹の前につく。

2.息を吐きながら、左側の脇腹を縮めて上体を起こし、バナナのようなカーブを描く。息を吸い、吐きながら元に戻る。両手は姿勢を安定させて支えるだけ。手で強く床を押さない。左右を変えて同様に行う。
4〜5週|背骨を自在に操る。
屈曲|レッグローワー(5回)

- 床で仰向けになり、肩甲骨が浮くまで上体を起こしてインプリンティング。両手を頭の後ろに添える。両脚を揃えて床と垂直に上げ、爪先を天井に向ける。

2.息を吐きながら、腰を反らさず両脚を床すれすれまで下ろす。息を軽く吸い、息を吐きながら戻る。
屈曲|ヒップリフト(5回)

- 床で仰向けになり、首を長く伸ばしてエロンゲーション。両脚を揃えてクロスし、床と垂直に上げる。両腕を体側で開き、手のひらを床につける。
- 爪先を天井へ突き刺すように、息を吐きながらお尻を床から引き上げ、戻って息を吸う。両脚をできるだけ手前に倒さないように気をつけて。
屈曲|ティーザー(5回)

- 床で仰向けになり、両脚を腰幅、両手を肩幅でまっすぐ伸ばす。爪先を伸ばし、手のひらを天井に向ける。爪先と頭・指先を遠くへ引き離すようにエロンゲーション。
- 息を吐きながらお腹の力で両脚と上体を同時に引き上げ、両脚を45度ほどの角度に上げ、両腕をそれと平行に伸ばして手のひらを両脚に向ける。息を吸い、吐きながら力を抜かずにゆっくり元に戻る。
回旋|ヒップサークル(4往復)

- 床に坐り、両手を後ろについて上体を後ろに倒し、両脚を揃えて床すれすれでまっすぐ伸ばし、爪先も伸ばす。

2.みぞおちから脚が生えているような気持ちで、息を吸って準備し、吐きながら、大きな円を描くように両脚を時計回り・反時計回りに回す。
回旋|チクタク(4往復)

- 床で仰向けになってインプリンティング。両脚を揃えて床と垂直に上げ、足裏を天井に向ける。両腕を肩の左右にまっすぐ伸ばし、手のひらを床につける。

2.時計の針の動きをイメージしながら、息を吐きながら背骨を回して両脚を床すれすれまで下ろし、息を吸い、吐きながら元に戻る。

3.反対側も同様に行う。みぞおちから上は安定させ、脚の重みで体幹がブレないように注意。
側屈|サイドベンド(左右各5回)

- 右側を床に向けて横向きになり、右手を肩の真下について上体を起こす。左腕を天井へ伸ばし、手のひらを正面に向ける。左足を少し前に出し、下半身を安定させる。

2.息を吐きながら、右側の骨盤を床すれすれまで下ろしたら、息を吸い、吐きながら骨盤をできるだけ高く引き上げ、息を吸い、元に戻る。左右を変えて同様に行う。
6〜8週目|すべてを統合する。
サイドクランチ(左右各5回)

- 左側を床につけて横向きになり、左膝を90度曲げて前に出し、右脚をまっすぐ伸ばす。頭を床に下ろし、右手を後頭部に添え、左手を右脇腹に添える。左脇腹は床から浮いている。

2.息を吐きながら、右脇腹を縮めて上体を起こし、同時に踵を遠くへ引っ張りながら、右脚を上げる。息を吸いながら元に戻る。左右を変えて同様に行う。
レッグプル(左右交互に各5往復)

- 床に坐り、両手を後ろについて上体を後ろに傾ける。両脚を揃えてまっすぐ伸ばし、爪先も伸ばす。息を吐きながら、お尻を引き上げ、踵から肩まで一直線にキープ。

2.1の上体をキープしたまま、息を吸って吐きながら脚だけを左右交互に引き上げる。
ティーザー・ツイスト(左右交互に各5往復)

- 床で仰向けになり、両脚を揃える。両手を肩幅でまっすぐ伸ばす。息を吐きながらお腹の力で両脚と上体を同時に引き上げ、両脚を45度ほどの角度に上げ、両腕をそれと平行になるように伸ばしてティーザーの姿勢を取る。

2.息を吸って吐きながらみぞおちを中心に両腕と両脚を逆方向へ捻り、息を吸いながら正面に戻る。左右交互に行う。
ジャックナイフ(5回)

- 仰向けになり、両腕を体側で開き、手のひらを床につける。両脚を揃えて床と垂直に上げる。

2.息を吐きながら、下腹を縮め、爪先を天井に突き上げるようにお尻を高く引き上げる。息を吸いながら両脚を床と平行に下ろす。息を吐きながら背骨を1個ずつ床につけるようにゆっくり戻る。
9〜12週|機能的に仕上げる。
ピラティスの基本的な哲学は、できるだけ多くの動きを少しずつ毎日行って、その刺激でカラダ本来の機能を目覚めさせること。そこで2〜8週で身につけた15種目を通して行う。慣れてくれば、丁寧にやっても20〜30分で終わるだろう。