投資する価値あり? アンチエイジング医療で得られるもの

健康のためとはいえ無駄な出費は減らしたいが、何にならお金をかける意味があるか。医科学が発達した今、「抗加齢対策」も一考の価値あり。現状維持するだけでなく、若返りが見込めるケアも。ポジティブに検討を。

取材・文/石飛カノ イラストレーション/高橋潤 取材協力/上符正志(銀座上符メディカルクリニック院長)

初出『Tarzan』No.869・2023年11月22日発売

攻めの投資にアンチエイジング

攻めの投資にアンチエイジング

久しぶりに同窓会に顔を出してびっくり仰天。旧友たちの髪が、肌つやが、全身のシルエットが、見るも無惨に劣化している…!

一生健康で過ごす人生は素晴らしい。さらに一生若々しいカラダを保って過ごす人生はもっと素晴らしい。この両方の条件を手に入れるための方法がアンチエイジング医療だ。

一般的な健診や治療の目的が病気の早期発見や早期治療だとすると、アンチエイジングのそれは今の年齢で望み得る限り最高の健康状態にもっていくこと。

言ってみれば攻めの自己投資なので通常の病院やクリニックとは異なり、公的保険の対象外となる自由診療だ。アプローチは抗酸化、抗糖化、ホルモン補充などさまざま。決して安くはないが、大いに興味がそそられる。参考までに覗き見してみたいという人、ご注目!

男性ホルモン投与でLOH症候群対策

近年、LOH(Late-onset hypogonadism)症候群と呼ばれる男性ホルモンの減少で起こる男性更年期の患者が増えているという。

LOH症候群の症状
  • 疲れやすい
  • 発汗やほてりを感じる
  • イライラしがち
  • 性欲が低下した
  • 日々の楽しみが少なくなった
  • 運動する気力がない
  • 物悲しい

「男性ホルモンが減り始めるのは40代。女性の更年期と同様、不眠やイライラといった症状やヒゲが伸びない筋肉がつきにくいなどの症状も」と言うのは銀座上符メディカルクリニックの上符正志さん。

体内で働く活性型の男性ホルモンは意外とドラスティックに減っていく。しかも女性の更年期は約5年間とされているのに対し、LOH症候群は40代以降はいつでも起こり得る。対策は男性ホルモンクリーム&注射で。

加齢と性ホルモン分泌の変化
加齢と性ホルモン分泌の変化 グラフ

日本分泌学会HPより

40代以降、女性ホルモンが急激に低下するのに対して男性ホルモンの低下は一見緩やか。ただ活性型男性ホルモンの減少率はかなり急な右肩下がり。

DHEAサプリで健康長寿を目指す

必要十分な男性ホルモンが分泌されていれば、気力や決断力の維持や筋肉合成が促される。

「一生付き合っていかなければならないのがホルモンです。その世代のベストを維持していけば同級生より元気で輝くことができます」

で、性ホルモンの材料になるのが副腎から分泌されるDHEAというホルモン。加齢とともに分泌量が低下するとLOH症候群などに陥る。

「最近の研究ではDHEAの分泌量が寿命の指標になることもわかってきました。サプリメントからの摂取を続けることで風邪をひきにくくなるなどの効果も期待できます」

男性はDHEAが多い人ほど長生きする
男性はDHEAが多い人ほど長生きする

「デヒドロエピアンドロステロン(DHEAS)の値と長寿との関係について」榎本美佳ら

福岡・久留米市の田主丸検診の受診者を30年間追跡調査した研究。男性はDHEAの値が高いグループほど生存率が高かった。

標準以上の若さを追求する総合ホルモン検査

アンチエイジングクリニックを訪れてまず行うのが、今のカラダの状態を「見える化」する検査。最もポピュラーなのが総合ホルモン検査だ。

「私のクリニックでは血液検査で12種類のホルモンをスクリーニングし、その年齢の理想値と比較して5点満点評価をします。とくに成長ホルモンとDHEAのふたつのホルモンが体内年齢を表します」

5点満点中3点が通常の老化レベルなので、アンチエイジング医療的には4点以上を目指す。予防医学的立場のアンチエイジングでは標準値で満足してはいけない。より高みを目指す。

数値が3点以下なら食事や運動などの生活改善やホルモンのサプリメントなどで点数を引き上げていくという手順。主な検査の価格は下の表の通り。一度試してみる価値ありだ。

アンチエイジング検査の一部
総合ホルモンバランス検査 12種類のホルモンバランスを精密分析 27,000円

キレーション検査

動脈硬化度の測定、炎症反応などを分析 10,200円
遅延型フードアレルギー検査 自覚しにくいフードアレルギー120項目を分析 50,000円
ビタミンC血中濃度測定 血液中のビタミンC濃度を測定  4,300円
メンタルホルモン検査 メンタルバランスに関わる4ホルモンを分析 10,000円

※銀座上符メディカルクリニックの検査項目および料金表

点滴・注射治療価格ランキング

アンチエイジングクリニックで受けられる治療の代表的なものが点滴および注射治療。下の表は、銀座上符メディカルクリニックで受けられる主な点滴・注射治療の価格ランキング。

注射治療価格ランキング

1位|超高濃度グルタチオン点滴【17,000円】:強力な抗酸化物質のグルタチオンを投与。パーキンソン病、アトピー性皮膚炎などに適応。

2位|キレーション点滴【16,300円】:有害ミネラルを排出するキレート剤を投与。 動脈硬化改善、活性酸素除去などに適応。

3位|超高濃度ビタミンC点滴【16,100円】:25g投与。活性酸素除去、免疫力賦活などに適応。

4位|慢性疲労回復肝機能改善解毒点滴【10,300円】:強ミノファーゲン、グルタチオン、総合ビタミンB、ビタミンC、プラセンタなどを投与。

5位|プラセンタ点滴【4,300円】:3アンプル投与。総合ビタミンB、ビタミンCを含む。肝機能改善、美肌作用など。

6位|脳代謝改善点滴【3,600円】:脳代謝改善薬のシチコリンと神経を修復するメチコバールを投与するスタンダードコース。

7位|テストステロン注射【2,100円】:125mgのテストステロンを皮下注射。男性ホルモンクリームの処方で物足りない人向け。

※銀座上符メディカルクリニックの点滴メニューおよび料金

1位は超高濃度グルタチオン点滴で、肝機能の改善、解毒作用の向上、活性酸素の除去、損傷した神経の改善などが期待できる。

「グルタチオンはパーキンソン病やアルツハイマー病にも活用されます。点滴のうち最もポピュラーなのはビタミンC点滴です。ストレスの多い人、日焼けをしやすい職業の人は一度に25gの点滴を多い人で週に一度、または2〜3週間に一度程度治療を受けるイメージ。免疫力アップや肌の美白にも繫がります」

週1なら1万6100円×4で月6万4400円。なかなかの投資額。