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タンパク質と、何が同じで、どう違う?ジェーン・スーと〈味の素(株)〉社員が語るアミノ酸のこと。
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歩いているとココロが浮き立つ。爽やかな風に頰を撫でられ、降り注ぐ陽光はカラダを包んでくれる。自他ともに認める散歩好きという高田純次さんとお気に入りのコースをともに歩いた。これを読めば、アナタも外へ飛び出して、街を歩きたくなるはず。さすれば、ココロもカラダも健康になれるのだ。
真っ青の空の下、高田純次さんは、事務所近くで慣れ親しんだ千駄ヶ谷の道をゆったり歩いていた。「日本って本当に独特だね」と街を眺めながらボソッと一言。その瞬間だけでは、言葉が理解できなかった。
「だってそうでしょ。日本は統一感がまったくない。いろんなカタチの家やビルが、ゴチャゴチャって立っている。だけどなぜか美しく感じるよね。海外はだいたい街の色ってのがある。統一の美。対して日本にはそれはない、不統一の美だね」
駅から東京体育館を右手に少し歩くと、国立競技場が見えてくる。2021年の東京オリンピックのために隈研吾氏が設計した巨大スタジアムだ。
「建築は結構知っているよ。威張るわけじゃないけど(笑)。隈さんともテレビで知り合いになったの。しかし大きいね〜、前のオリンピックのとき、オレは17歳だったんだ」
そこから北参道方面に続く通りに出る。将棋で有名な鳩森八幡神社を過ぎ、撮影スタッフの勧めで初めて入ったセレクトショップで花を口に咥え、決めポーズ。
馴染みのとんかつ屋では、「すいませんね」と言って暖簾を潜る。道行く人に「じゅん散歩?」と聞かれて「今日は違うよ!」と満面の笑み。サービス精神旺盛な、誰もが魅力的に感じる男が、西日を受けて歩いていた。
そう、高田さんといえば『じゅん散歩』(テレビ朝日系)。“一歩一会”で、さまざまな場所を散歩した。もう7年目を迎える。番組が始まる前、高田さんは脊柱管狭窄症の手術を終えたばかりだった。
「ラーメン屋で知り合いのプロデューサーに偶然会って、じゃあ散歩人の候補にしとくよって言われてさ。それで白羽の矢が。じゃあお願いしますって。リハビリを兼ねてのつもりだったけど、最初は本当に腰の酷使、もう大変(笑)。けど、散歩していたら自然と痛まなくなったね」
週に1、2回、撮影のため街へと繰り出す。最大で1日で1万8000歩も歩いたことがある。そんななか、散歩の楽しみがわかってきた。
「街は1年経つと変わるね。僕は変わるのはしょうがないと思う。だって生きているから。ただ、いろんな場所の駅舎が全部同じになっちゃうのが悲しい。見るたびに昔の個性的な駅舎を思い出しちゃうよね」
“じゅん散歩”では、そこに住む人たちとの交流も大切な要素である。高田さんは、思い切りの笑顔で話す。
「ジイサンはダメ。下ネタばっか。“オマエまだまだ元気か!”なんて(笑)。それに比べて女性はさすがだよ。“あそこに行ったらいいよ”なんて言ってくれるしね」
番組では大抵行き先は決まっている。だが、ロケ中に出会った人が勧めてくれた場所に行ったことも。そこに新たな発見がある…と見せかけて、高田さんはほとんど知っている。その場所にどんな物語があるかを。実に博学なのである。
しかし…。「いやいや、それはアナウンサー・下平さやかさんの解説のおかげでしょ」と謙遜するのであった。
御年75歳である。しかし、高田さんの歩きは速いし、若者に負けないぐらい元気そのもの。どこから、そんなパワーが生まれてくるのであろう。
「やっぱり歩かなくては番組が成立しないから。といっても、自分も楽しんでいるけどね。習慣になっているから、鍛えられていると思いますよ。足腰にはまだまだ自信がある。
若いころからロケが多かったから、そのぶんの貯金もあるかもね。今は1回の収録で、1万2000歩ぐらいで落ち着いているよ。撮影の日はよく寝られるんだけど、明け方には脚は攣る、ジイさんだからね(笑)」
① 国立競技場
世界的建築家の隈研吾さんがデザインした。日本の木造建築からヒントを得たこの巨大建造物の迫力は圧巻。東京オリンピックとパラリンピックのメインスタジアムだ。昨夏は、ここで数々の名勝負、そしてドラマが生まれた。
② 鳩森八幡神社
貞観2年(860年)からの歴史を持つ神社。将棋の聖地である日本将棋会館のすぐそばにある。敷地内にある将棋堂には大山康晴十五世名人が揮毫した1m20㎝の王将の大駒が置かれている。有名棋士も勝利祈願に来る。
③ THE MOTT HOUSE TOKYO
スリーピー・ジョーンズなど、主にニューヨークのブランドを揃えるセレクトショップ。アパレルや小物類に加え、店先には彩り鮮やかな花が並ぶ。東京都渋谷区千駄ヶ谷3-27-8。12時~19時、無休。
④ ふじもと
高田さんがよく通っているというとんかつ屋。ランチは1,000円以下から。東京都渋谷区千駄ヶ谷3-14-2。月~金11時30分~15時、17時30分~21時30分。土11時30分~15時(不定休、要問い合わせ)、日・祝休。
取材・文/鈴木一朗 撮影/下屋敷和文 イラストレーション/エイドリアン・ホーガン
初出『Tarzan』No.828・2022年2月24日発売