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パートナーと楽しむために。性の知識をアップデートするQ&A

テクニックを身につける前に、お互いのカラダについて正しい知識を身につけたい。筋トレもセックスも、やる気と愛だけではダメなのだ!

高橋怜奈さん(東邦大学医療センター大橋病院産婦人科助教)、白井雅人さん(順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科准教授)、坂本浩隆さん(岡山大学大学院自然科学研究科准教授)という専門家の各先生にお聞きした8つのQ&A。

1. ストレスがあるとセックスはどう変わるの?

新型コロナ感染拡大でストレスは増えた。それとセックスに関係が?

「性欲の中枢がある視床下部には、ストレスで放出されるホルモンをキャッチする受容体が多く、長期的に強いストレスが続くと、性欲が抑えられる傾向が強くなります」(岡山大学大学院の坂本浩隆准教授)

対照的に、短期で弱いストレスは、性欲を高めることもある。

「揺れる吊り橋を渡るときのように、不安や恐怖を共有すると恋愛感情を抱きやすい“吊り橋効果”があります。適度なストレスが加わると交感神経が優位になり、そのドキドキ感を性的欲望と混同するのでしょう」

健全な性生活のためにも、新型コロナの早期収束を祈るばかりだ。

2. コロナワクチンを打つと精子が減るってほんと?

新型コロナのワクチン接種懐疑派からは、SNSなどで「ワクチンで精子が減るのではないか」という心配の声も出ている。その真相は?

権威ある医学誌JAMA(米国医師会雑誌)に掲載された論文では、ファイザー社とモデルナ社のワクチンを1回または2回接種した後でも、健康な男性の精子の数や質に明らかな低下は見受けられなかったという。

日本で接種が進行中なのは、ファイザー社とモデルナ社のワクチン。いずれもmRNAワクチンに分類される。ジョンソン・エンド・ジョンソン社、アストラゼネカ社のワクチンはmRNAワクチンではないが、作用メカニズムは似るため、やはり男性機能への悪影響は考えにくい

3. 男性が射精後にしばらく勃起しないのはナゼ?

歓喜の射精直後、男性は一転して「不応期」を迎える。性欲が急に衰え、勃起できない時間がしばらく続くのだ。興奮からハッと我に返り、理性を取り戻して冷静になるため、「賢者タイム」とも呼ばれる。

射精後、男性の脳ではプロラクチンというホルモンが分泌される。このプロラクチンが性的な衝動と行動にブレーキをかけて不応期を起こす。でも、なぜ不応期が存在するのか。

「性交時は無防備ですから、終わったら即冷静になり、安全を確保する必要があります。動物では性交後にメスからオスが攻撃されることもあるので、それを避ける意味もありそうです」(順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科の白井雅人准教授)

4. オーガズムにも男女差がある?

セックスのハイライトはオーガズム。「イク!」と叫びたくなる至福の瞬間だが、それには男女差がある。

男性のオーガズムは、通常は精液を尿道から外へ放出する射精を伴う。

「大半のケースで射精とオーガズムはほぼ同時に起こりますが、まれにオーガズムを伴わない反射的な射精や、射精を伴わないオーガズムもあります」(白井先生)

一方、オーガズムの経験がない、あるいはその感覚がわからないという女性も少なくないという。

「男性は自分勝手に射精をゴールにした行為に走らず、女性のオーガズムをサポートする心遣いを持ちましょう」(東邦大学医療センター大橋病院産婦人科の高橋怜奈助教)

5. 巨乳の人は感じにくい?

女性の豊満なおっぱいに、魅力を感じる男性は多い。俗に言うおっぱい星人だが、そのくせ、「巨乳の女性はおっぱいを愛撫しても感じにくい」「貧乳の方が感度がいい」といった身勝手な不満を漏らす男性もいる。この不満は果たして妥当なのか。

高橋先生からの回答はこうだ。

「おっぱいでも性感帯としてとくに敏感なのは、乳首。巨乳好きの男性は、そのボリューム感を味わいたいあまり、乳首への愛撫が疎かになる傾向があり、それが“巨乳は感じにくい”という偏見を生むのでは? 貧乳だと愛撫が自然と乳首に集中しやすいため、“貧乳の方が感じやすい”という声が出るのでしょう」

悪いのはおっぱい星人の方なのだ。

6. 射精するほど長生きできる?

自慰に夢中で射精をしすぎると、最後に赤玉が出てもうそれ以上射精できなくなる…。自慰のしすぎを皮肉る冗談だが、射精に励むことはむしろ健康にはプラスらしい。

「これまで世界3か国で、男性の性行為と死亡リスクについて研究が行われています。それらをまとめると、オーガズム(≒射精)の頻度が週2回以上と高い男性は、頻度が低い男性と比べると、死亡リスクが50%低いという結果でした」(白井先生)

射精が健康にいいというよりも、射精ができるのは健康の証し。ゆえに頻度が高い人は長生きなのだろう。

「日本人男性は長寿ですが、日本人の性交頻度は世界最低レベル。ただ、自慰を含めた男性の射精回数は他国とほぼ変わらないとされています」

7. Gスポット、ポルチオってどこにあるの?

男性はすぐ女性の膣に挿入したがるが、女性がオーガズムを感じやすいのはクリトリス。挿入で達する場合でも、ピストン運動でクリトリスが擦れた結果というケースも多い。

女性が膣で快感を高めたいなら、注目すべきはGスポットポルチオ。Gスポットは膣口から3〜5cmの深さにあり、皮下に埋まったクリトリスの海綿体を刺激して絶頂へ誘う。

「どの女性にもありますが、感じやすさには個人差が大きい。Gスポットへの刺激のみだとオーガズムに達しない女性もいます」(高橋先生)

ポルチオは、子宮と膣をつなぐ子宮頸部のうち、膣に飛び出た部分。挿入時に亀頭で刺激できる。Gスポット同様、ポルチオでの感じ方にも個人差がある。優しく触れよう。

8. セックスは健康にいい?

健康目的でセックスをする人はいないが、セックスが健康にいいか、悪いかは、ぜひ知りたいもの。

「それは話がですね。セックスは心身ともに健康で神経、血管、ホルモン、精神状態が健全で初めて存分に楽しめるもの。男性で35歳前後からED(勃起不全)など性に関する悩みが増えるのは、そこを境に機能が低下するからです」(白井先生)

EDの背景に生活習慣病が隠れていることも多い。射精のみならず、セックスは健康のバロメーターだ。

「女性でも性交痛や出血の背後にホルモンバランスの乱れ子宮筋腫などの病気が隠れていることも。性交で異変を感じたら、念のため病院を受診してみましょう」(高橋先生)

初出『Tarzan』No.816・2021年8月5日発売

取材・文/井上健二 イラストレーション/上田よう 取材協力/高橋怜奈(東邦大学医療センター大橋病院産婦人科助教)、白井雅人(順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科准教授)、坂本浩隆(岡山大学大学院自然科学研究科准教授)

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