慣れ・不慣れで疲労度が変わる?|専門家に聞く「疲労の正体」vol.8
どうして人間は疲れるのか? 頑張る男子くすぶりくんの漫画と疲労の専門家・梶本先生の解説をテーマごとに読めば、謎が解ける! 今回のテーマは、「慣れた動作では疲れない」というお話。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/沼田光太郎
初出『Tarzan』No.797・2020年10月8日発売
慣れた動作は小脳が担当。だから疲れない。
くすぶりくん(以下:く) そんな調子でゴルフの方は一向に上達しないんです。それなのに練習の後はすっごく疲れます。
梶本修身先生(以下:梶) それは自律神経が緊張して、脳のすべての機能をフル回転しているからでしょう。でもくすぶりくん、一輪車に乗っているときはどうですか? 疲れますか?
く いえ、まったく。一輪車に乗ってるって感覚もないんで。なんだったら食事しながらでも乗れちゃいます。
梶 一輪車の方は「手続き記憶」といって、一度習得したら歳をとってもできるような記憶の部類になります。これが働いているときには自律神経はあまり活動していないんです。だから疲れない。
く 自律神経の中枢は視床下部と前部帯状回でしたよね。じゃあ、手続き記憶で働いているのは?
梶 「運動で疲れるのは、カラダではなく脳」という記事でも出てきたイラストを、もう一度見てみましょう。ここに小脳がありますね。
く あ、ホントだ。後頭部にある団子みたいなやつですね。
梶 手続き記憶に関与しているのは小脳です。小脳が頑張っているから、自律神経機能で集中しなくても作業的にその動きができるんです。
く 小脳は疲れないんですか?
梶 大きい部位だし、他に処理する情報が少ないので疲れにくいと考えられます。
く ふーむ。じゃあゴルフも慣れれば疲れにくくなるんですか?
梶 その通り。パフォーマンスは同じでも自律神経機能が緊張しなくなります。だから、反復練習をして早く慣れることが大事です。
く よし! 今日から一輪車に乗りながらスイング練習するぞ!