
教えてくれた人
ちづかみゆき/国際中医薬膳師。料理家。旬食材の効能を活かした、心身を労る滋味深いレシピを提案。料理教室〈meixue〉主宰。著書に『大人の心と体を整える 腸活薬膳のはじめ方』(翔泳社)などがある。
秋の食材|心身を潤し、栄養を蓄えて寒い冬に備える。
乾燥が気になる秋は、全身に潤いを与えることが肝心。特にダメージを受けやすい「肺」を労り、冬に備えて「気」を蓄えたい。

【滋陰】全身に必要な潤い成分をカラダの内側から補う|豚肉、卵など
カラダの潤い=陰液を補い、乾燥症状を改善。タンパク質も豊富な豚肉や卵のほか、オクラや山芋などのネバネバ食材も滋陰食材の仲間。
【補気】旬の食材には、季節に必要な「気」が充満|きのこ、鮭など
夏に消耗した気を補う食材を。この時期旬のきのこ類は、食物繊維が豊富なので便通の改善にも役立つ。鮭にはお腹を温める効果もある。
【収斂】全身を引き締める力で、潤いや気を逃がさない|梅など
梅干しや酢などの酸味が持つ収斂作用には、気や潤いを体内にとどめてくれる力がある。寒気が増す冬に備えて、体内にしっかり蓄えたい。
【補肺・潤肺】秋に不調に陥りやすい「肺」を徹底サポート|長芋、レンコンなど
呼吸器系を司る「肺」は、乾燥に弱く、秋にダメージを受けやすい。長芋やレンコンなどの白い食材は、肺を潤し、不調改善にも役立つ。
体内の乾燥を防ぐ、秋の薬膳レシピ。
鮭とレンコン、シメジの梅クリームパスタ
「補気」の役割を担う鮭とシメジで免疫力アップ。秋に衰えやすい「肺」が喜ぶ白色食材のレンコンは、潤いをもたらし消化機能も整えてくれる。「収斂」作用の梅干しの酸味がクリーミーな味を引き締める。

材料(2人分)
- リングイネ(乾麺)…160g
- 生鮭(切り身)…小2切れ(約150g)
- レンコン…80g
- シメジ…60g
- 白ワイン…50mL
- 梅干し(塩分10%)…大2個
- 生クリーム(乳脂肪分35%)…大さじ4
- EVオリーブオイル…大さじ1
- 塩・粗挽き黒コショウ…各適量
作り方
- 鮭は皮と骨を除き、2〜3cm角に切って軽く塩を振る。レンコンは皮を剝き、3〜4mm厚さのいちょう切りにする。シメジは石突きを除いて小房に分ける。梅干しは種を除いて軽く包丁で叩き、生クリームと混ぜ合わせておく。
- フライパンにオリーブオイル大さじ1/2を熱し、鮭を並べて中火で焼く。片面に軽く焼き色がついたら裏返し、反対側も焼いて火を通し、取り出す。
- 2のフライパンに残りのオリーブオイルを加え、レンコンを中火で炒める。レンコンに火が通ったらシメジを加え、しんなりするまで炒める。白ワインを加え、半量程度になるまで煮詰める。
- 鍋に湯を沸かして塩を加え、リングイネを表示時間より1分ほど短く茹でる。パスタの茹で汁を80mLほど取り分けておく。
- 3のフライパンに茹で汁50mLを加えて温め、茹で上がったリングイネを加える。弱火にして1の梅干し入りの生クリームを加え、全体に絡める。ソースが重ければ残っている茹で汁を少しずつ足し、なめらかに仕上げる。
- 2の鮭を戻し入れ、身を崩さないように軽く合わせる。梅干しの塩味を見て、必要なら塩少々で味を調える。器に盛り、粗挽き黒コショウを振る。
甘辛豚ととろろ、卵黄ののっけ丼
エネルギー源となる豚肉と卵黄には「滋陰」作用があり、乾燥対策に。長芋には肺を潤し、気を補う力がある。「収斂」作用を発揮する米酢は、濃厚な味付けをさっぱりさせ、消化を促進させるポイントに。

材料(2人分)
- 豚肉(こま切れ)…250g
- 酒…大さじ1
- 【A】
醬油…大さじ1/2
みりん…大さじ1/2 - 片栗粉…小さじ1
- 長芋…150g
- 卵(卵黄)…2個
- 【B】
醬油…大さじ1・1/2
みりん…大さじ1・1/2
米酢…小さじ1
水…大さじ5 - 米酢…小さじ1/4
- ごはん…適量2人分
作り方
- 豚肉に酒を加えてよく揉み込み、Aを加えてさらに揉み込む。片栗粉を加えて全体になじませる。
- フライパンにBを入れて煮立て、豚肉を加えてほぐし広げる。表面の色が変わってきたら混ぜ、煮汁が半分になるまで煮る。
- 長芋は皮を剝いてポリ袋に入れ、叩いて粗く潰し、米酢小さじ1/4を加えて混ぜる。
- 器にごはんを盛り、3の長芋を乗せ、2の豚肉を乗せる。残った煮汁をかけ、卵黄を添える。
冬の食材|陰の気が極まる季節は、寒邪対策がマスト。
気血の巡りを阻む「寒邪」が、心身に悪影響を及ぼす季節。気血を補い、生命力の源の「腎」のサポートも意識した薬膳を実践。

【補腎・養腎】冷えて傷つく「腎」を、温め、潤し、支える|牡蠣、ブロッコリーなど
冷えると「腎」が影響を受け、疲労感が増し老化が進む。牡蠣やブロッコリーは「腎」が喜ぶ食材。ヒジキなどの黒色食材も同様に役立つ。
【散寒解表】全身を覆うような寒けを辛味の力で吹き飛ばす|ネギ、生姜など
ネギや生姜、スパイスなどの「辛味」のあるものには、気を巡らせて寒さを発散させる作用が。血の巡りを促しカラダを温めてもくれる。
【活血】血流をアップさせ、血の滞りを解消|黒豆、ニラなど
血の巡りに活力を与え、滞りやすい血流を改善。黒豆は黒色食材なので、「腎」のサポートにも向く。ニラにはカラダを温める作用もある。
【補気】気を補いながら、同時にカラダを温める|鶏肉など
冬は気を補いながら、カラダを温めて「腎」が喜ぶ食材を。鶏肉のほか、温め効果の強いラム肉もいいし、魚介類ではエビがおすすめ。
カラダを内から温める、冬の薬膳レシピ。
鶏挽き肉と蒸し黒豆、ブロッコリーのキーマカレー
クミン(馬芹)やウコンなど、生薬としても扱うスパイスを使うカレーは、薬膳と好相性。鶏肉で気を補い、黒豆やブロッコリーで「腎」をサポート。生姜やニンニク、カレー粉の辛味が寒さを吹き飛ばす。

材料(2人分)
- 鶏挽き肉…250g
- 蒸し黒豆…60g
- ブロッコリー…100g
- 玉ネギ…1/2個
- 生姜(みじん切り)…大さじ2・1/2
- ニンニク…1片
- 【A】
カレー粉…大さじ1・1/2
トマトペースト…大さじ1・1/2
水…150mL - 塩…小さじ1/2強
- 太白ゴマ油(米油でも)…大さじ2
- ごはん…適量2人分
作り方
- ブロッコリーは2cm大の小房に切る(茎は1cm角)。玉ネギとニンニクはみじん切りにする。
- フライパンに太白ゴマ油大さじ1/2を入れて熱し、ブロッコリーと分量外の塩ひとつまみを加えて炒め、香ばしく焼き色をつけて取り出す。
- 2のフライパンに残りの太白ゴマ油と玉ネギを入れ、中火でじっくりと炒める。薄く色づいてきたら生姜とニンニクを加える。
- 3に鶏挽き肉を加えて平たくのばし、少し焼き色をつけてからほぐす。Aを加え、黒豆と2のブロッコリーを加える。1〜2分煮て塩を加え、味を調えて火から下ろす。
- 器にごはんを盛り、4をかける。
牡蠣とニラの焼きそば
「腎」を補う代表的食材の牡蠣は、潤いを与える「滋陰」作用、血を補う「補血」の効能なども持つ優れた食材。ネギと生姜で寒さを飛ばし、ニラの「活血」作用も加えて冬の寒さに負けないカラダを支える。

材料(2人分)
- 牡蠣(加熱用・むき身)…大粒8個
- ニラ…1/2束(50g)
- 長ネギ…1/2本(50g)
- 生姜…10g
- 焼きそば麺…2玉
- 酒…大さじ1/2
- 【A】
オイスターソース…小さじ2
醬油…小さじ2 - 花椒(ホール)…小さじ1/2
- 太白ゴマ油(or 米油)…大さじ1・1/2
作り方
- 牡蠣は塩水でやさしく洗い、流水ですすいで水気をしっかりと拭く。ニラは4cm長さに切り、長ネギは斜め薄切り、生姜は千切りにする。花椒は粗く砕く。
- フライパンに太白ゴマ油大さじ1/2を中火で熱し、焼きそば麺を入れる。軽くほぐして広げ、あまり動かさずに焼き色をつける。裏返して反対側も焼き、いったん取り出す。
- 2のフライパンに太白ゴマ油大さじ1/2を熱し、牡蠣を並べる。中火で片面に焼き色をつけたら裏返し、酒を加える。水分を飛ばし、あまり動かさずに反対側も焼き色をつける。中心まで十分に火を通し、牡蠣を取り出す。
- 3のフライパンに残りの太白ゴマ油大さじ1/2、生姜、長ネギを加えて中火で炒める。香りが立ったらニラの根元に近い部分を加え、さっと炒める。2の麺と残りのニラを加え、Aを加えて炒め合わせる。3の牡蠣と花椒を加えて手早く混ぜる。器に盛り、お好みで分量外の花椒を適宜振る。

