PR

〈ハイコーキ〉ビルダーズ スピリット受賞者・河合時椰さん。高い精度を求められるシャッター工事を支える職人と電動工具の物語。

普段、何気なく目にしたり、通り過ぎる工事現場や建築現場。当たり前のようにトラブルなく私たちが暮らせているのは、それを手掛けた職人がいるからだ。電動工具でお馴染みの〈ハイコーキ〉は、「BUILDER’S SPIRIT AWARD」と銘打って、様々な職人の想いや志に光をあてるアワードを開催した。これは、その受賞者のひとり、河合時椰さんの物語だ。

text: Tarzan photo&movie: Sota Hamamoto

群馬県高崎市のとある早朝のコンビニ。トラックの運転席で物思いに耽っているのは、シャッターの取り付け工事を専門に行う職人の河合時椰さんだ。

「いつも現場に着く前にコンビニの駐車場で30分くらい、頭の中でその日の作業を整理するのが日課なんです」

毎朝家を早めに出て、現場近くのコンビニで一息つきながら、1日の作業を整理する。

仕事の現場は関東一円。3年間で走行距離が12万kmを超えるという。

MYトラックが移動手段で事務所で、巨大な工具箱。

普段、あまり意識することはないけれど、住宅や店舗の入り口のシャッターや、商業施設の境界で安全を守る防火シャッター。当たり前のようについているそれらは、職人たちの妥協なき作業によって、取り付けられている。コンビニから現場までの道すがら、車内でインタビューは始まった。

「前のトラックを7年間乗って、つい1年前にコレに乗り換えたばかりなんですよ。シャッター工は、職人の中でも、使う工具の種類が多いので、インパクトドライバーや溶接機、サンダーなどもひと通り自分で揃えました。防犯の意味からも、鍵をかけられるようにしているんですが、この通り、常に整理整頓して取り出せるように、荷台をカスタムしているんです」

車がもう一台買えるほどの工具が載せてあるので電動工具は鍵付きのキャビネットに。シャッターの資材を載せて走ることも多いという。

荷台には、使い勝手を考えて、自分でカスタム。美しく電動工具が収まっている。

職人は気に入った工具があると手馴染みがいいから、同じものを使い続けるのだろう。電道工具がカタリとも動かないように、その形に合わせて整然と収納場所が作られている。高崎に住みながら、関東一円の現場に出かける河合さんは、車1台に道具も資材も全部積み込んで、配送から施工までを一人で完結させる。それが地方で働く職人のスタイルであり、お客さんに安心してもらうために必要な準備だという。

今日の現場は河合さんが親方として、職人さんをまとめる。大きな工場にある高さ4mくらいの入口に、建物の内側からシャッターを取り付けるというミッションだ。職人仲間を集めて段取りを説明すると、「今日も安全作業で頑張ろう!」の掛け声と共に、それぞれが作業準備に入る。

現場について腰袋(ベルト)を締めると、まるで変身ベルトを巻いたみたいにスイッチが入る。

今日も大きなシャッターを取り付ける現場に。すでにスイッチはONの状態。

シャッターの取り付けは高所作業が伴う。作業しながら常に安全確認を欠かさない。

シャッターの取り付け工事は、想像以上に繊細だ。少しでも水平がずれていれば、シャッターは滑らかに動かない。異音を発したり、最悪の場合は途中で引っかかって動かなくなってしまう。図面の寸法を厳格に守り、重さ数十キロから、大型のものであれば総重量5トンにも及ぶ鉄の塊を、頭上の狭いスペースへと寸分の狂いもなく取り付けていく。

「シャッターってただの構造物で脇役みたいに思われがちですけど、いざという時に確実に動かなければいけない。安全確保しつつ、水平垂直を取りながら取り付けるんですが、その施工精度は、プラスマイナス2mm以内っていうのが大前提なんです」

高い精度の施工を実現するのは、“段取り8割”と電動工具。

ミリ単位の闘いを支えるのが、職人たちの知恵と相棒たる工具だと河合さんは語る。

これまで、先輩職人にいろんなことを教わりながらここまでやってきた。溶接の資格も取得しあらゆる作業に対応できるようにもなった。でも、もう1つ実感していることがあるという。

「工具自体がすごく作業性を上げてくれるんです。特に電動工具は耐久性が命。感覚的な話になりますけど、〈ハイコーキ〉の工具には、人間でいう“気合い”とか“根性”みたい粘り強さを、感じるんですよね(笑)。作業後は軽く掃除して、数ヶ月に1回は専門店でメンテナンスをお願いしています」

干渉する部分が出てきたら、上で話し合いながら切って、収めていくことも。

シャッターを両サイドで支え合い、共同作業で設置が進む。細かく声を掛け合う。

鉄を扱う以上は、ハイコーキのディスクグラインダーがないと、仕事にならないという。

かつては強豪校のラグビー部に所属。当時は96kgの体躯でスクラムの最前列、プロップとして花園に立ったことがあるアスリートでもある。

「グラウンドで培った「チームプレイ」の精神は、現場でも役立っていますね。職人仲間と頻繁に声を掛け合って、息を合わせて巨大な鉄骨を吊り上げたり。共同作業が多いのも特徴ですね」

資材の長さを合わせたり、バリ取りをしたり。そんな時にも〈ハイコーキ〉のディスクグラインダーが大活躍する。鉄と対峙し、汗だくになりながら火の粉を散らす河合さん。高所作業や重量物の取り扱いは、常に指を挟むなどの大事故と隣り合わせだ。それでも、道具を手に作業に集中する彼の横顔には、一切の迷いがない。

「現場を見極め、どのような順番で物を搬入し、どう組み立てていくか。全工程の段取りさえ完璧であれば、現場は円滑に回ります。仕事の8割は『段取り』で決まるというのが職人の基本。職人をしていた父親からも叩き込まれました」

お昼以外に10時と15時はお茶の時間。河合さんがみんなにお茶やジュースを配っていた。

無類の麺好きという河合さん。今日の愛妻弁当は、そばと唐揚げ。とにかく食べて体力をつけないと、あっとういう間に汗をかいて痩せてしまうという。

仕事と家庭に対する責任感は常に意識する。

「例えば防火シャッターは、火事が起きなければ一生降りることはありません。でも、もし万が一火事が起きたときには、何があっても絶対に作動し、降りなければならない。ある意味、通常時は『動かないシャッター』をつけているような、ちょっと不思議な仕事です。だけど、それによって誰かの命を少しでも守れるかもしれない。その責任感を持って、私たちは日々シャッターに命を吹き込んでいます」

仕事中はアドレナリンが出ていることもあり、気を張っている。一方、家族の立場からすると、危険と隣り合わせの仕事にハラハラする日常でもある。妻のさやかさんは語る。

「家では3人の子どもたちと全力でふざけ合う、優しくて子煩悩な父親なんです。責任感の強い人なんで、尊敬しています。本当に頼りになる存在なんですよ」

「ニュースで工事現場の事故を聞いたりすると、本当に怖くなります。それに、遠方の現場から運転して帰ってきた夫が『眠かった』と言うことがあって。現場での怪我も心配ですが、行き帰りの運転が本当に心配で……。とにかく、何事もなく無事に帰ってきてくれること。それだけを毎日祈っています」

家には仕事のことを一切持ち込まない夫が、自宅新築時にシャッターを取り付ける姿を初めて目の当たりにし、真剣に黙々と作業をする「職人の顔」に驚いたという。

撮影現場での今日の作業が終了し、「シャッター閉まりまーす」と掛け声をかける河合さん。最後にこんなことを話してくれた。

「私の場合は、シャッターを専門でやってますけど、鉄骨屋さんもかっこいいし、足場屋さんもかっこいいし。だから、多分『職人』っていうもの自体が私は大好きで、その業界に携われていることが非常に楽しいと思いますね。

「シャッターが動いてるところってかっこいいんですよね。この仕事が大好きです」