ゴールは温泉街!5kmの“すべり台”を楽しむ、箱根湯坂路トレイル。

登山電車で山の上へ行き、そこからはゆるゆると温泉に向けて下るだけ。有名な温泉リゾート・箱根の優しいトレイル「箱根湯坂路」に挑戦。

text: Tsuneo Uchisaka photo: Eiri Motoyoshi styling: Yutaka Aoki illustration: Grace Lee

『Tarzan』No.929 on sale July 9, 2026.

箱根湯坂路のトレランを満喫している様子
教えてくれた人

山下晃和(やました・あきかず)/モデル。元チームターザン・アドベンチャーレースの一員、なのでアウトドアすべてに精通してて、特にトレラン界では唯一無二のモデル、カメラマンの求めに応じてあらゆる走りを見せてくれます。たくさんのコースとその後の温泉や食事処にも詳しい。

トレイルに挑戦した人

オライナ/モデル。ロードランナーでもある。都会のレースイベントでたまたま優勝しちゃって、賞品としてトレラン用具一式とレース出場権をいただいた、がトレランの始まり。北海道出身でもともと登山が好きだからトレイル適性は十分、自然の中を走るのはうれしいんですって。

登山電車の小涌谷から、始発の湯本までの駆け下り。

オライナがトレランしている様子

モデルの山下晃和さんは本誌トレラン連載ページ、「ターザントレイルズ」の20年来の「専属」といってもいいモデルさん、急坂でもごろごろ石のコースでもかっこよく走り、かっこよく写ってくれます。その山下さんが最近トレランに目覚めたモデルのオライナさんを箱根の湯坂路(ゆさかみち)に案内しました。

日本中たくさんのトレイルを走っている山下さんがニコニコ笑顔で「この箱根湯坂路、絶対に喜ぶと思うな。僕も初めて来たとき感激したもん」。「え、そんなにいいコースなの」と期待わくわくのオライナさん。

コースマップ

箱根湯坂路のコースマップイラスト

箱根登山電車の小涌谷駅からスタート、千条の滝は誰でも感激します。スタートからの赤い線は上り、浅間山からの青い線は5kmの長い下り。高いところから低いところに水が流れるように、ラクに下れてしまうコースです。

小田急線箱根湯本駅から箱根登山電車で小涌谷駅まで進みます。駅前の国道1号(箱根駅伝の5区6区です)を渡って千条(ちすじ)の滝を目ざしましょう、「金型はこね荘」の看板をたどればいいのです、その先に滝ですから。

小涌谷駅から距離にして1kmほど、水の音が聞こえてきました、空気がひんやりしてきました。

滝の前を走る様子

湯坂路名物の千条の滝、小涌谷駅からすぐなので週末は観光客さんで賑わいます、彼らに配慮して進みましょう。

「あ、滝! すごいすごい」

広い空間の右に大きな横長の岩棚があって、そこに千条の通り、細い糸のような水が千本(?)、さらさらと流れ落ちています。

箱根に滝!?と思う人が多いかもしれないけど、実は知る人ぞ知る名所。マイナスイオンたっぷりで、夏でもじっとしていると涼しすぎるくらいです。

「ここからゆっくり上りになります、1kmほどで浅間山(せんげんやま)802m、このコースの最高峰、つまりもう上りはないってこと。そこから箱根湯本までおよそ5km、ずーっとゆるいゆるい下り坂、ながーいすべり台みたいなもん、気持ちよくて飽きるくらいです」。木の根の多い上り坂を進みながら山下さんが話します。

「え、飽きるくらい気持ちいい?たのしみー!」、後ろのオライナさんが応えます。

30分ほどで浅間山、ここは芝生でできた丘のよう、西に富士山が大きく顔を見せています。ここで時計の消費カロリーを確認。エネルギー不足(低血糖)にならないように、消費したカロリーを超えて補います。なので携帯食(おやつ?)は軽く、小さく、高カロリーが正解。そしてここからはずーっと下り、靴紐の緩みなども確認しておきましょう。

浅間山山頂で休憩する様子

そこから1kmほどの浅間山山頂、ゴルフ場のように芝生が整備されています。ここから芦ノ湖/元箱根にも行けますが、今回は湯本へゴー。

この箱根湯坂路は都心からアクセス簡単、距離は7.7kmと短く、しかもほぼ下り。朝イチで走り出せば、昼前に走り終えることも可能です、そして到着するのは箱根湯本という大温泉街、お風呂にも食事にも困りません。初心者でもまったく安心、走る日帰り観光っていっていいくらいです。

ちいさな日帰り温泉や、駅からシャトルバスで、というテーマパークのような温泉施設もあります。

《Polar Grit X2》

《Polar Grit X2》はフルカラーの地図を搭載したモデル。消費カロリーの内訳を「炭水化物」「脂肪」「たんぱく質」で表示してくれる。WEBサイト

5kmのながーいすべり台を、いざ下る。

山道を走っている様子

ブレーキをかけずに下れるちょうどいい斜度、でもすっ飛ばすと翌日筋肉痛です。

さあ、湯坂路いよいよ期待の下りが始まります。浅間山山頂の階段を下れば、どこを走ればいいんですか?というくらい広い広いトレイル、森の中を切り開いたようにずっと先まで見通せます。

「ちょうどいい下りの斜度ですね、カラダを傾けるだけで、どんどん前に進んじゃう」、オライナさんは大喜びです。

山の中を立っている様子

「めちゃくちゃいい、こんなに楽しいコースだとは、しかも最後は温泉ですし」とオライナさん。

この下りは5kmも続きます。いい気になって飛ばすと、危険なだけでなく終盤に足が疲れてしまいます。「ゆっくり」を意識して下りましょう。このコース、最後は凸凹路面、石をよけたり、上手な足さばきが必要ですし。

根の出ている箇所を走る様子

根の出ている箇所も。進行方向に縦に延びた木の根は滑ります、木の根は真横に延びた根を、足の向きと直角に交わって「十文字」になるように踏みましょう。

狭い木段のところで下からハイカーさんがふたりやってきました。山下さんが声をかけてオライナさんを立ち止まらせます。トレイルの脇によけてハイカーさんたちに道を譲ります。

「こんにちは、そちらはどこまで?」「千条の滝です」「あ、逆コースですね、われわれは滝から来たんです、お気をつけて」

狭い道では他の人に配慮しましょう、それに山で遊ぶ者同士のやりとりもトレランの楽しみのひとつですから。

道が石畳になってきたら終点の湯本はすぐ。ゴロゴロ石も出てきます、注意して下りましょう。九十九折を下ると、なんと国道1号の歩道にポンと出ます、お疲れさま。さ、温泉です、ごはんです。

石畳を走る足元の様子

湯坂路の最後は石畳になります。凸凹が大きいし、雨の翌日は滑ったりもします、足も疲れているし、ここは特にゆっくり、気をつけて下りましょう。

〈MPHAS COFFEE HAKONE〉

MPHAS COFFEE HAKONEのニュージーランドパイ

MPHAS COFFEE HAKONEでメニューを悩む様子

川辺でニュージーランドパイを食べている様子

MPHAS COFFEE HAKONEの外装

湯本にはおいしいごはんがたくさんあるけど、このお店は今年3月にオープンしたばかり。パイは上下2層の生地でできていて、上層はサクサク、下層はもちもち。名物のステーキ&チーズはトマトソースベースに煮込んだゴロゴロ肉と野菜、チーズという濃厚さ。味もボリュームも大満足です。1,200円。

神奈川県足柄下郡箱根町湯本217-1。8:00〜16:00(LO.15:30)、火曜定休。Instagram:@mphas_coffee_hakone