ラジオ体操も、実は立派なストレッチです。

何気なく日本の風景に根付くラジオ体操。実は動的ストレッチとしての側面が強く、全身をくまなく動かせるうえに、運動効果も高い。意外と知らないその歴史に、あらためて向き合ってみたい。

text: Mako Matsuoka photo: Shintaro Yoshimatsu

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上野公園でラジオ体操をしている様子

朝の空気を吸い込んで、一日の始まりを整える。

6:15AM。上野公園竹の台広場にランニングウェアの男性、出勤前らしき女性、散歩中のシニアなど、さまざまな人がやってくる。15分後、ラジカセからおなじみの前奏が流れ始めると、広場に集まった人々が一斉に腕を上げた。

「“いつでも、どこでも、誰でも”を理念に考案されたラジオ体操は、650近くある筋肉のうち約400の筋肉を刺激する動的ストレッチです。第一で4メッツ、第二で4.5メッツ。前者は卓球やパワーヨガ、後者はテニス(ダブルス)と同等の運動強度です。3分間で全身をほぐせるだけでなく、ケガのリスクが低いのも特徴です」と教えてくれたのは、全国ラジオ体操連盟の山崎健さん。

全国ラジオ体操連盟の山崎健さん

そのルーツは1928年まで遡る。当時の逓信省簡易保険局が国民の健康増進を目的に、初代ラジオ体操を制定。30年に東京・神田で子ども向けのラジオ体操の会が発足したのを機に、全国に普及した。ちなみに現在の「第一」は51年、「第二」はその翌年に構築されたもので、3代目となる。

全国ラジオ体操連盟には、全国約2400のラジオ体操会場が登録されている。特に上野公園のラジオ体操会の歴史は長く、52年頃から続き、雨や雪の日であっても開催されている。毎朝必ずここを訪れてラジオを流すのは、上野公園ラジオ体操愛好会の代表を務める渡辺光敏さんだ。

「晴天時には200人くらいが集まります。自宅から20〜30分歩いて来る人や、ユーチューブで評判を知って、旭川からやってきた若者など。ちなみに私は定年退職後にラジオ体操を始めました。指導員の資格を取得してから、はや15年。70代でも元気なのはこれが大きいですね」

6:40AM。ラジオ体操第一から始まり、第二の深呼吸で心地よく締めるやいなや、集まった人はそれぞれの日常に向かう。ラジオ体操を週5日、3年以上続けている人は体内年齢が20歳以上若いという調査結果もあるそうだ。体操会のみならず、ラジオ、テレビ、ユーチューブとどんな形でも参加できる。まずは明日、あの旋律に合わせて腕を回してみてほしい。

〈東京・上野恩賜公園〉上野公園ラジオ体操愛好会

国立博物館、上野動物園を見渡せる広場で毎朝実施。誰でも参加できる。指導員が前に立って体操するので、正しい動きを習得しやすい。代表の渡辺光敏さんらによるワンポイントレッスンも不定期で開く。