下山後の喫茶店が待ち遠しい!日帰りで楽しむ、ごほうび登山。

都心からのアクセスは抜群で、初心者・女性も挑戦しやすい陣馬山。登山口から足を踏み入れると、そこに広がるのはバリエーション豊かな山道の数々だ。木陰をのんびり歩きながら、自然の中にどっぷり浸かってリフレッシュしよう。

text & edit: Nobuko Okamoto photo: Eiri Motoyoshi illustration: Naoki Shoji

『Tarzan』No.929 on sale July 9, 2026.

ご褒美のある陣馬山

案内人・武田佐和子(たけだ・さわこ)/ガイド事務所〈TRACE〉主宰。岩稜バリエーションから低山ハイキングまで幅広くガイドを行う。日本山岳ガイド協会認定・山岳ガイドステージⅠ、健康運動指導士。

歩く人・吉田 愛(よしだ・あい)/料理家、唎酒師。料理家のアシスタント、東京、京都の日本料理店での修業を経て独立。本格的な和食から家庭料理まで、幅広いレシピが人気。趣味は蕎麦屋飲みとランニング。

初心者にもベテランにも人気の山・陣馬山。

案内人の武田佐和子さんと案内してもらう料理家の吉田愛さん

左:案内人の武田佐和子さん、右:料理家の吉田愛さん。

今回、目指すのは標高855mの陣馬山。案内人の武田佐和子さんは、初心者のトレッキングから岩稜クライミングのガイドまで豊富な知識と経験を有する、女性では数少ない難関の「山岳ガイド」資格保有者のひとりだ。

「陣馬山はコースや距離によってバリエーションが多く、高尾山からの縦走も人気。都会からのアクセスも良く、日帰り登山には特におすすめの低山です」(武田さん)

案内してもらう料理家の吉田愛さんは「高尾山に行ったことがあるくらいで、登山経験はほぼゼロ。自然の中に入って歩くのが楽しみです!」と期待に胸が高鳴る。

標高855mの陣馬山を歩いている様子

複数のルートから選べて、登山初心者にもベテランにも人気の陣馬山。

夏の低山を快適に歩くための準備をしよう。

登山靴がなくても、滑りにくいものならスニーカーで気軽に登れるのが陣馬山の魅力。ただし低山といえど、山にあるリスクは変わらない。装備とルートの確認は事前にしっかり行おう。

低山歩きでもマストな持ち物リスト。

持ち物リスト

  1. 熊よけ鈴/スプレー、ヘッドライト、絆創膏、固定用テープなど最低限の緊急グッズと、紫外線対策の日焼け止めも準備。
  2. 山の天候は変わりやすい。ザックの防水カバーと透湿素材のレインウェア上下は必須。
  3. 夏の低山では、冷却グッズや塩分補給タブレットなどで熱中症対策も。
  4. 飲み物は行程1時間当たり50mL×体重(kg)を目安に。行動食はゼリー飲料やナッツ、ドライフルーツほかお好みで。
意外と知らない? ラクに歩けるザックの背負い方。

リュックの正しい背負い方

1.骨盤を包むように腰ベルトを締める。

リュックの正しい背負い方

2.肩ベルトを後ろへ引いて背中にフィットさせる。

リュックの正しい背負い方

3.最後に胸ベルトを締め、ザックの重みで姿勢が後ろへ引っ張られないように調整。

いよいよ出発!その前に。

「山頂まで給水ポイントやトイレはないので、入山前に準備を済ませておくこと。また標高が低い分、夏は暑さ対策グッズも用意しておくとベスト。木陰が多い川沿いのコースを選べば涼しく、途中で顔や手足を洗ったりとリフレッシュもできますよ」と、武田さん。

また、軽やかに動けて筋肉疲労を防ぐストレッチもお忘れなく。

動的ストレッチ運動をしている様子

全身の動的ストレッチでしっかり準備運動をしてから歩き始めよう。

▽あわせて読みたい
山岳ガイド直伝・登山中のストレッチと歩き方で、翌日の疲れを軽減!

しっかりとカラダを整えたら、いざ登山道へ!

登山ルートの確認をしている様子

登山道へ入る直前にまずはルートを確認。分岐点では現在位置と方角も都度チェックしよう。

山道を歩き始めた様子

入山後しばらくは小川のせせらぎを眺めつつ、涼しい風が吹く小径を行く。

登山道をラクに歩くためのコツとは?

山道を歩いている様子

登山は自然と親しむアクティビティであると同時に、長い時間をかけて歩くスポーツでもある。

「木陰が多い陣馬山ですが、夏は水分補給をマメに。下ばかり見ず、足裏に荷重して視線を前に向けるのも疲れにくいポイントです」(武田さん)

水分補給をする様子

夏の低山では、喉の渇きを感じる前にこまめに給水を。「15分に1回くらいを目安にするといいですね」。

マルタ橋を歩いている様子

丸木橋を渡り、樹根が張り巡らされた傾斜を上っていく。「根っこは縦に踏むと滑りやすいので、階段のように横向きに足を置くと安全です」と武田さん。

倒木を乗り越えている様子

倒木のトラップがところどころに。元ハードル選手の吉田さんは難なくクリア。

ガイドの武田さん、実は山歩きで体力アップを目指す「山ジム」の提唱者でもある。その指針になるのが心拍数。

「上りの上限は最大心拍数の85%、長時間楽しむなら70〜75%が目安。話しながら上れるくらいがちょうどいいんです。とはいえ逆に眠くなったらペースを上げると、疲労物質が代謝されて目が覚めます」(武田さん)

〈POLAR〉のGPSスポーツ&ヘルスケアウォッチ《Polar Ignite 3》

〈POLAR〉のGPSスポーツ&ヘルスケアウォッチ《Polar Ignite 3》は、高精度の心拍計測データをグラフで可視化。43,780円。WEBサイト

楽しく会話しながら山道を上るうち、およそ1.5時間で頂上へ。眼前に広がるのは、東京スカイツリーから遠くは房総半島までが望める、360度の大パノラマだ。

頂上では陣馬山のシンボル・白馬の巨大モニュメントでの様子

頂上では陣馬山のシンボル・白馬の巨大モニュメントがお出迎え。一気にテンションが上がる!

山頂の蕎麦に、下山後のプリン。待ってました!

登山後の食事を楽しんでいる様子

山頂でひと息ついたら、ランチは吹き抜ける風が最高に心地いい絶景のテラス席で。「手作りの郷土料理風メニューが本当においしい!」と、食のプロである吉田さんも、その味わい深さにしみじみ。

〈清水茶屋〉
《陣馬そば》

甘辛く煮込んだたっぷりの具材に紫蘇が香る、定番の《陣馬そば》800円。

《自家製おさしみこんにゃく》

柚子胡椒で味わう、手作りの《自家製おさしみこんにゃく》1皿550円。ぷるぷる食感がたまらない、晩秋〜初夏までの限定メニュー。

〈清水茶屋〉の外装

まるで空を飛んでいるような気分になれる〈清水茶屋〉の絶景テラス席。晴れた日は富士山が眼前に迫る。

相模原市緑区佐野川5(陣馬山山頂)、TEL:042-687-2155。9:00ごろ〜夕方(16:00ごろ)、年中無休(悪天候時を除く)。

帰路の下りはのんびり歩いて約3時間、最終目的地のカフェに到着。名物のナポリタンと絶品スイーツの数々は、噂に違わぬ至福の味だ。

喫茶の《自家製昭和の焼きプリン》

ゴールのごほうびは、昭和の味を受け継ぐ名喫茶の《自家製昭和の焼きプリン》650円。土日だけの限定メニューだ。

一同、感激のうちに全行程が終了。お疲れさまでした!

〈Coffee&lunch さがみ〉
ナポリタンとパフェ

逸品との呼び声も高い《昔ながらのナポリタン》800円。もっちりした麺が特徴。季節のフルーツとチョコソースをたっぷりトッピングした、看板メニューの《フルーツパフェ》900円。

SAKAGAMIの外装

オリンピックのカヌー競技が相模湖で開催された1964年に開業。ここを目当てに陣馬山を訪れる登山客も多い。

相模原市緑区与瀬本町2。10:00〜17:00(L.O. 16:30)、月・火休。Instagram:@coffee.lunch.sagami

コースマップ

陣馬山のコースマップ

スタート地点の陣馬高原下バス停へは、高尾駅からバスで約1時間。レトロな住宅地を抜け、陣馬新道登山口から陣馬山山頂までおよそ3kmの行程だ。下山ルートは明王峠まで約2km、続いて相模湖を見下ろす絶景ポイントまで約3kmのゆるやかな山道が続く。與瀬神社で登山の無事を報告するお礼参りをしたら、駅前にあるゴールのカフェはすぐそこ。