新しくなった〈ナイキ ACG〉。トレイルランナーのために作ったのは、穴だらけのウェア⁉︎

今春、〈ナイキ〉は「アウトドアを楽しむ、すべてのアスリートたちのためのパフォーマンスブランド」として〈ACG(All Conditions Gear)〉を刷新。軽井沢で行われたイベント「ACG アドベンチャー」にお呼ばれして、実際にその最新プロダクトの実力を体験した。

text: Fumihito Kouzu

走る参加者

会場に着くとそこはキャンプ場で、ちょっとしたミニフェスの様相だった。早耳なジャーナリストたちはそこに展示されているプロダクトを見てちょっとざわつく。この春に刷新された〈ナイキACG〉(以下、〈ACG〉)の目玉となる話題のギアがディスプレイされていたからだ。

激しい風雨、酷暑、険しい山岳地帯など、さまざまな状況で高い機能性を発揮するコレクションとして生まれた〈ACG〉。ブランドの原点に立ち帰り、さらに〈ナイキ トレイル〉と呼ばれていたシリーズも統合され、トレイルランナー、ハイカー、エブリデーエクスプローラーをサポートしていくという。

そんな新生〈ACG〉を象徴するプロダクトが《ナイキ ACG ラディカル エアフロー》だ。ウエア全体に空気孔が設けられた斬新なスタイルのプロダクトが注目を浴びたのは、実は2025年6月のこと。世界最古の100マイルレースとされる「ウェスタン・ステイツ・エンデュランス・ラン」で優勝した、All Conditions Racing Department所属のカレブ・オルソン選手が《ラディカル エアフロー》のプロトタイプを着用しており、非常にユニークなデザインだったため、コアなランナーの間で話題になったのだ。

一泊二日のキャンプをしながら〈ACG〉の世界に身を浸した今回のイベントでは、新作のプロダクトについて、3人のアスリート、そして本国の開発チームから、じっくりと説明を聞くことができた。

「《ラディカル エアフロー》全体にある空気孔は、気体や液体が狭い筒を通過するときに加速しながら同時に圧力が低下するという、ベンチュリ効果に着目したものです。つまり、効率的に汗の蒸発冷却を促進するんです」(ACG アパレル&アクセサリー シニアディレクターのマイク・ミドルステター)

160kmもの長距離を走るトレイルランナーのために開発された本作。とにかく目立つのはこの空気穴。網目の大きなメッシュだけではなく、各所に大きな穴が空いている。奇抜なデザインに目が行くが、これには高温多湿な環境下での着用を支える重要な役割がある。

アスリートとともにトレイルに入り《ラディカル エアフロー》を体験したが、驚くことに、常に熱を逃してくれている感覚があり、また肌離れがよく非常に快適だった。また、長袖の方が半袖よりもクーリング効果が高い点も特徴的だ。アスリートたちもそのクーリング性能と快適さを高く評価する。

「ACG アドベンチャー」には、エリートトレイルランナーチーム〈All Conditions Racing Department〉に所属する3名の日本人アスリート(くれいじーかろ選手、小笠原光研選手、髙村貴子選手)が参加。《ナイキ ACG ラディカル エアフロー》22,330円、問い合わせ先:NIKE ACG 公式サイト

「凄いのは、上半身に何も着ないでいるよりも《ラディカル エアフロー》を着ているほうが涼しく感じられること。濡れたときに、肌に貼りつかないのも魅力です」(くれいじーかろ選手)

「ダウンヒルのときなど、スピードを出せる場面でより涼しさを感じます。そして、水をかぶるとさらにクーリング効果が増します!」(小笠原光研選手)

参加者全員で4.5kmほどのトレイルを気持ちよく走った時にもう一方で話題になっていたのは、やはり新作シューズ《ゼガマ》だ。過酷なトレイルアドベンチャーに対応すべく、多くのアスリートからのフィードバックを得ながらクッション性と快適性を追求して開発されたシューズというだけあって、足入れするだけでも、その快適性は一目瞭然。

「とてもグリップが効いて、安定性も高く、トレイルランニングをこれから始めようとしている人も安心して履けるシューズだと思います。5月に開催された上田スカイレースをゼガマで走ったのですが、特に下りの場面で高い安定性を感じることができました」と髙村貴子選手も太鼓判を押す。

「〈ACG〉のフットウエアはレスポンシブ クッショニングのシューズもありますが、《ゼガマ》はランナーを地面からの突き上げや着地衝撃から守り、トレイルを長時間でも快適に走り続けることができる、ラギッドのカテゴリーを代表する一足です」(ACG フットウェア エキスパート プロダクトラインマネージャーのアンドリュー・バンバロー)

アウトソールには高い耐久力とグリップ力を備えたVibram MEGAGRIPを採用。ミッドソールは上層にソフトでエネルギーリターンに優れたズームX フォームを、下層にやや硬さがあり安定性のあるクシュロン 3.0フォームを使用している。

実際に《ゼガマ》で軽井沢のトレイルを走ったが、ずっと走っていけるような確かなグリップ力と安定性があり、上りも下りも安心して歩を進めることができた。また、クッション性が高くロード区間のあるレースや、ロングレースに適していそうだ。キャンプ二日目にはハイキングもしたが、もちろん快適。汎用性の高さも《ゼガマ》の魅力だろう。

《ゼガマ》27,060円、問い合わせ先:NIKE ACG 公式サイト

トレイルランニング、ハイキング、そしてキャンプファイヤーを囲んでのアウトドア談義。〈ACG〉のプロダクトとともに過ごした2日間で、その機能性と革新性を存分に体感することができた。

トレイルランニングシーンが盛り上がりを見せる昨今。アウトドアブランドだけでなく多くのアスレティックブランドがシーンに本格参入し始めているが、オール・コンディションズ・ギアの名にふさわしいウエアとシューズが、トレイルに新しい風を吹かせそうだ。