“乗り物”としての機動力の高さを感じる《ジープラングラーTJ40H SAHARA》|クルマと好日

アウトドアフィールドに、あるいはちょっとした小旅行に。クルマがあれば、お気に入りのギアを積んで、思い立った時にどこへでも出かけられる。こだわりの愛車を所有する人たちに、クルマのある暮らしを見せてもらいました。

撮影/伊達直人 文/豊田耕志

初出『Tarzan』No.826・2022年1月27日発売

古着ハンターの伴侶は、90年代のタフなジープ。

「アメリカのロスに古着の買い付けに行ったときに、向こうの女の子たちが颯爽とジープに乗る姿を頻繁に見掛けて。その姿がとってもキュートすぎて、私もああやって乗りたい! と思ったのが、ジープとのそもそもの出合いでした」

高崎の古着店〈ジンジン〉の店主、石関智美さんは、そんなアメリカ西海岸での密かな誓いをずっと胸に秘めたまま、5年前にようやくジープユーザーになった。98年式ジープ ラングラー TJ40H サハラ。通称“TJ”と呼ばれ、70年代後半に一世を風靡した7代目CJ-7のルックスを受け継ぐレトロな一台をその伴侶に選んだのだ。

「もともと四駆は好きなほうで。26歳の時にパジェロミニを買ってからというもの、オフロード車しか考えられなくなってしまいまして。といっても、週末に山中のオフロードに出掛けるわけでもなく、郊外の自宅と高崎駅から近い自分のお店との往復がメインなんですが(笑)」

そんな平坦な毎日でも、ジープの“乗り物”としての機動力の高さをビンビンに感じるという智美さん。

「山の上の自宅に帰るときの坂道もズンズンと進んでくれるし、意外と小回りが利くサイズなので、街中の狭い道も躊躇せず入っていけちゃう。ジープという名が付くだけあって、やっぱりタフなクルマだなぁと再確認しています」

それこそ最初の2年間は、故障続きで少々苦労したと言うが、毎日運転することで息が合うようになってきたのか、ここ最近は絶好調。

「最初は馴染みにくいけれど、穿いていくうちに手放せなくなるレギュラーデニムのように思えてきました。それに、車内のスポーツバーに付いたキャンバスカバーのジップは、TALON社製。リアランプ上部には、MADE IN USAと刻印されているんです。まさにアメリカ古着好きとして堪らないディテール満載。つくづく私にぴったりですね」

月に1回、高崎から飛び出して、千葉にあるという古着卸市場へ出向くときも、もちろん一緒。

「大好きな井上陽水のカセットテープをかけて、初めのうちは小旅行気分。でも、目的地が近づき、ブロロッと車内に響き渡る“TJ”の頼もしい唸り声も聴いていると、“いい古着を見つけたる!”と勇壮な気分になってくるから不思議ですよね」

アメリカでは、実際に狩猟用としても活躍するという“TJ”。捕獲するものは違えど、ハンターにぴったりなクルマなのかも。

JEEP WRANGLER TJ40H SAHARA

新車価格は、約289万円。根っからのオフローダーに見えるが、実はクォドラコイル™サスペンションを採用し、オンロードの乗り味もアップ。当時の「4×4オブ・ザ・イヤー」賞にも輝いたモデルだ。

智美さんのショップ〈ジンジン〉の前で。最寄りの北高崎駅からは徒歩15分。本人の人柄のように明るく、楽しいレディース古着や雑貨をセレクト。

テールランプ上部には、“MADE IN USA”の文字。古着とアメリカが好きな智美さんにとって、こうしたディテールは大事。

バックショット。中央にスペアタイヤが備え付けられた頼もしいルックス。

内装はサハラの名に相応しく、オリーブ色の布素材とベージュ色のレザー素材のコンビネーション。

手前は、2WDと4WDを切り替えるためのレバー。でも智美さんは一度も使ったことがないとか。そのレバーにぶら下げた〈シャネル〉のショッパーは簡易的なゴミ箱。コンソールには井上陽水やUAのカセットを。

  • 全長3,915×全幅1,740×全高1,765mm
  • エンジン=3,959cc、直列6気筒OHV
  • 乗車定員=4名
Owner

石関智美(〈zingzing〉オーナー)
1983年、群馬県生まれ。2013年、北高崎にて古着雑貨店〈zingzing〉をオープン。自宅近辺の城山団地には、旦那さんが営む骨董店〈SHIROYAMA〉がある。