限界に達した時に発見できる新しい一面がある。井上咲楽が走り続けるワケ。
走ることは、もはや“日常の一部”というほど、ランが暮らしに欠かさない井上咲楽さん。出場した『東京マラソン2024』では自己ベストを更新し、走ることそのものだけではなく、ランを通して自分と向き合うことに価値を見出している。井上さんが走り続ける理由を聞いた。
取材・文/重信 綾 撮影/森山将人 スタイリスト/佐藤奈津美 ヘア&メイク/栗原里美 題字/師岡とおる
初出『Tarzan』No.877・2024年4月4日発売
走ることは日常の一部。
明るくポジティブなムードをまとい、バラエティ番組にひっぱりだこの井上咲楽さん。マラソン好きなことで知られ、『東京マラソン2024』にも出場。見事、自己ベストを更新して完走した。
「走ることは、もはや日常の一部。歯磨きと一緒で、しないと気持ちが悪いという感覚です。1回につき約10㎞走っていて、1㎞当たり5分30秒、大会前は4分50秒を目安にしています。小学生の頃はシャトルランが大好きで、中学や高校時代は陸上部には入らなかったものの、大会に駆り出されて走ったり、町の駅伝大会に出場したり。
2年前からは『ランスマ倶楽部』という番組のレギュラーになったり、マラソンをする人が近くにいる環境や縁があって、走り続けているという感じです」
初めてフルマラソンに挑戦したのは19歳の頃。
「初めてランナーズハイを経験して、このまま永遠に走れると思うくらい楽しかったし、いい思い出になりました。それから何度走っても、毎回、心臓が破裂しそうなくらいキツくって。でも、ここまで自分を追い込める機会はなかなかないし、限界に達した時だからこそ発見できる新しい一面があるんです。
たとえば昨年12月に行われた『国宝松江城マラソン』では、最初の10㎞で“想像よりスムーズに走れてよかった”と思うと同時に、“そのうち絶望的に辛い瞬間が来るのが怖い”とも感じて…。
でも、まだ起こってもいないネガティブなことを想像して不安になってもしょうがないなって。その時、いつも悪い意味で守りに入っている自分に気づかされたんです。“嫌なことは起こった時に考えればいいんだ!”と、切り替えられるようになりました」
丁寧なセルフケアで走れるカラダを維持。
気持ちよく走るため、日頃のケアも欠かさない。
「股関節の可動域が狭いので、走る前には詰まりを取るようなストレッチをしっかりと。呼吸がしやすくなるように肩甲骨まわりをほぐしたり、体幹強化のためフッキンもちょっとだけ。足がつらないための対策にミネラルを摂ったり、お風呂にエプソムソルトを入れたりします。走った後は、〈roun〉の《CBDスポーツバーム》を塗り込むと回復が早いです」
マラソンのほかに今気になっているのが、空手なのだそう。
「小学生の時に一度やっていたけれど、呼吸法がすごく難しかった記憶があって。ちゃんとやることで、カラダのいろいろなところが整うかもしれないなって。指先や足先まで意識を巡らせて集中するという、マラソンとは違ったアプローチも面白そうです!」