【棚橋弘至・連載】第15回:目的こそ最大の原動力、痩せる覚悟が固まりました
新日本プロレス「100年に一人の逸材」棚橋弘至が綴る、大胸筋のように厚く、起立筋の溝のように深い筋肉コラム。第15回のテーマは「体脂肪との戦い」について。
体脂肪との戦いに強力な援軍現る!?
長い長い戦いが続いています。そう「体脂肪vs棚橋」のエンドレスウォーでございます。戦いといえば日に日に戦局が変わっても良いものなのですが、棚橋は常に劣勢。お腹周りという敵本陣には、なかなか侵攻できない棚橋軍なのでありました。
しかし、ついに棚橋軍に強力な援軍が現れました。それは、効果的なサプリメントでしょうか? 否! たまたま観たYouTubeの動画でしょうか? 否! 果たして、棚橋が一念発起するような出来事とは何だったのでしょうか?
ここ3年くらい太っては痩せ、太っては痩せを繰り返して来ましたが、ようやくスイッチが入った理由は「海外遠征」でした。(海外遠征について、詳細はこちら!)
海外で試合をするということは、新日本プロレスを代表して行くということ。ましてや、僕しか出場しないとなると、棚橋の評価=新日本プロレスの評価ということになる。
まぁ、それは大袈裟かもしれませんが、とにかくスイッチは入ったのでした。カラダ作りやダイエットにおいて、目的こそが最大のモチベーションであり、苦しくても続けられる原動力となります。
ただ、漠然と始めたものはなかなか続かないように思います。「カラダを大きくしたい」「スポーツで勝ちたい! 成績を残したい」「モテたい」「キャーキャー言われたい」「チヤホヤされたい」(後半3つは棚橋)など、人それぞれあると思います。が、初心がとても大事なのです。
カラダを作る“食”こそ本質を大切に
かく言う僕も3年の時を経て、ようやくスイッチが入りました。今は、練習、食事、有酸素運動(主にウォーキング、エアロバイク)の三本柱でカラダ作りに励んでいます。しかしながら、この三本柱には優先順位があります。
競技の種類や、運動目的、運動強度によって多少変動はあると思いますが、1番体型を変えるものは…食事です。
ハードな練習、長時間の有酸素運動をやったとしても、食生活が乱れていては、成果が半減、もしくは出ないことになってしまいます。そう、食べている物からカラダができているからです。
人間には基礎代謝といって、1日何もしなくても使われる(生命維持)のためのエネルギー消費があります。この基礎代謝が高いと痩せやすいということになります。逆に基礎代謝が低いと太りやすい体質ということです。
計算式で表すと「1日の消費カロリー=基礎代謝+運動で使ったカロリー」。これが1日の摂取カロリーを超えたら痩せるし、下回ると太るということになります。とても簡単なことですよね。皆さん、分かってはいるんですよね、きっと。僕も含めてね。
しかし、分かっていて痩せないのはなぜか? 食っちゃってるんですね。それはもう無意識のうちに。あと、家でも学校でもお店でも、出された物は残さず食べるというのが、日本の美意識としてしっかり根付いているということもあるのではないでしょうか?
それに、おかわりとかしてたくさん食べる姿は、なんか見ていて幸せな気持ちにもなりますしね。「何かを得るには何かを失わないといけない」という見えない不文律があるということなのです。
甘いもの、脂っこいものはすべからく美味しい。味が薄くパサパサした食感のものは、どこか味気ない。どちらを選べばよいか明白ですよね。ただ、食事の本質というものを見失ってはいけないと思うのです。それは「美味しくいただく」ということです。感謝して食べたものは、カラダの血となり肉となるからです。
そう考える僕が心掛けているのは、食事をしながら、もしくは、食事をした後に必ず「美味い!」と声に出して言うことです。パサパサのササミや味なしのサラダを食べたとしても必ず「美味い!」と言います。
そうすることによって、脳が無意識のうちに、カラダに良いものが入ってきたと判断して、食べた物の吸収率が上がるのではないかと思うからです。科学的な根拠はありませんが…。
有酸素運動を味方につけ、一斉攻撃をしかける
あと、もう一つの柱は有酸素運動ですね。1番効果的と言われているのが、朝食前の時間帯ですね。カラダにエネルギーがない状態で有酸素運動を行うことによって、溜まっている体脂肪を分解してエネルギーに変えてくれるからです。
ぜひね、トレーニングもしてない。食事制限も無理…という方が、いたとして、この朝食前の有酸素運動は効果的だと思います。
それと、朝燃え始めた体脂肪は長時間燃え続けると言われているので、学校に行っていても、会社勤めをしていても、体脂肪は燃えているということになるのです。こうして、ようやく、3年越しに棚橋軍の陣容が揃いました。あとは、体脂肪に一斉攻撃を仕掛けるのみ。
自分のことを「見た目を自信に変えるタイプ」と分析しているので、いよいよ長い眠りから覚めた棚橋が皆さんの前に現れるかも知れません。そう、バキバキの腹筋と共に…。
棚橋弘至
たなはし・ひろし/1976年生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学法学部卒業後、1999年デビュー。低迷期にあった同団体をV字回復に導き、昨今のプロレスブームをリング内外の活動で支える。