【棚橋弘至・連載】第9回:減量計画の失敗(涙)からお伝えしたい学び
新日本プロレス「100年に一人の逸材」棚橋弘至が綴る、大胸筋のように厚く、起立筋の溝のように深い筋肉コラム。第9回のテーマは「減量計画の結果報告」について。
減量計画、大反省中…
早いもので、2021年も12月。残り1か月となりました。今年のコンディショニング、カラダ作りにおいてもしっかり振り返り、来年に繋げたいと思うのです。
というのも、今年は色んなことを試してみました。「胸トレはダンベル種目のみ」とか「時間があったら、とにかく歩く」とか(世田谷~東京タワー往復20キロが最長距離)。
その中でも、5月下旬からスタートさせた食事制限による減量計画が、まったく成果が出ないまま現在に至っています。ええ。大反省中なのであります。
新日本プロレスは例年だと、夏〜秋にかけて年間最大のリーグ戦「G1 CLIMAX」が開催されるため、そこに合わせて夏前に一回カラダを仕上げ、約1か月のリーグ戦中にさらに自然と絞られていきます。
そこをベースに、少しリバウンドするものの3年前から僕が発案した「新日本プロレスコンクルソ」(新日本プロレスの選手によるボディビルコンテスト)が12月下旬にあるため、年始のビッグマッチ東京ドーム大会にはいつもある程度仕上げて出場することができていたのです(過去完了系)。
ボディコンテストを企画した理由
なぜ東京ドーム大会直前の年末にボディビルコンテストを開催したのかというと、東京ドーム大会の結果やニュースは大きく取り上げていただけるので、普段プロレスを見ない方にも届く可能性があり、そこの文章までは読まなかったとしても、添付されている写真に写るプロレスラーの肉体が美しければ、プロレスに興味を持っていただける可能性が高まると考えたからです。
ゴールドジムさんやエニタイムフィットネスさんがどんどん店舗展開しているここ数年。そこには多くの方の健康作りや体力作りへの関心度の高まりがあり、アスリート的な視点からプロレスラーの肉体を見ていただけるチャンス到来なのです。
「写真一枚で与えるインパクト」。プロレスというジャンルを広げるためのネクストキーワードとでもいいましょうか?
情報量が多く、自身のTwitterのフォロワーさんの情報さえ追いきれない昨今。いかに少ない情報量で心を掴むか?掴めるのか?そこは、やはり筋肉に頼るしかない。僕は「筋肉万能説」を唱えていますからね。
ここで少しだけ「筋肉万能説」を説明しておきましょうか。筋肉は男女問わず、年齢問わず、鍛えれば進化、反応があります。加齢によってその成果の出方は変わってきますが、ウエイトトレーニングは1人でできる生涯スポーツなのです。
日頃のトレーニングで、基礎体力、特に足腰の筋力を維持することができれば、転んで寝たきりとかになる可能性も低くなります。そして、筋力を維持することにより、自然と姿勢もよくなり、体型も維持できます。
そうすれば、病気にもかかりにくく、行動的な生活が送れるようになるはず。つまり「筋肉は人を幸せにする」ものなのです。人生100年時代と言われていますが、そこに幸せを感じるためには自立した生活があってこそですよね。
失敗は成功の元(涙を拭きながら)
と、かなり話が逸れたので戻します(笑)。とにかく、過去に幾度となく調整の遅れからピークコンディションで東京ドームに臨めていなかった僕は「今年こそは!」という思いがありました。
そこで始めた減量生活。「5月に始めたら、年末頃にはとんでもないカラダに仕上がってるぞ!」と考えていたのですが…。残り日数が多ければ多いほど「まだ○日あるから大丈夫!」という甘えが生まれてしまいました。
そして、体重の微減、微増を繰り返し大きな変化が見られないまま半年以上が経過。結果から言うと、この年間通してのダイエット計画は失敗です。いや、大失敗です(泣)。
しかし、まずは失敗を認めるところからがスタートですね。「失敗は成功の元」って言いますしね(涙を拭きながら)。まさに「トライ&エラー」です。
ラスト1か月でしっかり仕上げて東京ドーム2連戦(2022年1月4日/1月5日)へ。さらに、来年はその後の横浜アリーナ大会で「プロレスリング・ノア」との対抗戦(1月8日)もありますからね。筋肉においてもマウンティングをかましてやります。
「短期集中」がオススメ
しかしながら、2021年という1年をかけて学びを得るという壮大さ。結論から言いますと具体的な期間、減らしたい体重を決めてからの「短期集中ダイエット」がオススメということです。
途中、少し触れましたが、プロレスにおけるビジュアルの大切さを今、まさに再確認しています。現在、会場での応援は拍手のみに限られています。となると、その他の要素でファンの皆さんには楽しんでいただきたい。その昔、鬼軍曹・山本小鉄さんに言われた言葉が蘇ります。
「いいか棚橋。チケット代の半分は、プロレスラーの肉体だからな」
この1年を通しての教訓を皆さんの生活に活かしていただけたら、僕の成果の出ないダイエットの日々も決して無駄じゃなかった…はず…、いや、そういうことにしてください。
次回「隠れた筋肉を探せ!」の予定です。
INFORMATION
年間最大のビッグイベント『WRESTLE KINGDOM 16』
2022年は1月4日(火)&5日(水)東京ドームに加え、1月8日(土)横浜アリーナの3連戦での開催が決定!
https://www.wrestlekingdom.jp/
棚橋弘至
たなはし・ひろし/1976年生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学法学部卒業後、1999年デビュー。低迷期にあった同団体をV字回復に導き、昨今のプロレスブームをリング内外の活動で支える。