「自分だけでなく、いろんな人のW杯への思いが凝縮された一足」ラグビー選手・中村亮土
text: Kai Tokuhara photo: Yuichi Sugita illustration: Shinji Abe
初出『Tarzan』No.800・2020年11月26日発売
「僕にとってスパイクは、自分の足と常に一体化していてほしいもの。履いていて少しでもストレスを感じると怪我をしているのと同じような感覚になり、また違和感に気を取られてフィールドでの役割に100%集中しづらくなったりもするので」
スパイク選びに重きを置く中村亮土選手が、2019年のラグビーW杯ベスト8に大きく貢献した際に着用していたのは、この〈アディダス〉の特別仕様の一足だ。
「革を替えてみたり、デザインはそのままで幅をアレンジしてみたり、いろいろと試行錯誤を繰り返しながら自分の足にフィットする一足に仕上げることができました。W杯で履いたこと以上に、いろんな方々が僕のプレーをより良くするために尽力してくださった一足という点で思い入れが強いですね。W杯後、1足は家で保管し、もう1足を祖父母にプレゼントしました」
2021年1月に開幕するラグビートップリーグを中村選手はサントリーサンゴリアスの新主将として迎える。そんな特別な新シーズンに向け、現在はチーム強化、自身のパフォーマンスアップに取り組みながら、新たなスパイクのテストにも余念がない。
「伝統あるクラブの主将を任されたことはすごく光栄ですし、よりいっそう強くて誇らしいチームを作っていけるように頑張りたいですね。そのために、スパイクに関しても、“モノで言い訳をしたくないから最初からこだわりを持って選ぶ”という信念のもと、フィールドで最高のプレーを見せられるようしっかりと選びたいですね」