「検査結果は平常心では待てません」|新型コロナ陽性&陰性者が語る②

なかなか情報を得づらい「PCR検査」や「新型コロナウイルス感染が発覚してからの生活」について生の声を取材。今回は、陰性と診断されたBさん(36歳・男性)が語ってくれた。

取材・文/井上健二 イラストレーション/沼田光太郎

初出『Tarzan』No.799・2020年11月5日発売

検査結果を待つまでの、ざわめく心が忘れられない。

BさんがPCR検査を受けたのは、症状が出たからでも、濃厚接触者に陽性疑惑が浮上したからでもない。

「仕事上、どうしてもコロナ陰性を証明する必要があり、会社からの要請で受ける運びになったのです」

当然、費用は会社持ち。ネットで検索したところ、30分前の予約で検査できるクリニックを発見する。

「自分がいつもヘアカットしているQBハウス並みに、さくさくネット予約できて拍子抜けしました」

早速、唾液による検査を受けた。

「満を持した最初の1発目が容器を外し、めちゃ焦りました(笑)」

Bさんはお酒もタバコも嗜まず、夜の街とも無縁。ゴールドジムで鍛えるのが日課だが、ジムでもマスクとグリップの消毒は欠かさない。買った食品はすべて水洗いするなど、コロナ対策には万全を期している自信があった。それでも、無症状で陽性になるケースがあると報道などで知っていたから、結果が出るまで平常心ではいられなかったそう。

念のために会社はリモート勤務にしたが、ザラザラした心を抱えたままでは仕事が手に付かない。リセットするためジムに行こうとしたら、すべてお見通しの妻から「もし陽性だったらどうするの?」と優しく声をかけられて、泣く泣く断念。

翌日、晴れて陰性をネットで確認。ジムにスキップしながら直行し、ベンチプレスとスクワットで思い切り追い込んだのは言うまでもない。