「“実力”に裏打ちされたスタイル、黒いキックレガースはその象徴です」(WWEスーパースター・中邑真輔)
text: Tarzan photo: Yuichi Sugita illustration: Shinji Abe
初出『Tarzan』No.784・2020年3月26日発売
「アマチュアレスリング出身で、新日本プロレスに入門した頃からグラップリング(組み技)はある程度できると。ただバリバリのストライカー相手に殴り合う技術はないので、プロレスの練習と並行してボクシングや総合格闘技のジムに通いました」
2002年8月にデビュー。同年大晦日にはアントニオ猪木に抜擢され、総合格闘技の大一番、ダニエル・グレイシー戦に臨んだ。若き日から新日本のテーゼである“ストロングスタイル”を背負う存在に。
「キックレガースを身に着けるようになったのは、試合で蹴りを使うという意思表示。キックを武器にするなら、本物の技術を習得しなければならない。自分が表現したいのは、付け焼き刃じゃない“実力”が落とし込まれたスタイルだから」
レガースは一貫して〈M&Mカンパニー〉にオーダー。脛部分のみが多いなか、甲までカバーするタイプにしたのは理由がある。
「プロレスの特性上、相手に怪我をさせたくはない。甲部分まであんこの入ったレガースだと、思い切り蹴りをブチ込めます」
16年にアメリカのWWEに移籍。肩書きが“プロレスラー”から“スーパースター”に変わっても、スタイルは揺るがない。
「このクオリティはアメリカでは手に入らないだろうと、2組ほど予備を持っていきました。今は色を使ったパンタロンタイプのコスチュームの下に黒いレガースを装着。もう外して試合することはないでしょうね。海パンを穿かないでプールに入るみたいで、そわそわしちゃうと思うから(笑)」