製作過程でも男心を刺激する、自分だけのミッドソール|エコー《QUANT-U》
スポーツ用にせよ普段履き用にせよ、シューズのクッション性を司るのはミッドソールである。ここがカチカチでは長時間の歩行に耐えられないし、柔らかすぎても逆に足が疲れてしまう。ミッドソールの性能は歩行時の靴の履き心地の約7割を占めるともいわれるほどだ。そんなシューズの心臓部であるミッドソールをフルカスタマイズできる画期的な一足が登場した。エコーの《QUANT-U》である。
取材・文/黒田 創 イラストレーション/羽鳥好美
(初出『Tarzan』No.760・2019年3月7日発売)
まずは3D足型計測器の上に立ち、足の指の形やちょっとした膨らみ、土踏まずの形状など隅々まで立体的にスキャン。次に専用のシューズを履いてトレッドミルの上を歩き、シューズに搭載されたウェアラブルセンサーとAIで歩行時の圧力のかかり方や加速度などが解析される。一人一人に合ったミッドソールはこうして生み出される。
驚いたことに、3D足型計測器では靴内の温度や湿度までリアルタイムでわかってしまう。それらの詳細な数値とエコー社が持つ膨大なデータを基に、その人に最も適した形状のカスタマイズ・ミッドソールがデジタルデータで導き出される。
続いてそのデータを基にミッドソールが作られるわけだが、用いられるのは弾性と耐久性、温度安定性に優れた専用のシリコーン素材。こちらも専用に開発された3Dプリンターがシリコーンの層を積み重ねていき、ハニカム状のミッドソールが出力される。計測から製作完了まで約60分。それだけの時間で自分だけのミッドソールが手に入るのだ。あとは13色から選べるアッパーとアウトソールを組み合わせて完成する。一連の工程を眺める時間も楽しい。
実際に出来上がったシューズを履いた感想は、いろんな意味で「ちょうどいい」。足入れ感はもちろん、何せ自分の細かい足型や歩き方のクセがすべてミッドソールに反映されているから、接地感も足運びもすべてがスムーズ。「靴は時間をかけて自分の足に合わせていくもの」と言われるけど、《QUANT-U》は履いた瞬間から足に合っているのだ。
本体とミッドソール製作、計測費を合わせて計7万6,000円と聞くと高額に思えるが、このシリコーン製ミッドソールはほぼ劣化せず長期間使用できるのがポイント。履きつぶしてアッパーやアウトソールがボロボロになっても、同じフルカスタマイズ・ミッドソールを用いて新しいシューズを作ることができる。そう考えると決して高くはない。
最新技術で作る自分だけの一足。何だかワクワクしてきませんか?
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