- 整える
タンパク質と、何が同じで、どう違う?ジェーン・スーと〈味の素(株)〉社員が語るアミノ酸のこと。
PR
おいしいものは脂肪と糖でできている。そんなCM、あったよね。まさにその通りの結果となった。日々忙しく働く皆さまの、午後の活動を支えるメジャーなメニューは、ずばり老けランチといえるだろう。よく見かける人気の昼食を、老化のもとともいわれるAGE(終末糖化産物)の多いもの順に挙げてみた。
「AGEの多いメニューはずばり、おいしそうな茶色いものです。とくにタンパク質と糖質の両方を加熱する料理は糖化度アップ! AGEの塊だと思ってください」(管理栄養士の麻生れいみさん)
ステーキ、焼き肉、前のページを飾ったパンケーキにドーナツ。うな重なんかも茶色が濃い。照り焼きバーガーともども、甘みたっぷりの焼き上がりはこたえられない。
「日本食は健康的なイメージがありますが、砂糖やみりんを多用します。中華料理は、仕上げのとろみ付けに水溶き片栗粉を使うのが常道。天ぷらやフライには見えないけれど、衣と同じだと思って注意しましょう」
調味料にもワナは潜む。市販の焼き肉のタレには砂糖、果糖ブドウ糖液糖やみりん風調味料がしこたま入っているし、パンチ力のある味わいは白米のドカ食いを招きがち。
かといって、ノンオイルやカロリーハーフを謳う調味料を選ぶと、何かを削った分、味がぼやけるのを防ぐため、人工甘味料がそっと増やされていたりする。減塩タイプの麺つゆを味見すればすぐ分かる。
「ご飯ものならラーメンライスとか、炒飯×餃子などもってのほか。カレーライスもソースのとろみは小麦粉由来だし、具材の玉ネギ、ニンジンは糖質たっぷり。糖化を避けたい人が多食するものではないですね」
ランキングは、以下の通り!
乙女チックなイメージだが、具材にベーコン、生クリーム、粉チーズなど高AGE食品がずらり。1日の摂取目安量15000AGE以内に抑えるには万難を排して…って、1食で早くも約2日分です。
厨房で焼いた肉を追い討ちするように熱した南部鉄の皿に乗せ、アツアツのままいただけばなんとうまいこと。その結果がこの数値。同じステーキでも超レアなら800程度で済んだものを。焼き加減も大事なんです。
たっぷりのチーズ乗せがアツアツの仕上がり。ここでもベーコンがAGEスコアを稼ぎ出す。仕上げにオリーブ油を回しかけて、勢い余って粉チーズもぱらり。これはもうたまりません。半分といわず1枚くれ~!は厳禁
作れば分かる、すんごい2品だ。豚肉は粉をまぶして揚げてから炒め、仕上げにはとろみ、甘みづけ。春巻きの具は先に炒め、これまたとろみをつけてから、皮に包んで揚げちゃいました。ダメなこと全部やってまーす。
日本人が大好きなカレーは、とろみのついた欧風か家庭風。ともに小麦粉がしっかり使われているし、そこになぜトンカツを乗せた? まったく別の料理なんだから、1回で2食分のスコアになるのは当たり前。
地域によって料理手法は異なるが、一般的には蒸してから焼く、ご丁寧にも二度加熱。そこに先祖伝来のみりんたっぷり、どろっどろの甘いタレ。浸しながら焼き、旨そうな焦げ色に仕上がった。もう糖化が止まらん!
やってます、何の気なしにこの組み合わせ。餃子をおかずに炒飯を食べるとは。そもそも餃子は小麦粉の皮で包んであるから、ご飯付きの肉料理。米を頼む必要はない。餃子も焼きよりは水餃子を選ぶと少しはマシだが。
ラーメン一家の中では登板回数は少ないものの、濃い味付けの挽き肉炒めは高温調理。スープにも肉餡にも動物性脂肪はしこたま入って、この立派な数値に仕上がった。麺の大盛り同一料金サービスなら天国ですか?
限りなく魅力的なハンバーガーの中でも最凶なのが多分これ。問題は甘じょっぱいタレなのだ。砂糖、みりんたっぷりの原液を加熱し、仕上げにとろみもつけてある。でも、こいつは日本人には万能調味料。困ったやつです。
1食で5000AGEを超えたら高AGE食。と考えると、天そばなんかかわいいものか。でも、天ぷらを揚げた油は酸化していないか? 衣の色が濃いものは古い油の使い回しの可能性大。今度は酸化が怖いです。
取材・文/廣松正浩 イラストレーション/ルイス・メンド(Buillding) 取材協力/麻生れいみ(管理栄養士) 参考文献/『 exAGEハンドブック』(山岸昌一/一般社団法人AGE研究協会)、『脂肪と疲労をためるジェットコースター 血糖の恐怖』(講談社+α新書)
(初出『Tarzan』No.721・2017年6月22日発売)