「漕いで、釣って、捌いて、食うまで、全部好き!」Sami-TさんとSUPフィッシングへ
釣りにハマる人が増えている。“食べるための釣り”こそ本筋であり醍醐味。釣りを発信するYouTubeチャンネルも運営する〈MIGHTY CROWN〉セレクターのサミー・ティーさんと、二宮海岸へ。
取材・文/宮田恵一郎 撮影/三浦安間
初出『Tarzan』No.873・2024年2月8日発売
釣りは遊びじゃない、夕食のハンティング!
世界No.1のレゲエサウンドで知られるMighty CrownのSami-Tさんは、釣り業界では“サミ平”の愛称で親しまれる、大の釣り好き。暇があれば、SUPボードに釣り具一式を乗せて、日の出とともにフィッシングへ出航するのが日課だ。ただ取材日は波が高く、ウェットスーツを着たまま腕組みする姿が浜辺にはあった。
「これだと転覆の恐れがあるから、ちょっと様子を見ようか」
そう言って、波の様子に眼を凝らし、待つこと30分ほど。
「徐々に波も落ち着いてきたね。よし、出航しよう!」と、ボードを担ぎ、波打ち際へ。そのまま波を一つ、二つと越えると、ボードの上に膝立ちして、オールを漕いで沖へ出る。
「SUPの上でコケないかって言われるけど、荒波でなければ、まず大丈夫。魚のことも、この辺りは毎週来ているから任せてよ。まず沖合1kmまで、うっすら白く見える潮目に沿って向かおう。冬はアタリが少ないけど、ボウズじゃあ格好つかないから絶対に夕食を釣るぞ!」
そう宣言し、20分ほどひたすらパドリングして、一直線に目的地点へ。到着したらクーラーボックスに腰掛け、安定した姿勢でまず一投。海中の様子を確かめるように、二投、三投とキャスティングすると…。
「おっ、いきなり来たぞ。(リールを巻いて)姿が見えてきた、ハタだ! よっしゃー。読みは正解だったな。潮目は小魚が停滞しやすいから、それを狙いにハタも来たんだよ」
宣言通り、いきなり釣り上げ、大漁の兆し。ハタの口から針を外したら、腰を上げて、氷入りのクーラーボックスの中へ。
「ダイワの“ミドキン”(緑と金の配色)のルアー《TGベイト》が、いつも幸せと夕食を運んでくれるんだよ。今日もね!」
好調のまま、2匹目、3匹目は、ホウボウをゲット。
「冬の海で、2時間でこの成果は十分! 乗り合いの漁船と違って、自分のタイミングで帰れるのもSUPフィッシングの魅力なんだよ。少し早いけど、気分が最高潮なうちに戻ろうか」
午前10時前には、陸へ上がり、最寄りに借りている仲間とのシェアガレージ、“アジト”へ。
「まだ魚の息があるうちに下処理を済ませると、味が落ちない。今晩は、ハタの煮付けとホウボウの刺し身かな。こりゃいい!」
早くも、昼前から夕飯の話題に。これも釣り人あるあるだ。