まずは筋肥大しやすい部位TOP5から鍛えよう。
どうしてステロイドを使ってはいけない?
3ステップ10分で背中の凝りを解消しよう。
衰え知らずのバストをつくる!
週2日の筋トレで腕は太くなる。
痩せたいけど運動嫌い? なら“1日5分”の筋トレを。
ダイエット中の外食のコツ。
“膝パカパカ”でヒップのサイドラインを整える。
  • 公開:

肩こり・ボディメイクで困るのは、肩甲骨まわりが硬いから

肩甲骨

上半身の動きや姿勢に深く関わる肩甲骨。では、肩甲骨の動きが悪くなると一体どんな弊害が? 実は、姿勢不良や肩こりに留まらず、QOLが下がってしまいそうな困ったことが起きるのです…。

Share

① 姿勢が悪くなる

日本人がパソコンやスマホなどに触れている時間は、1日7時間以上にもなるとか。睡眠時間に匹敵するのだ。すると心配なのが、画面を見るため前屈みになり、体幹より頭が前に出るフォワード・ヘッド・ポスチャー(FHP)に陥ること。

FHPでは肩甲骨が背骨から離れて外転し、ストレスで緊張すると肩甲骨が上がる挙上を伴う。

「肩甲骨は、背骨から指2~3本分離れたところが定位置。下角(肩甲骨のいちばん下の角)は、胸椎の7~8番(乳首ライン付近)にあるのがニュートラルです。FHPで肩甲骨の外転と挙上が固定化し、その定位置からズレると、上半身全体の姿勢が崩れて悪くなります」(順天堂大学保健医療学部の宮森隆行講師)

② 高いところに手が伸ばしにくい

肩甲骨

上腕(肩甲上腕関節)と肩甲骨(肩甲胸郭関節)は、肩甲上腕リズムにより、おおよそ2対1の割合で連携して動いている。肩甲骨が固まると、肩甲上腕リズムが崩れて、腕は動きにくくなる。

「とくにデスクワークなどで猫背がクセになると、肩甲胸郭関節の動きが制限されるため、肩甲上腕リズムが乱れてしまい、腕が高く上がりにくくなります」(宮森先生)

猫背のときと、背すじを伸ばしたときで、腕の上がりやすさを比べてみよう。猫背だと明らかに腕が上がりにくくなるのが体感できるはず。肩甲骨が動かないと猫背になるが、猫背になると肩甲骨が動きづらくなるという悪循環に。肩甲骨のためにも、背すじを伸ばし、姿勢を正そう。

③ 肩こりが起こる

日本人の多くが悩むのが、慢性的な肩こり。背景に、肩甲骨の不調がある。

「首から背中にかけて広がる筋肉は、必ずといっていいほど肩甲骨を経由します。その動きが悪くなってしまうと、首から背中にかけての筋肉が硬くなります」(フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さん)

筋肉が硬くなると、内部や周囲を通る血管が圧迫される。その結果、血流が悪くなり、細胞が求める酸素や栄養素が届かなくなると、「早く何とかしてくれ!」というSOSとして痛みを発するようになる。

痛みが出ている部位をマッサージでほぐすと、一時的にはラクになるが、根本的な解決にはつながらない。肩こりと縁を切りたいなら、肩甲骨の動きを良くすることが先決なのだ。

④ 上半身のパワーが落ちる

肩甲骨

野球のピッチングやテニスのスイングでは、腕だけでパワーを出そうとしてもダメ。いわゆる手投げ、手打ちになり、思ったように力が出せない。

ピッチングもスイングも、本来は全身運動。下半身で生み出した力を体幹がロスなく伝えて、上半身で爆発的なパワーに転換するのが正解。その際、上半身でキーを握る働きを担っているのが、肩甲骨

「腕の付け根は肩ではなく、肩甲骨。肩甲骨を背骨に近づける内転を行い、そこから外転を伴いながら力を発揮すると、手投げや手打ちにならず、大きな力を無駄なく伝えることができるようになります」(中野さん)

野球やテニスに限らず、肩甲骨がちゃんと動けるように整えると、上半身のパフォーマンスはアップする

⑤ 逆三体型が作りにくい

肩甲骨

トレーニーの憧れは逆三体型。胸や肩といった前面の筋肉ばかりが気になるけれど、背中の鍛錬も抜かりなく。背中が発達すると、どこから見ても“映える”逆三体型に近づける。ポイントになるのは、肩甲骨

「背中の筋肉の多くは肩甲骨に付いているので、肩甲骨が思ったように動かせないと、背中のトレーニング効果は落ちます」(中野さん)

とくに焦点になるのが、肩甲骨を覆うように広がる僧帽筋

逆三体型で上半身の広がりを出すのは、腰背部から上腕へ延びる広背筋。加えて上半身の厚みを演出するのが、僧帽筋だ。肩甲骨の可動域が狭いと僧帽筋のトレーニング効果がダウン。上半身の厚みが薄くなり、映えない残念な逆三体型になる。

⑥ 腱が挟まり、炎症が起こる

肩甲骨の動きが悪くなると、周辺の筋肉の負担が増える。ことに負担がかかるのが、ローテーターカフと呼ばれる筋肉群。上腕骨を肩甲骨につなぎ止めており、腕を回したり、上げたりする働きも担う。その腱などが、肩甲骨の肩峰という突起と繰り返し衝突すると、鈍い痛みが走る。

「これがインピンジメント症候群。野球の投手などアスリートに多く見受けられますが、加齢により一般の方にも増えてきます」(宮森先生)

この他、40代、50代で増える肩の痛みに、四十肩・五十肩がある。これは、肩甲骨をはじめとする肩関節を包む関節包に炎症が起こり、肩が固まり動きづらくなるもの。原因不明だが、滑らかに動くよう肩甲骨を整えると、予防&改善にプラスだ。

取材・文/井上健二 イラストレーション/ニシワキタダシ 監修・取材協力/中野ジェームズ修一(フィジカルトレーナー)、宮森隆行(順天堂大学保健医療学部 理学療法士、医学博士)

初出『Tarzan』No.833・2022年5月12日発売

Share