「別の道で勝負してみたくなった」元柔道選手が営む〈炭火焼き鳥 ひらちゃん〉

柔道の夢破れた後、まったく別の道へ

東京・浅草橋駅近くに店を構える〈炭火焼き鳥 ひらちゃん〉。店主の平田侑城さんは大学時代まで全日本の強化指定選手に選出されていたほどの将来有望な柔道家だった。

「でも僕らの世代は実力者揃いで、それ以上活躍できなかった。やり切った感がないなか引退し、その後は指導者になる選択肢もあったのですが、一度柔道を離れてまったく別の道で勝負してみたくなったんです」（平田さん）

自分が柔道だけではないところを証明したい。退路を断った平田さんは老舗焼き鳥店で働き始める。

「鳥や炭の選び方から仕込み、焼き方など、焼き鳥の世界ってむちゃくちゃ奥が深くて、次第にのめり込んでいきました。厳しい店でしたが、体力と根性には自信がある。しっかり修業して5年前に独立しました」（平田さん）

その味は浅草橋界隈ですぐ話題になり、予約必須の人気店に。

「飲食店にとっては苦しい状況が続きますが、ウチは常連さんの支えでなんとかなっている。コロナ禍で改めてお客さんのありがたさを痛感しましたね。お店を持ったことで、柔道で味わった挫折感も解消しました。最近はジュニア世代への指導など、もう一度柔道に携わりたい思いが沸々と湧いてきているんです」（平田さん）

〈炭火焼き鳥　ひらちゃん〉のメニュー

上は熊本出身の平田さんが、本来なら地元にしか卸さない販売店から直接仕入れている極上赤身の馬刺し（1,320円）。

これまた希少な宮崎地鶏のタタキ（770円）。

焼き鳥はもちろん、九州ならではの食材を新鮮な状態で味わえるのも〈ひらちゃん〉の魅力。

炭火焼き鳥　ひらちゃん

焼き鳥は丁寧に焼かれて1本ずつ提供。コース感覚で楽しめる。名物の鶏レバー（1本220円）を目当てに訪れるお客さんは数知れず。カウンター、テーブル含め17席。JR浅草橋駅西口徒歩1分。

住所：東京都台東区浅草橋1-4-4 1階
営業時間：16時〜23時（コロナ感染状況に応じて変更あり）
TEL：03-5825-4055
定休日：日曜

取材・文／黒田創　撮影／山本嵩

初出『Tarzan』No.827・2022年2月10日発売

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