「理想のスイングを叶えるバットで、今季は打率4割を目指します!」ソフトボール選手・山田恵里
text: Kai Tokuhara photo: Yoshio Kato illustration: Shinji Abe
初出『Tarzan』No.806・2021年3月11日発売
「打」のスペシャリスト。
安打、本塁打、打点。女子ソフトボールにおける、それらすべての歴代1位の通算記録を残しているのが現・日本代表主将の山田恵里選手。ともに北京五輪で金メダルを獲得した上野由岐子選手が「投」のレジェンドなら、彼女はまさに「打」のスペシャリスト。その卓越した打撃の礎になっているのがバット選びへの強いこだわりだ。
「グローブもスパイクももちろん大事ですが、やはり打って結果を出すことが自分の仕事ですのでバットは一番の商売道具。もはやカラダの一部ですので、常に感覚を研ぎ澄ませて選ぶようにしていますし、また雑に扱うと雑な結果が返ってくるので使い終わったら丁寧に拭いたり保管します」
到達した、理想の形。
キャリアを通してひたむきに自分の打撃を追求しながら、それに合うバットを探し続けて現在の形に到達したのだという。
「バットがカラダに巻きついてしなるような感覚で打ちたいので、先端が重めで、長さのあるものを使っています。遠心力を使って遠くへ飛ばすイメージでしょうか。本当の意味でその感覚がわかってきたのは北京五輪あたり。特に決勝のアメリカ戦で打ったホームランは、それまで全然打てていなかったピッチャーの投球に対して無意識にバットが出て感触がないのにボールが飛んでいった感じで、今でも理想のバッティングとして自分の中に残っています。ここ2シーズンは打率2割台が続いてしまっていますが、今季はこのバットと一緒に、4割を目指してもう一度自分の打撃を突き詰めていきたいと思っています」